今回私の今までの経験を基に、投げキス釣りの基本を紹介させていただく機会を得た。これから始めてみたい人にとって、少しでも手助けができればと思う。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

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投げキス釣りの魅力

近年、海で遊ぶ人が増えてきた。時節柄、密集を避けて屋内で過ごすことよりも、アウトドアで遊ぶことを考える人が増えてきたように感じる。私は季節になると砂浜にキスを求めて出かけることが多いが、最近思うことはここ数年キス釣りを楽しむ人が増えてきたように思う。

キスは味にクセがなく淡白で、多くの人に喜んで食べてもらえる魚ではないだろうか。釣ったばかりのキスはきれいなパールピンクをしている。その姿形から、砂浜の女王と言われる魅力的な魚だ。砂浜からのキス釣りは危険が少なく、子供から年配者まで楽しめる。

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手軽に誰でも始められるのが投げキスの魅力(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

サーフのキス釣りはそろえる道具が少なく、投げるコツさえつかめば気軽に楽しめる。近いうちに魚釣りを始めたいと考えている人は、ぜひキス釣りにチャレンジしてもらえればと思う。

また砂浜で釣っていると、早朝にウオーキングをしている人からよく「釣れますか」、「どうですか」と声をかけられる。このひと言で知人が増え、釣友の輪が広がっていくのも魅力だ。

投げキス釣りのタックル

基本的なタックルは、サオとサオ立て、スピニングリール、テンビン、オモリ、ミチイト、チカライト、指のプロテクター、仕掛けとキスを入れるクーラーボックスだ。その他必需品として、イトがヨレないためのヨリモドシなどがある。

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タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 横山准司)

高価な道具は必要なない。

道具選びで大切なことは、仕掛けを少しでも遠くへ投げられる道具を選ぶことだ。また、自分の体力に合うサオを選ぶこと。魚の口に入る大きさのハリを使った仕掛けを使うこと。

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サオ立ても必須(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

経験が浅い人でよく忘れがちなのが、サオ立てとプロテクター。サオ立てはサオのガイドやロッド本体を傷から守り、リールに砂がかみ込まないようにするためだ。またプロテクターは、投げるときに指でチカライトを押さえるので、指のケガを防止する必須アイテムだ。

サオの選び方

投げザオは振り出しタイプと並継ぎタイプがある。振り出しは持ち運びの利便性が良く、コンパクトだが、サオの継ぎ数が多いので反発力が弱くサオ自体が重い。

並継ぎは基本的に3本でできており、コンパクトとは言いがたいが、継ぎ数が少ない分反発力が強く、遠投に適している。サーフのキス釣りでは、仕掛けを遠くへ運べる並継ぎザオが扱いやすいだろう。

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サオとリールは必ず投げ専用のものを(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

サオの長さは、一般的には4m前後が多く使われている。調子は先調子と胴調子があるが、先調子の方が扱いやすい。

サオにはいろいろなクラスがあり、調子と長さと使用オモリ負荷(号数)で区別される。

サオはオモリ負荷が大きいほど反発力が強く遠投性に優れるが、自重が大きくなりキャスト時にパワーと技術が必要になる。投げ釣りの経験が浅い人は、男性ならオモリ負荷25~30号、女性であれば、20~25号までで選択するのがいいと思う。

長さは男性なら4m前後、女性の場合は極力3.6~4.05m、子供の場合2.4~3.3m、または少し長めのルアーロッドもいいだろう。

リールの選び方

リールは必ず投げ釣り専用のリールを選ぼう。特徴はイトを巻くスプールの溝が浅く、径が大きい。値段で買うのではなく、サーフ使用時の基本的な機能を有しているかに重点を置く。0.6~1号のPEラインが200m巻けるものがいい。

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溝が浅く径が大きい投げ専用リール(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

ミチイトについて

ミチイトの材質の主流はPEラインだ。PEはポリエチレン製で25mごとに色分けされ、キャストした距離を視認できる。強度が極めて強く、柔らかく水よりも軽い。投げ釣りで使用するものは、一般的に200m巻きで販売されている。

