静岡市内の日本平動物園と東静岡駅を結ぶ路線バスは、車体のラッピングからバス停のデザイン、車内放送まで独自のセンスが光ります。

木魚やお金の音が車内に鳴り響く!

 静岡市にある市立日本平動物園とJR東静岡駅のあいだで、地元のバス会社である日本平自動車が、ちょっと変わった路線バスを運行しています。

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日本平自動車の日本平動物園バス停。ベニイロフラミンゴのオブジェは、クリスマス仕様にデコレーションされている(画像:日本平自動車)。

 東静岡駅南口を出たバスは、しばらく街なかを走行。静岡銀行 池田支店バス停に近づくと、バス停名がアナウンスされる直前に、車内には「チャリーン」というお金の音が流れます。その次、法伝寺バス停のアナウンス前には、「ポクポクポク」と木魚の音が。

 また、各バス停の到着前後では、「このバスは急いでいません。ゆっくりとお降りください」もしくは「ゆっくりとお乗りください」というアナウンスも流れます。

 終点の日本平動物園に到着する前に流れるのは、ライオンの鳴き声。以前は「パオーン」というゾウの鳴き声が流れていたこともありましたが、日本平自動車によると、これはゾウが警戒したときに発する声だったため、放送を聞いた動物園のゾウが不安定になったと動物園から連絡が入り、すぐにライオンの鳴き声に差し替えたといいます。鳴き声の放送を車外にも流していたこともあり、耳のいいゾウにはバスから離れていても聞こえてしまったのだとか。日本平自動車はお詫びとして、ゾウに最高級キャベツを2ケース届けたそうです。

ユニークな車内放送、その裏にある思い

 日本平自動車は、もともとは貸切バス事業者として1996(平成8)年に創業した比較的新しい会社です。

2015(平成27)年12月に路線バスに進出し、東静岡駅と同社本社を結ぶ「大谷線」と、日本平動物園を結ぶ「東豊田線」を開設。さらに土休日限定で、「東豊田線」のルートを途中停車なしで走る「動物園に行こう!!線」(復路は「動物園に行って来ました!!線」)の運行も2017年4月に開始しました。

 路線バスの運行は、近隣の高齢者(交通弱者)の一助になればという思いで始めたそうです。ユニークな車内放送を取り入れたのもそのため。お年寄りや親子連れも多く乗車するなかで、どうしても乗降に時間がかかってしまうことがありますが、そのようなときに面白い放送が流れるだけで、焦ったり危ない思いをしたりせず、気持ちよく乗降できるのではないか、という意図から始めたそうです。

「路線バス事業は収益も乗車人員もさほど期待できません。車内放送はウケを狙ったわけではなく、どうせなら楽しい路線バスにしようと、社員みんなでアイデアを出し合ったものです」(日本平自動車)

 放送を聞いた乗客の反応について、乗務員は「初めて乗車された方は笑顔になりますし、生活路線なので毎日乗車される方は無反応ですが、そのギャップも楽しいですよ」と話します。

車内放送がユニークすぎる!? 日本平動物園行き路線バスの飽くなきエンタメ精神

東静岡駅前のバス停にも動物の絵柄が(風来堂撮影)。

 またクリスマスシーズンには、ベニイロフラミンゴのオブジェを設置している日本平動物園バス停と、到着時の車内放送を「クリスマス仕様」に変更。今後は、車内に動物消しゴムなどを入れた「ガチャガチャ」を設置する案もあるのだとか。乗客を楽しませるための試みは、これからも続いていきそうです。

 ちなみに、日本平自動車は貸切バスでも特徴的な車両を保有。

イギリスの路線バスとして活躍していた2階建ての「ロンドンバス」を現地から輸入し、日本の基準に合わせて整備し運行しています。

※記事制作協力:風来堂、やまだともこ

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