2017年6月22日から、クルマの車体からタイヤのはみ出しが一部許可されました。具体的に、どう変わったのでしょうか。

ハミタイ10mm未満まで解禁

 クルマの車体からタイヤがはみ出している状態、いわゆる「ハミタイ」は、これまで不正な改造として車検の対象外となっていましたが、2017年6月22日(木)より一部が解禁されることになりました。国土交通省が同日公布・適用した、クルマの技術的な基準を定める「保安基準」の一部改正によるものです。

 これまでは、クルマのハンドルを直進方向にした際、タイヤ中心部から前方30度、後方50度の範囲において、タイヤやホイール、ホイールナット、センターキャップなどの回転部分が、直上にある車体よりひとつでも突出した場合、違法とされていました。

 今回のいわゆる「ハミタイ一部解禁」は、クルマの製造年月日を問わず、上述の基準を一部緩和するというものです。同時に、自動車のマフラーの向きに関する基準も変更されました。

 これらの詳細について、国土交通省 自動車局 技術政策課に聞きました。

――クルマのタイヤのはみ出しについて、具体的にどのように変わったのでしょうか?

 ハンドルを直進方向にした際、タイヤ中心部から前方30度、後方50度の範囲において、10mm未満であれば、はみ出しても許可されるようになりました。タイヤのリブ(編集部注:タイヤの側面に設置された厚いゴムの突起)も改正により、突出部分と見なされなくなりました。

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2017年6月22日より、車体からのタイヤのはみ出しが一部解禁に。写真はイメージ(画像:photolibrary)。

――そもそもタイヤのはみ出しはなぜ禁止されていたのでしょうか?

 安全性の観点から、歩行者やバイク、自転車など、ほかの交通のさまたげになると考えられていたからです。

――なぜ許可されたのでしょうか?

 自動車基準の国際的な調和の観点からです。

――タイヤではなく、ホイールがはみ出るのは許可されるのでしょうか?

 今回許可の対象となったのは、タイヤのみです。

――マフラーはどのように変わったのでしょうか?

 これまで(1970〈昭和45〉年以降)マフラーはクルマの中心(編集部注:クルマを真上から見た状態で、前後方向の中心軸)に対して、左右30度の範囲内で取りつけることができましたが、基本的にどのような角度でも自由となりました。

――なぜ自由になったのでしょうか?

 国際的な排出ガス規制の強化の観点からです。

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 同局の環境政策課は、マフラーを取り付ける角度が緩和されたことについて、「かつてはマフラーの角度を横向きにすると、歩行者に直接排ガスがかかってしまい、害を与えると考えられていました。しかし現在では、排出ガスに含まれる有害物質の割合が大幅に減少し、無視できるレベルにまでなったこともあり、角度を規制する効果が生じなくなったため」と話します。

輸入車インポーターの反応は

 一方これまで、本国と日本国内で基準が異なるために、タイヤのはみ出し対策としてその上部車体にカバー(フェンダーカバー、フェンダーモール)を装着し、国内仕様として販売を行ってきた輸入車インポーターは、改正をどう捉えているのでしょうか。

 BMWジャパンは「車種によって対応は異なりますが、フルモデルチェンジ・マイナーチェンジを行う際に都度対応していきます。当社ではカバーを本国ドイツで装着しているのですが、その工程でかかる、1台あたり約10秒の作業時間が削減されるため、メリットととらえています」といいます

 トヨタには「アベンシス」などの逆輸入車がありますが、「改正されたばかりなので、社内で具体的な話はまだ出ていません」と話しています。

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 新燃費基準の「WLTCモード」に続き、今回の改正で、クルマの海外仕様と国内仕様の壁はまたひとつ減ることとなりました。なお、国土交通省 自動車局 技術政策課によると、これに関する一般ユーザーからの問い合わせの数は、「ほかの改正と比べて、特別多くはない」とのことです。

【図】2017年6月よりハミタイが緩和された部分

タイヤはみ出しOK? クルマの保安基準、一部改正で何が変わったのか

タイヤ中心部から前方30度、後方50度の範囲であればはみ出しが許可される。

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