夏場の好ターゲットとなるテナガエビ。食用目的で狙う方が大半だと思いますが、今回は飼育に関してのポイントを解説します。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版編集部)
テナガエビの概要
テナガエビは淡水・汽水域に生息しており、名前のとおり前から2番目の脚が長く発達しています。よく見ると愛くるしい顔をしており、観察すると妙に見入ってしまうのは筆者だけでしょうか。

肉食性で、自然界では魚や虫を中心に食べているようです。夜行性のため、昼間は岩陰や穴の中に隠れることが多く、夜になると活発にエサを探しまわります。
テナガエビの寿命は3年前後と言われおり、5年以上生きる個体もいるとのこと。(引用:『Pet Pedia』)
しかし、筆者が釣って入手した成体は約1年しか生きることができなかったので、飼育環境や個体差によって寿命は大きく異なるようです。
テナガエビの入手方法
テナガエビの入手方法は大きく2つあります。
購入する
見かける機会は少ないかもしれませんが、テナガエビはペットとして販売されています。ペットショップやホームセンターで販売しているところもあるようですが、手軽に入手したい方は通販でも購入可能。楽天市場や一部のペットショップの通販などで生体販売がされているようです。
釣る
テナガエビは全国各地の河川に生息しているので、釣って入手することが可能です。各地で釣れ出す時期は微妙に異なりますが、夏~秋にかけてがおおよそのシーズン。詳しい釣り方は別記事の解説が参考になりますよ。
梅雨が最盛期の『テナガエビ釣り』 昼と夜それぞれの釣り方を解説
しかし、飼育目的の場合は注意が必要。「使用するハリのカエシをつぶす」「釣り場にエアーポンプを持参する」「釣った個体は日陰に置いておく」など、ダメージを最小限に抑えるようにしましょう。
飼育の基本
次にテナガエビの飼育の基本を説明します。
水槽を準備
テナガエビの性格は非常に獰猛。時には共食いをすることもあります。複数匹飼育する場合はなるべく大きめの水槽を準備すると良いでしょう。 飼育が初めての方はエアーポンプやろ過装置が付属したキットの購入をオススメします。また、長く飼うことを考えるとカルキ抜きをした水を使用するのがベターです。
隠れ家が必要
テナガエビは自分の縄張りを持つため、隠れ家づくりが重要。日中は隠れ家の中でじっとしており、捕まえたエサを持ち帰って食べることが多いです。小型の石や出入りがしやすいパイプ状の置物を準備すると良いでしょう。筆者はガサツにも空き缶を使用していましたが、鑑賞用として置物にも拘ってみると面白いかもしれません。

繁殖は高難度
テナガエビの繁殖は非常に難しいと言われています。卵持ちのメスを隔離したり、孵化すると海水に幼体を移す必要があります。さらに成長すると淡水に戻すといった手間もあるようです。(引用:『Pet Pedia』)
初心者はあくまで成体の飼育のみに留めておいたほうがベターだと思います。
飼育のポイント3選
最後に飼育のポイントを3つ説明します。
1.単独飼育が望ましい
先述したとおり、テナガエビは獰猛な性格で強い縄張り意識を持っています。うっかりエサをやり忘れると空腹状態になってしまい、共食いをしてしまうことも。特に長い期間自宅を空けることがある方は1匹のみに絞って飼育するのがオススメです。
筆者は飼育時に狭い水槽に複数匹を入れてしまい、一匹また一匹と姿を消していくという苦い経験があります。複数匹飼っても最後に残るのは最も強い個体のみ。欲張らずに1匹のみ飼育するほうが飼育はしやすいです。
他の魚との混生も可能ではありますが、テナガエビに捕食されやすい小型魚は避けるのが望ましいです。ちなみに筆者はマハゼとの混生を試みたことがありますが、数日後にはマハゼの姿が消えていました。
2.与えるエサ
主にスーパーなどで購入した「魚の切り身」を小分けにして与えるのがオススメです。冷凍しておくと保存も可能。魚肉ソーセージ、カニカマなども問題なく食べるのですが、食品添加物が含まれているためオススメはできません。
ヌマエビ用などの人工エサも市販されていますが、釣ったテナガエビは慣れるまでに少々時間が掛かる場合があります。
エサを与える頻度は朝・夜の1日2回でOK。夜行性のため夜のエサの量を少し多めに与えてあげましょう。
3.病気対策
テナガエビも生き物。病気を避けるためにも日々の観察と環境づくりをしてあげましょう。そのために必要なのが頻繁な水の入れ替えと、脱皮の状況のチェックです。
テナガエビは比較的水質が汚い場所でも生きることができます。しかし、あまりに水を放置しすぎると藻やカビが生えてしまい、感染症を起こしてしまうことも。3匹を同時飼育した時の写真ですが、1週間もするとこのように水が濁ってしまいます。

ろ過装置があると水替えの頻度も減って便利です。飼育数にもよりますが、2週間は水替えをしなくても大丈夫だと思います。
また、テナガエビは月に複数回脱皮を行います。通常だと綺麗に脱皮をするのですが、稀に古い皮が残る場合があります。
食べても美味しいテナガエビ。愛着が湧くと食べ辛くなるのが難点ですが、ペットとして愛でるのも面白いですよ。
<田口/TSURINEWS編集部>