夜行列車のうち青い客車を使った寝台特急は「ブルートレイン」と呼ばれていました。新幹線や飛行機の発達で消滅してしまいましたが、全く乗れなくなったわけではありません。
夜の薄明かりに映える青色の客車で編成を組み、機関車にけん引されて全国各地を走り回っていた寝台特急。かつて「ブルートレイン」と呼ばれたその列車たちは、昼間に走る特急列車とは異なる独特な雰囲気があり、子どもたちにとっては憧れの的でした。
小坂鉄道レールパーク内の宿泊施設「ブルートレインあけぼの」。動態保存している寝台車を宿泊施設として活用している(2018年9月、乗りものニュース編集部撮影)。
ブルートレインに憧れていた人のなかには「一度でいいから乗って、車内で泊まってみたかった」「もう一度乗れないものだろうか」と考えている人がいるかもしれません。しかし、ブルートレインは新幹線や飛行機などの発達で、2015年に定期列車の運行が終了。現在運行されている唯一の寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」は客車ではなく電車で、車体も青色ではありません。いまからブルートレインに乗ることはできないのです。
ただ、ブルートレインに「乗る」ことはできませんが、「泊まる」ことなら不可能ではありません。
寝台列車の廃止に伴い、不要となったブルートレインの寝台車をJRから譲り受けて保存、展示している施設が全国にいくつかあります。なかには車内に寝台設備があることを生かし、宿泊施設として一般に開放している例もあります。
2018年9月現在、ブルートレインの寝台車を使って本格的に営業している宿泊施設としては、秋田、岩手、熊本の3県にあることが確認できます。昔懐かしいブルートレインの寝台車に泊まれるということが「売り」であるため、いずれも現役時代に近い姿のままになっているのが特徴です。
秋田県小坂町の宿泊施設「ブルートレインあけぼの」の寝台車は、廃止された貨物線(小坂製錬小坂線)を活用した鉄道体験テーマパーク「小坂鉄道レールパーク」で動態保存されています。寝ている間に動くことはありませんが、宿泊当日の夕方と翌日の朝には、ディーゼル機関車のけん引で駅のホームから車両展示場まで移動。宿泊客のみ乗車できます。
寝台車風のドミトリーホテルもこのほか、廃車になった寝台車ではありませんが、寝台車を模した宿泊施設もあります。

東京都内のドミトリーホテル「トレインホステル北斗星」。寝台特急「北斗星」のイメージでベッドなどが配置されている(乗りものニュース編集部撮影)。
総武本線の馬喰町駅付近にあるドミトリーホテル「トレインホステル北斗星」(東京都中央区)の場合、ベッドを開放2段式B寝台と同じように配置。ベッドなども寝台特急「北斗星」で使っていた部品を再利用しています。こうした施設を利用してみるのもいいでしょう。
・小坂鉄道レールパーク ブルートレインあけぼの(秋田県小坂町)
車両:電源車、A寝台個室(2人)、B寝台個室(1人)、開放2段式B寝台
営業日(2018年度の場合):4月28日~11月3日の金、土曜日
料金:1室3780円から
アクセス:奥羽本線の大館駅から小坂行きバスに乗車。小坂小学校前停留所から徒歩2分
※上野~青森間の寝台特急「あけぼの」で使われていた寝台車を使用
※宿泊できるのは個室寝台のみ
※駅ホーム~車両展示場間の移動では開放2段式B寝台に宿泊客のみ乗車可能
・ふれあいらんど岩泉 ブルートレイン日本海(岩手県岩泉町)
車両:開放2段式A寝台、開放2段式B寝台
営業日(2018年度の場合):4月1日~11月30日
料金:1020円(基本料金)
アクセス:三陸鉄道北リアス線の岩泉小本駅から約11km
※大阪~青森間の寝台特急「日本海」で使われていた寝台車を使用
・ブルートレインたらぎ(熊本県多良木町)
車両:B寝台個室(1人)、共用スペース、開放2段式B寝台
営業日:通年
料金:3080円(大人)
アクセス:くま川鉄道の多良木駅に隣接
※東京~熊本間の寝台特急「はやぶさ」で使われていた寝台車を使用
※共用スペースはB寝台車を改造

小坂鉄道レールパークの宿泊施設「ブルートレインあけぼの」の開放2段式B寝台(2018年9月、乗りものニュース編集部撮影)。