山梨県・富士五湖のひとつ、西湖のトラウトがもうすぐ開幕。ここでは最もおいしい淡水魚とも言われるヒメマスについて、同湖でのポイントや釣り方を紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也)
西湖解禁間近
山梨県・富士五湖のひとつ、西湖。同湖のトラウトといえば、ヒメマス、サクラマスが有名だ。2010年、絶滅したとされていた秋田県・田沢湖の固有種であるクニマスが発見されたが、この希少種は狙って釣れるものではない。
同湖の最大深度は70m超。淡水系の釣り場としては、かなり深い。

放流の中心はヒメマス。サケマス類では小型だが、銀白色に輝くその魚体はほのかにピンク色を帯びて美しい。国内の淡水魚の中でもっとも美味しい魚のひとつとされている。

同湖では、稚魚放流のほか、15~20cmの成魚放流が行われている。栃木県・中禅寺湖や神奈川県・芦ノ湖の同魚に比べてやや小ぶりだが、数釣りを楽しめるのが特徴だ。
釣期は春と秋の年2回。例年ならば、3月20日~5月末まで、10月1日~12月末までが解禁期間となっている。
エサ釣り&トローリングが主流
同湖でのヒメマス釣りは、エサ釣りとトローリングが中心。エサ釣りの場合、主要ポイントにブイがあるので、それにロープをつないでボートを係留する。

仕掛けは5~6本のサビキを使用する。ヒメマス専用のサビキ仕掛けはあるが、アジ用の4~5号でも代用可能。食い上げるアタリが多いので、オモリは15~30号と重めを使用。エサは、イクラのほか、サシ、イカ短。タナが深い場合、イクラは水圧で潰れてしまうことがあるので要注意だ。
また、スキンや皮以外に、ウイリーを使った仕掛けもある。エサを付ける必要がなく、覚えてしまえば釣果が安定するので、これで専門に狙う人もいる。

トローリングは、一般的にヒメトロと呼ばれ、ボートをゆっくり操作しながらの釣りとなる。主にエンジン船を使うが、ローボートで釣果を上げている強者もいる。
仕掛けは、シンカー60~80号の後ろに、ペラやドジャーと呼ばれる集魚板を装着し、その先にルアーやタコベイトを付けたもの。魚探でタナと群れの動きを把握し、ボートを操作しながら的確にルアーを群れの中に入れて食わせる。
ポイントの把握がキモ
ヒメマスは流れのある生きた水を好み、その流れは風向きや水温により変わってくる。前回釣れたからとそのポイントに入っても、アタリすらないことも少なくない。
傾向として言えるのは、春季は水面下15m前後からスタート。ゴールデンウイークには、ノベ竿でも釣れるような浅場に浮いてくる。また、秋季は水面下20m前後を中心に、日によって15~30mと幅がある。

ちなみに、同湖は湧水により湖水が確保されているので、インレットはない。それゆえにボートを使用し、魚探を見ながらその日のタナや回遊ルートを探し出すところから始めなければいけない。
当たれば連続ヒットも
バラシが多いことも、この釣りの難易度を上げている。25cm級であっても、60号のオモリを食い上げるほどの引きを見せる一方で、サケマス類の中でもっとも口が弱く、強引に引き寄せると口が切れてしまう。さらに、慎重に引き上げすぎると、掛かった魚にブラックバスがバイトしてくることも。一筋縄ではいかないのが、同湖でのヒメマス釣りなのである。
初心者にはやや敷居が高く感じられるかもしれないが、ヒメマスは群れで回遊する魚。当たれば比較的簡単にバタバタと釣れる。

解禁直後は寒い日が多いが、ゴールデンウイークごろになると、ポカポカと暖かい日に釣りができるようになる。湖の中層にいる魚なので、晴れた日でも食い渋ることは少ない。産卵期の婚姻色が出て背っぱりになった魚体も格好いいので、ぜひ訪れてみてはいかがだろうか。
<週刊つりニュース関東版 APC・藤崎信也/TSURINEWS編>
▼この釣り場について西湖
西湖漁協 TEL=0555(82)3456
この記事は『週刊つりニュース関東版』2021年3月5日号に掲載された記事を再編集したものになります。
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