まず品川~名古屋間で建設されているリニア中央新幹線。その「都市部非常口」の立坑が、初めて完成しました。
JR東海が2019年12月11日(水)、深さ約83m、直径およそ30m(開口部)にもなる巨大なたて穴(立坑)が、東京都品川区内で完成したと発表しました。
完成したリニア中央新幹線「北品川非常口」の立坑(画像:JR東海)。
2027年にまず品川~名古屋間での開業が目指されている、リニア中央新幹線の建設にともなうものです。地上から80mという深い場所にあるその穴の底、側面に設けられた円状の部分から、「シールドマシン」という円筒状の穴を掘る機械を水平方向に発進。東京の大深度地下に、最高速度500km/hの超電導リニアが走る「第一首都圏トンネル」を掘っていきます。
リニア中央新幹線の始発駅である品川駅と、相模原市の橋本駅付近に設けられる隣の神奈川県駅(仮)のあいだは、全区間がこの第一首都圏トンネル。その長さは約37kmにもなります(この立坑から発進したシールドマシンがその全区間を掘るわけではない)。

この側面の穴から、水平方向にシールドマシンで掘り進める。人と比べると、その大きさがわかる(画像:JR東海)。
この立坑は、品川駅から神奈川県駅(仮)方面へ1.5kmほど行った場所にあり、路線の開業後は、万が一の事態に備える「北品川非常口」になります。
リニア中央新幹線は、トンネルの各所に非常口を用意。
ここから首都圏第一トンネルを掘っていくシールドマシンは現在、メーカーの工場にて製作中で、2020年1月に完成予定とのこと。できあがったシールドマシンは巨大なため、分割して2020年4月ごろ、この立坑へ搬入される予定。そして穴のなかで再度組み立てられたシールドマシンが、首都圏第一トンネルを掘っていきます。
ちなみに、「初の超電導リニア営業路線」に設けられるこの立坑は、「日本初の鉄道」である東海道本線と、「最初の新幹線」である東海道新幹線に挟まれた場所に存在。すぐ近くには「日本の鉄道の父」とされる井上 勝(1843-1910)の墓所もあるなど、「日本の鉄道」にとってひとつの象徴的なエリアにあります。

2020年に登場予定の超電導リニア車両「L0系」改良型試験車のイメージ(画像:JR東海)。
リニア中央新幹線の建設について、2019年11月には神奈川県駅(仮称)の起工式が行われたほか、その車両が500km/hで走る本線トンネルの工事も複数箇所で進行中。11月には、南垣外工区(岐阜県)の本線トンネル工事風景が報道陣に公開されています。
そして来年、2020年5月ごろには、超電導リニア車両「L0系」の改良型試験車を山梨実験線に導入。開業に向け、準備が進められていく予定です。