メバル、アジ、シーバス、クロダイ、カサゴ、カマスなどターゲットも多種多様なライトゲーム。小さくて軽いルアーを投げるという性質上、ジグ単だけでは飛距離が出ません。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター檜垣修平)
ジグ単の利点と欠点
まず、ライトゲームにおいて最もポピュラーなジグ単(ジグヘット単体)リグのメリットとデメリットを紹介します。ジグ単のメリットは「簡単、お手軽」、「ルアーの価格が低くコスパが良い」などが挙げられます。一方、デメリットとしては「飛距離が出ない」、「今、ルアーが水中のどこにあるのかをイメージしにくい」、「風が強いと釣りにならないことがある」などがあります。

ジグヘッドとワームだけという手軽さで、タックルさえあれば、どこでも釣りができるというのはかなり嬉しいところ。しかし、ジグ単リグは飛ばせてもせいぜい15mほど。重いジグヘッドにすれば飛距離は出ますが、沈みすぎてすぐ根掛かりが……。そんなデメリットを解消するのが、フロートリグです。
フロートリグの概要
ライトゲームに使用するフロートを見てみると、ウキ釣りをしたことのある人には既視感があると思います。ウキフカセ釣りでいうところの「飛ばしウキ」とほぼ同じ役割です。まずフロートリグのメリットは以下の点です。
・飛距離がジグ単に比べ大幅アップ
・そこそこの風でもきちんと飛ぶ
・超軽量ジグヘッドをロングキャストできる
逆にデメリットとしては以下の点が挙げられます。
・リグセッティングが面倒
・リグが絡むことがある
・ボトムを探るのには適していない
・PEラインが必須(ノットを組む必要がある)
・狭い場所だと飛びすぎて対岸に引っ掛かる

最大のメリットは「浮いたまま」
フロートにはいろいろなタイプがありますが、下の写真のフロートは自重が10gほどあります。

さらに、このフロートは浮くタイプで、浮力が1g分あります。つまり理論上は1g以下のジグヘッドを使えば、ずっと水面に浮いたままの状態となるわけです。
たとえば、沖に浅くなった岩礁帯があるとします。ジグヘッドでは巻き続けるのが基本なので、釣れそうなポイントをすぐに通り過ぎてしまいます。それに対してフロートの場合、浮力を超えないジグヘッドを付けていれば、そこで巻くのをやめてルアーを留めることが可能に。「一番おいしいポイントで長時間アピールし続けられる」ということです。
シンキングタイプも存在
また、シンキングタイプのフロートを使ったり、ジグヘッドをフロートが沈む重さに変えたりして沈めて使う方法もあります。浮力があるためゆっくりと沈むのを利用し、レンジを入れつつ軽量ジグでは狙えない沖合でスローなアクションが可能になります。
ただ、フロートが付いていることで水流を受けやすく、潮に流されやすい、浮き上がりやすいといった側面もあります。また、ジグヘッドとフロートの沈下速度のバランスが悪いと、絡まったりアクションが伝わらないことがあるので注意しましょう。
フロートの種類
フロートの種類は実に豊富で、各メーカーが多くのフロートを販売しています。種類を大別すると前述した「フローティング(浮く)orシンキング(沈む)」に加え「中通しタイプor固定タイプorワンタッチタイプ」といった取付方法の違いがあります。

