新型コロナウイルスの流行を受け子どもたちは学校が休校になり、外出もままならない生活を余儀なくされています。このストレス解消のため、遠隔操作で水族館を見学する試みが行われました。

ロボットはANA HDが独自開発したものを用います。

学校、観光産業にも影響及ぼす「新型コロナウイルス」

 ANA HD(ホールディングス)と沖縄県が2020年3月13日(金)、新型コロナウイルスの影響で外出を控える子どもたちを対象に、沖縄美ら海水族館の遠隔見学会を実施しました。

新型コロナ休校でANA 子どものストレス解消にひと役買う 飛...の画像はこちら >>

ANA HD「アバターでの沖縄 美ら海水族館の遠隔見学」の様子(2020年3月13日、乗りものニュース編集部撮影)。

 今回の見学会は、新型コロナウイルスの流行を受け、休校のうえ外出すらままならない子どもたちのストレス軽減にと、ANA HDがひと役買ったというもの。同社が独自に開発したアバターロボット「ニューミー」は、遠く離れた場所との円滑なコミュニケーションを実現するためのツールで、遠隔操作で移動させたり、ロボットのかたわらにいる人とテレビ電話のように会話したりでき、またロボットが受け取った「感覚」を操作者にフィードバックすることで、操作者はこれを疑似体験できるというものです。

 なお「アバター」とは、たとえば仮想空間における、操作者の分身たるキャラクターなどを指す言葉で、「化身」といった意味になります。

「ニューミー」による遠隔見学先となった沖縄県美ら海水族館は、巨大なジンベエザメの飼育、展示で知られる県内有数の観光スポットで、会場となった開南小学校(那覇市)から、国道58号経由で90km弱の距離があります。なお、同館もコロナウイルスの感染拡大の影響をうけ、3月2日(月)より臨時休館中と、沖縄現地の観光産業への影響もうかがえます。

ANA HD「ニューミー」を使った水族館見学の内容とは

 見学会が公開された3月13日(木)、この日集まった開南児童クラブの子どもたちは約2時間程度、美ら海水族館のフロアを遠隔見学しました。子どもたちは会場の教室に設置された2台のノートパソコンを、ひとりあたり5分程度で交代しながら、水族館にある「ニューミー」を動かして自由に館内を巡ります。

 また「ニューミー」からの眺めは、教室内のスクリーンにも映し出され、パソコンに向き合い操作していない子どもたちもその景色を共有できます。美ら海水族館の名物である巨大「ジンベエザメ」の、餌やりの様子も見学できました。

 なお水族館内にある「ニューミー」には、現役の水族館スタッフが付き添います。スタッフは「ニューミー」を通じて子供たちに質問を投げかけ会話のキャッチボールをするなど、さながらその様は、教室に居ながらできる「校外学習」です。

新型コロナ休校でANA 子どものストレス解消にひと役買う 飛行機でなくロボットで

子どもたちへ海の生物についてのクイズも出された ANA HD「アバターでの沖縄 美ら海水族館の遠隔見学」の様子(2020年3月13日、乗りものニュース編集部撮影)。

 ANA HDは今後、沖縄県とともに、新しい社会貢献の形を検証し、学校や教育機関と連携してアバターによる教育体験を提案していきたいとしています。

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