どんなに注意していてもスピニングリールに細かい傷や汚れが付くことは避けられない。ただ、スプールエッジの傷については見逃せない。

応急処置を説明しよう。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・井上海生)

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スプールエッジの傷を修復

先日、不注意で、愛用の2000番リールのスプールエッジに、細かいキズをたくさん入れてしまった。スプールエッジのキズは、とくに繊細なラインを使うライトゲームでは、ライン放出を妨げたり、キャスト切れさせたりと、釣りの大問題となる。しかしごく小さなキズであれば、スプールを買いかえるほどではない。耐水ペーパーで修理することも可能だ。

傷修理に必要なもの

・マスキングテープ
・耐水ペーパー1000、1500、2000番。
・水
・仕上げ剤(あれば尚よし)

以上、4つでOKだ。耐水ペーパーは、この程度の番手ならば、3つセットになったものが100均で売られていることもあるようだ。マスキングテープと共に、以前車のキズ修理に使ったときの残りを今回は使用した。つまり実質、コストゼロ。

仕上げについては、さらに細かい番手の耐水ペーパーでもいいが、金属磨き剤である「ピカール」などを使うといい。この手の仕上げ剤は、ペースト液体を擦りつけるものでありながら、実は、大体4000番手くらいの耐水ペーパーと同じ働きをするようだ。

また、耐水ペーパーを浸す「水」だが、これは、より粘性の高いオイルでやった方がいいという話もある。その方が簡単にキズを均せるようだ。

今回、私はスプールエッジの広範囲にキズをつけてしまったので、水を使用した。

修理の工程

キズが入ったスプールは、こんな感じだ。

スピニングリールのメンテナンス術:『スプールエッジ』の小傷応急処置
キズを入れてしまったスプール(提供:WEBライター・井上海生)

このような細かいキズでも、細イトには致命的である。要修理だ。

テープでイトを養生

まず、キズの研磨・均しの前に、スプールに巻いているイトを防備しなければならない。このように、マスキングテープで養生する。後からきれいにはがれるので、不用意にラインを削らないように、しっかりと一周させよう。

スピニングリールのメンテナンス術:『スプールエッジ』の小傷応急処置
スプールのイトをマスキングテープで養生(提供:WEBライター・井上海生)

耐水ペーパーで削る

そして、耐水ペーパーを水に浸して、削っていく。大きめのキズを、1500番の耐水ペーパーでまず擦る。途中、擦った部分の手触りを確かめながら、削りすぎないように注意。滑らかになるまではひたすら優しく、水にちょこちょこ浸し直して、擦っていく。

スピニングリールのメンテナンス術:『スプールエッジ』の小傷応急処置
耐水ペーパーで磨く(提供:WEBライター・井上海生)

ちなみに、この程度の浅いキズであれば、耐水ペーパー1000番の粗さは不要だった。「くぼみ」が発生しているような大きめのキズには必要だろう。

仕上げ

1500番でスプールエッジのキズを大体ならせたら、次は2000番を取り出してくる。そして同様に水に浸して、より目の細かい2000番耐水ペーパーで、仕上げていく。

手で触ってみて、つるつるすべすべになれば、これで完了だ。

スピニングリールのメンテナンス術:『スプールエッジ』の小傷応急処置
手で触ってつるつるすべすべ、完了(提供:WEBライター・井上海生)

金属磨き剤が手元にある人は、この状態からさらにそのペーストで磨けば、よりよい状態にもっていける。もちろん、そのときもラインは養生したまま磨こう。

修復する欠点

上述のようなスプールエッジの補修は、賛否が分かれるところでもある。

メッキ処理が剥がれる

というのも、リールのスプールエッジは、非常に高度なメッキ処理がされている。そのおかげで、サビや腐食から守られるのだ。耐水ペーパーで磨くと、そのメッキを剥がしてしまうことになり、当然そのスプールは、腐食・サビが発生しやすくなることを避けられない。

実際、私が今回削ったスプールも、元は金色だったのが、色が剥がれて、削った部分はシルバーになっている。とはいえこのシルバーが、果たして「地金」なのかどうかは、わからないところがある。よって、私の感覚では、耐水ペーパーで削る(均す)のはアリだ。これでラインの放出はまったく問題なくなる(もちろん回収にも影響なし)。

保管に要注意

ただ、削ったスプールは、釣行後の保管には注意した方がいいのは確かだろう。具体的には水洗い後、自然乾燥させないで、さっとウエスで水気を拭うくらいの手はかけてやる。これで今まで削れたスプールも、実際、腐食などが発生したことはない。

ちなみに、自分でメッキ加工ができるキットも販売されているようだが、それだけでも一万円程度するらしい。

まあ長く使うことを考えれば一つの投資ともとれそうだが、「人の手でメッキ加工」というのは、なかなかハードルが高い気がする…。

耐水ペーパーは必須

耐水ペーパーとマステキングテープ、できれば仕上げ剤。これがあればスプールにキズが入っても買いかえずに済むことが多い。繊細なイトを使うライトゲーマーには必須のアイテムだ。もしキズをつけてしまっても、絶望することはない。多少のキズなら、なんとかなる。

ただ、自身での処置に自身がない場合は、近くの釣具屋さんやメーカーに相談しよう。

<井上海生/TSURINEWS・WEBライター>

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