高速道路の案内標識は緑に白抜き文字のものが使われますが、NEXCOと首都高とでは、形だけでなく緑の色や書体も微妙に異なります。こうした標識は、路線や道路管理者によっても違いが見られるそうです。

首都高のほうが明るい

 緑の地に白抜き文字で構成される高速道路の案内標識。実はNEXCOと首都高で文字の書体や緑の色が微妙に異なり、「NEXCOグリーン」「首都高グリーン」なる通称もあるそうです。

「首都高グリーン」「NEXCOグリーン」とは? 実は異なる高...の画像はこちら >>

案内標識の例。左がNEXCO、右が首都高のもので、色が異なる(いずれも中島洋平撮影)。

 道路標識メーカーのアークノハラ(東京都新宿区)に、詳しく話を聞きました。

――NEXCOと首都高とで、標識の緑色がどう違うのでしょうか?

 首都高さんのほうが明るい緑を使っています。高速道路の案内標識の地色は、法令で緑色と決まってはいますが、その明暗に決まりはありません。もともとは日本道路公団(NEXCOの前身)、首都高速道路公団(首都高速道路株式会社の前身)とも同じ緑を使っていましたが、昭和の終わりころに首都高速道路公団が現在の色に変更しています。

 そもそも標識の緑は反射シートの色であり、その選択肢は多くありません。時代に応じて反射シートが改良されるなか、選択できる範囲で色が変えられ、微妙な違いが生まれたのでしょう。

「公団ゴシックからヒラギノへ」だけじゃない変化

――文字の書体は同じように見えますが、どう違うのでしょうか?

 和文の書体は「角ゴシック」系というのは同じですが、NEXCOさんは「ヒラギノ角ゴ」、首都高さんは「新ゴ」を採用しています。もともと日本道路公団では高速走行時の読みやすさを考慮して、字画を省略するなどした「公団ゴシック」と呼ばれる独自の書体を採用していましたが、民営化後に「公共の場所では正しい文字のほうが良いのでは」といった理由から見直しが図られ、現在の書式が使われるようになりました。

 一方、かつての首都高速道路公団では汎用の「ゴナ」と呼ばれる書体を採用していました。阪神高速や名古屋高速といった都市高速と呼ばれる路線は首都高速道路公団にならい、標識の仕様もほぼ共通化されていました。しかし、首都高速道路公団や阪神高速道路公団が民営化されて以降、まず首都高速道路株式会社で書体が先述の「新ゴ」に変更されたほか、各道路管理者オリジナルのものが登場しています。

※ ※ ※

 このように案内標識は、時代によって変化しているといいます。道路ネットワークの整備が進み、環状線などもできていくなかで、案内方法が変わっていったことも背景にあるとアークノハラは話します。たとえば首都高の複数の路線と交わる外環道は、NEXCO東日本の管轄ですが、路線の特徴を考慮して、本線上における案内標識の形や、IC出口案内の設置間隔などを首都高の仕様に近づけている部分があるそうです。

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