JR西日本の「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」は、117系電車を改造した長距離列車です。直流電化区間なら走れるということで、「こんな旅行がしてみたい」という願望を込めてルートを妄想しました。

速くない特急「WEST EXPRESS銀河」 普通車指定席の設定もあり

 JR西日本が、117系電車を改造した新しい長距離列車「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」を2020年5月8日(金)から運行します。

 区間は期間によって変わり、5月から9月までは京都・大阪~出雲市間の夜行列車として、10月から2021年3月までは大阪~下関間の昼行列車として、それぞれ毎週2往復程度運行される予定です。

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117系電車を改造した「ウエストエクスプレス銀河」(2020年1月25日、伊藤真悟撮影)。

 大阪~下関間の山陽本線の営業キロは539.5kmです。昼行在来線特急で現在最も長い距離を走るのは、博多~宮崎空港間の特急「にちりんシーガイア」で、営業キロは413.1km。つまり「WEST EXPRESS銀河」は、「にちりんシーガイア」を上回る長距離列車になります。

 これまで、列車に乗ること自体が楽しみのひとつとなっているクルーズトレインには、JR九州の「ななつ星in九州」やJR東日本の「TRAIN SUITE 四季島(トランスイートしきしま)」、JR西日本の「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(トワイライトエクスプレスみずかぜ)」などがあります。しかし旅行代金は、気軽な金額ではありません。一方「WEST EXPRESS銀河」は、普通車指定席、グリーン車指定席、グリーン個室で構成されており、普通車指定席であれば、運賃と特急料金で利用できるリーズナブルな列車です。

 また、「WEST EXPRESS銀河」は大阪~出雲市間を12時間から14時間かけて走ります。現行の寝台特急「サンライズ出雲」が同区間を6時間弱で走ることから、「WEST EXPRESS銀河」は特急とはいえ都市間を高速で結ぶのではなく、ときには途中駅で長時間停車すると思われます。伝統芸能の披露など、車内外で様々な「おもてなし」が行われる予定です。

妄想「ウエストエクスプレス銀河」直流電化区間一筆書き1000km超えの旅

 117系は、JR西日本の京阪神地区などで使われていた直流型電車(1500ボルトの直流電源で走る車両)です。つまり1500ボルトで電化された区間なら、基本的に「WEST EXPRESS銀河」は走れるわけです。そこで、JR西日本の直流電化区間を一筆書きで長く走るルートを考えました。なお、狭あいトンネルなどは無視するものとします。

 山陽本線で下関駅(山口県下関市)を発車して小野田駅(同・山陽小野田市)に、そこから小野田線・宇部線を経由して宇部駅(同・宇部市)に。再び山陽本線で広島駅(広島市南区)に、そこから呉線や赤穂線、東海道本線を経由して東へ向かい尼崎駅(兵庫県尼崎市)に。ここから福知山線で福知山(京都府福知山市)へ抜け、山陰本線・舞鶴線・小浜線を経由して敦賀駅(福井県敦賀市)へ。再び太平洋側を目指し、北陸本線で米原駅(滋賀県米原市)に。東海道本線・奈良線・関西本線・和歌山線経由で和歌山駅(和歌山県和歌山市)に出て、紀勢本線で新宮駅(同・新宮市)まで。「直流電化区間一筆書き1000km超えの旅」はいかがでしょうか。海あり山ありの道中に加え、何度も途中で進行方向が変わるので、乗っていて飽きないことでしょう。

下関発新宮行きも可能? 新長距離列車「ウエストエクスプレス銀河」運行ルートを妄想

かつて東京~大阪間で運行していた寝台急行「銀河」(2003年7月、児山 計撮影)。

 また、実務面のことをまったく無視して考えれば、「WEST EXPRESS銀河」の名前の通り、往年の寝台急行「銀河」の運行区間だった東京~大阪間を走っても人気が出るかもしれません。

 岡山~高松間の快速「マリンライナー」のように、四国に直通しても楽しいでしょう。瀬戸大橋を渡って予讃線で松山駅へ。そこから観光列車「伊予灘ものがたり」と0系新幹線を模した「鉄道ホビートレイン」を乗り継いで窪川駅(高知県四万十町)へ向かうツアーは人気を呼ぶかもしれません。欲を言えば鉄道ファン向けに、伊予西条駅(愛媛県西条市)で「鉄道歴史パーク in SAIJO」に立ち寄る時間も確保してほしいです。

 2021年3月までの運行計画はほぼ決定している「WEST EXPRESS銀河」ですが、将来どのようなルートが設定されるのか、いまから楽しみです。

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