東急電鉄の駅券売機で、QRコード決済サービスの「LINE Pay」へ入金(チャージ)できるサービスが始まります。入金は、銀行口座と連携させればスマホで可能なものですが、なぜそれを駅券売機でも可能にするのでしょうか。

東急沿線住民の利便性向上と駅係員の業務効率化を実現

 東急電鉄の駅で2020年7月15日(水)から、きっぷの券売機でモバイル送金・決済サービス「LINE Pay」への残高チャージが可能になります(こどもの国駅と恩田駅は利用不可。世田谷線は三軒茶屋駅、上町駅、下高井戸駅のみ対応)。

「LINE」アプリで駅の券売機に表示されるQRコードを読み取り、現金を入金する形で、1000円から4万9000円以下の現金(紙幣)がチャージ可能。手数料は不要です。

駅券売機でQR決済チャージ 広がるか 東急とLINE Pay...の画像はこちら >>

券売機に表示されるQRコードを読み取る(2020年7月14日、恵 知仁撮影)。

 東急電鉄は2019年5月から、GMOペイメントゲートウェイと横浜銀行、ゆうちょ銀行と、駅の券売機を使って銀行口座の預金を引き出せるサービスを開始。「LINE Pay」へのチャージもこれと同様の流れで、東急の八巻善行さんによると、駅にある券売機を活用し東急沿線住民の利便性向上を図る目的があるほか、今回は社会で進んでいるキャッシュレス化に貢献するという狙いもあるといいます。

 また、駅の券売機にはおつりの用意が必要ですが、チャージで利用者が紙幣を投入してくれるため、駅係員によるおつりの補充業務が減るというメリットもあるそうです(預金の引き出しサービスでは、券売機からの現金回収業務が減る)。

銀行口座からスマホでチャージできるのに なぜ? ほかのQR決済サービスへの対応は?

「LINE Pay」は、銀行口座を登録するとスマホから手数料無しですぐチャージが可能ですが、そうしたなかなぜ、駅で現金を入金できるサービスを展開するのでしょうか。

 LINE Pay株式会社の藤平賢人さんによると、銀行口座を直接ひも付けると怖いといった心理的な要因、家計の口座と小遣いは別々にしたい場合、使いすぎるのが心配であるなどの理由から、「毎月決まった額を入金して使う」という形が合っている人もいるといいます。

 また「LINE Pay」に多いという10代の利用者には、クレジットカード保有率が低いこともあり、現金入金の需要が高いそうです(「LINE Pay」ではコンビニなどでも現金チャージが可能)。

駅券売機でQR決済チャージ 広がるか 東急とLINE Payが開始 なぜ銀行口座を使わない?

「スマートフォン決済サービスへのチャージ」のなかで「LINE Pay」にチャージ(2020年7月14日、恵 知仁撮影)。

 ちなみに、券売機で「LINE Pay」チャージの操作をすると、「スマートフォン決済サービスへのチャージ」という大きな枠の表現のなかで操作が進み、「LINE Pay」というサービスへ入金する形になっています。今後のほかのQRコード決済サービスへの対応を考えたものだそうです。

編集部おすすめ