新型コロナウイルスの影響によりレンタカーやカーシェアの利用者が減少する一方、月額制でマイカーを持つサブスクリプションサービスに注目が集まっています。レンタカーやカーシェアも「新型コロナ向け」プランで需要を確保しています。

月額制「サブスク」に注目 「不特定多数が利用していない安心感」

 2020年4月現在、新型コロナウイルスの影響が長引き、レンタカーやカーシェアといったサービスの利用者が減少しています。たとえば沖縄ではインバウンド(訪日外国人)需要が一気に冷え込んだことで、3月に倒産したレンタカー会社もありました。

 レンタカー「タイムズカーレンタル」およびカーシェア「タイムズカーシェア」を全国で展開するパーク24(東京都品川区)も同様で、レンタカーは法人、個人ともに日常的な移動の縮小に加え、インバウンドを含む旅行観光需要の落ち込みを受け貸出件数が減少していることから、同社では保有台数や店舗スタッフなどの適正化を図っているといいます。またカーシェアについても、法人、個人ともに外出自粛要請による移動の縮小などが影響し、やはり貸出件数が減少しているそうです。

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新型コロナウイルスの影響下、カーシェアの利用総数は以前より減少している(2020年4月、乗りものニュース編集部撮影)。

 その一方、いわゆるクルマの「サブスクリプション」に注目が集まっているようです。車両代金や保険料、車検費用、諸税などの費用を含めて、月々定額でクルマを持てるというサービスです。

 中古車店「ガリバー」およびクルマのサブスクリプションサービス「NOREL(ノレル)」を提供するIDOM(東京都千代田区)によると、4月7日(火)に政府の緊急事態宣言が発出された前後を比較すると、「NOREL」に関する問い合わせ件数が5倍ほど増加したといいます。職場や現場に足を運ばざるをえない医療従事者などの通勤や、生活必需品を扱う小売業・流通業、公共交通機関の利用に不安を覚える人の自家用車としての利用などが想定されるとのことです。

「サブスクリプションはクルマを『自分のもの』として利用できるため、レンタカーやカーシェアのように不特定多数の人が利用していないという安心感があるのでしょう」(IDOM)

 クルマを使わなくなれば月単位でやめることもでき、「所有」より気軽な点もメリットだといいます。

レンタカー、カーシェアは「通勤向け」展開へ

 新型コロナウイルスの影響下で、クルマを緊急に必要としている人がいると判断したIDOMは、4月15日(水)から、全国の「ガリバー」店舗およびIDOM関連店舗で保有するクルマを最大3か月間、無償提供するという取り組みも始めました。1万人への提供を想定しており、問い合わせも多数あることから、4月20日(月)現在、特に緊急性の高い医療従事者などを優先している状況だそうです。

「レンタカー」「カーシェア」「サブスク」新型コロナで明暗 需要急増のサービスとは?

中古車店「ガリバー」を展開するIDOMでは、中古車や新車のサブスクリプションサービスも行っている(画像:写真AC)。

 その一方、需要が減退したレンタカーやカーシェアでも、新型コロナウイルスの影響下を想定したプランを打ち出し、一定の利用者数を確保しています。

 前出のパーク24が展開する「タイムズカーシェア」では3月上旬より、18時から翌朝9時までの「ナイトパック」を、通常2680円(税込。以下同)からのところ、車種によらず一律500円で、さらに4月20日(月)から8月1日(土)までは税込480円で提供しています。

 パーク24によると、「外出自粛要請が出ていますが、業務の都合上、出社せざるを得ない方などのために、電車などの混雑を避けて通勤するための移動手段として活用いただけるよう本企画を開始しました」といい、「500円ナイトパック」開始前後3週間を比較すると、その利用件数は約3倍に増えたそうです。

 またレンタカー「タイムズカーレンタル」でも、3月上旬から4月28日(火)まで、長期に借りるほど1日あたりの費用が割安になるプランと、平日17時から翌朝10時までの利用を一律1980円(車種は5人乗り。選択不可)とするプランを展開。もちろん、夜間ドライブの利用も想定されるものの、いずれも朝夕の通勤利用を見越したものだそうです。長期レンタルのあいだは、借りた営業所が会社の近くであれば出社中、家の近くであれば夜間など、クルマを使わない時間帯に営業所へ一時的に預けることも可能で、駐車料金も抑えられるといいます。

 ただ、4月7日(火)の緊急事態宣言以降は、外出する人がさらに減ったためか、レンタカーはそれ以前より利用が減少しているそうです。

サブスク「コミコミ」ではない費用も どれがお得&安全?

 サブスクリプションサービス「NOREL」の月額は車種によって異なりますが、最低でも月5万9800円からだといいます。「諸費用コミコミ」ではあるものの、クルマを購入、所有するのと同じく車庫を用意し、車庫証明を取得する必要もあります。

 その点、レンタカーやカーシェアのほうが使いたいときに利用でき、費用的には抑えられる場合もあるかもしれませんが、この状況下、不特定多数の人が利用する点において、ふだん以上に衛生面の心配も生じることでしょう。

 パーク24によると、レンタカーでは除菌効果のある洗浄剤による空間除菌や、ドアノブ、ハンドル、ダッシュボードなど手が触れやすい箇所を中心に環境除菌を実施しているとのこと。カーシェアでは、車内ドリンクホルダー位置への「除菌スプレー」搭載を順次進めているほか、定期巡回時に、利用者が手を触れる部分を中心に清掃、消毒作業を強化しているといいます。

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