固定式のフロート
私個人のおすすめは、「固定タイプ」です。固定タイプは他に比べて圧倒的に飛距離が出ます。しかし、固定タイプではリグを組むのに高度なFGノットが必須の場合もあり、リグを組む難易度や手間がデメリットになります。
中通し式のフロート
中通し式では固定式と違いリグが組みやすいものが多いことや、遊動式の構造上、バイト時の食い込みが良いというメリットがあります。また、中通し浮きを起点にしてジグを真下に落とす、縦の釣りができるのも状況によって武器になります。
後付け式のフロート
またジグ単のリグのまま、リーダーに後付けできるフロートも発売されています。メリットは簡単にリグが組めて、ワンタックルでフロートリグを使えることです。ただ、タックルの強度上あまり重いフロートは使えないことが多く、リグの構造上も飛距離はあまり出ません。
フロートリグのタックル
通常のライトゲームで想定されるよりも重たいリグを投げるので、適合ルアーのMAXが15g程度のロッドがベターです。メバル用のLクラスでも大丈夫ですが、10g以上のリグをつける場合は、ロッドを折らないように注意してキャストしてください。メーカー各社がフロートやキャロ専用の番手を出しています。
また、ラインもアジングではよく使われるエステルラインは切れやすいのでPEラインを使うようにしましょう。例として僕のタックルを記載しておきます。
筆者のタックル
ロッド:ブルーカレント82
リール:LT2500番サイズ
ライン:PEライン 0.4号
リーダー:フロロカーボンライン2号
フロートリグが有効なシーン
冒頭で記載したように、「フロートが最強リグだ」という訳ではありません。フロートにはフロートの得意分野があります。
深場には不向き
カサゴ類を狙う場合などはボトムの釣りとなる訳ですが、フローティングのフロートの場合、水深がある場所ではボトムを取ることは不可能です。よって、カバーできるのは表層までと思ってください。
シンキングであれば中層以深も攻めることは可能ですが、沈下速度の関係や、浮き上がりやすいといった特性があるので、あまり深い場所には向きません。水面付近に魚がいない場合は、場所を変えるか、ジグ単に戻すほうが効率が良いでしょう。
遠浅な地形にマッチ
ずっと浅い岩場が続く場所やスロープ攻めなどでは、フロートが非常にハマる事があります。ジグ単では到底攻められないような、藻が水面下まで多く茂っている場所でも、潮位によってはフロートであれば攻略できることもあります。
ジグ単ではどうしても届かないボイルや沖の潮目は、他のアングラーも指を咥えて見ているだけ……ということも多いです。そんな竿抜けポイントを直撃してやりましょう。スレていないフレッシュな魚に出会えるかもしれませんよ。ライトゲームの攻略の幅をフロートリグはぐっと広げてくれます。
シーバスやバスでも
アジや根魚、カマスなどライトゲームの代表的な対象以外に、シーバスなど大型の魚がマイクロベイトを偏食しているタイミングでもフロートリグは効果的です。ある程度強度のあるタックルで軽量リグを扱えるというのもメリットになります。
またワームをよく使うクロダイのチニングやバス釣りでも有効です。バス釣りでは障害物にわざと根掛かりさせて外し、縦にワームを落とす「ハングオフ」と呼ばれるテクニックがありますが、中通しのフロートでも似たようにエサが落ちる動作を演出することができ、表層の釣り以外にも活用できます。
おすすめのフロート4選
最後におすすめのフロートを紹介します。
シャローフリーク/アルカジックジャパン
リーダーの端糸にフロートを固定する「Fシステム」専用フロート。名前の通りシャローを攻めることに特化して考えられたフロートで、ジグの重さを変えることで様々なアプローチが可能です。「Fシステム」のセッティングが多少難しいですが、飛距離・操作性・視認性とフロートに必要な要素が揃っておりオススメのフロートとなります。
Sキャリー/34
こちらは固定式のシンキングタイプで、軽量ジグの0.4gと同じ速度で沈みます。そのためアジングやメバリングのプランクトンパターンなど、軽量ジグをレンジを刻みながら漂わせて釣りたいといった状況で、もう少し飛距離を出したいときに真価を発揮します。同社の「Sタッチ」というアイテムを使うことでセッティングが簡単で、ジグ単ロッドでも扱いやすい1.5gからラインナップされているのも魅力です。
月下美人 月ノ雫II/ダイワ
スタンダードな中通し式のフロートです。Fタイプ(フローティング)とSSタイプ(スローシンキング)があります。着水時の音をメバルの捕食音に近づけて開発されており、仲間のボイルで活性が上がるメバルに特に有効です。
ソアレ アウトシュート/シマノ
シマノのワンタッチ式のフロートです。フローティングタイプとシンキングタイプが発売されています。こちらのアイテムはやはりリグを組み直さないで取り付けできるのが最大の魅力となります。タックルボックスに忍ばせておくと活躍する場面が必ずくるでしょう。
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<TSURINEWS編集部>
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