昔ながらのナイロンのイトに比べると強度は非常に強いが、オモリを遠くへ飛ばすだけの強度はないため、細いミチイトにテーパーライン(ミチイト側の太さが0.8号~オモリ側の太さが6号など)というチカライトをつないで使用する。ミチイトとチカライトが一体になったPEラインも販売されている。

砂浜で使うミチイトの太さは、0.6号や0.8号を使うことが多い。

海底にシモリや海藻がある所では、0.8~1号ぐらいがいいだろう。

オモリとテンビンについて

オモリとテンビンは種類が多く、オモリとテンビンが別々になっているもの(半遊動型)や、一体型(固定型)がある。半遊動型はアタリが分かりやすいのが特徴だが、多少飛距離が短くなるデメリットがある。

固定型は可動部がないため、キスがハリをくわえて逃げるように泳がないとアタリを取れない。アタリが少し捉えにくくなるが、飛距離を出せる。形状的にはL字型のタイプのものが多い。どちらも釣果に大きな差は出ないので、好みで使い分けたらいいと思う。

サオに記載されている標準オモリ負荷の号数よりも、若干軽いものを使用するようにしよう。例えば25号負荷なら20号や23号を使用する。

仕掛けについて

何といっても釣果を左右するのは仕掛けだ。これから始めようとする人は、既製品を購入して使用するのがいい。いろいろな仕掛けが販売されているが、選ぶポイントはハリの大きさだ。

一般的には5~7号くらいが理想。釣れるキスの大きさで選ぶことになるので、釣り場によって使い分けるのがいいが、5~7号のハリであれば一年を通して、大体どこでも通用する。

もう1つ気をつけたいのはハリ先だ。できるだけ鋭いものを選ぼう。ハリ先が鈍いとキスの口に刺さりにくくなり、外れやすくなる。慣れてきたら自分で仕掛けを作るのもいいと思う。

ハリ数は少なく、2~3本で始めるのがいい。ハリ数が多くなると仕掛け全長が長くなり、キャストが難しくなる。

キスの習性とポイント探し方

キスは海底の砂地に生息している。シーズンに入ると活動範囲が広く、エサを求めて活発に行動する。水温が低い早朝は、エサが豊富な波打ち際に近い所まで近づいてエサを捕食し、日中は水深のある所、波気のある場所、潮が当たる場所、潮の流れのある所、小さな川の流れ込み、カルバートや消波ブロック周辺、河口周辺など、水温が若干低くプランクトンが多く発生するような場所に移動する。

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砂浜に設置された消波ブロック(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

また沖に向かって縦移動するときや横に移動するときがあるので、遠近だけではなく、左右にも移動しながら探すことが大事だ。

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沖テトラの前や間を狙う(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

砂浜以外では、砂浜から突き出た堤防や漁港周辺の防波堤、階段や石畳を敷き詰めてある所、沖にテトラが入っているような所など。基本的には海底に砂地が多く、水深がある所がいい。キスは生息範囲が広いので、いろいろ探すのも面白い。

エサについて

エサはイシゴカイやアオイソメが一般的だ。その他にちょっと高価なチロリや人工エサも売られている。生エサが苦手な人は人工エサでもいい。

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最もポピュラーなエサのイシゴカイ(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

イシゴカイはキス釣りで最も多く使われ、小型からレギュラーサイズのキスを狙うのに適し、アオイソメは中~大型までのエサとして使用する。チロリは特効薬的な効果があるが、高価で入手しにくい。イシゴカイをメインに、濁りがある場合はアオイソメを使うのが良いだろう。

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チロリは特効薬的なエサ(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

キスはエサを吸い込むように捕食するのが特徴だ。太すぎるエサや長すぎるエサは吸い込みにくくなるので、ハリ掛かりしないことが多い。

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垂らしは短く付ける(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

エサの付け方は、ハリ先からせいぜい1cmも垂らせば良く、太いエサならハリ先ぎりぎりで切って使うのがいい。

キャスティングの方法について

キャスティングはいろいろなスタイルがある。ポイントを外すと極端に釣果が落ちるので、ポイントを的確に攻めることができる投げ方がベストだ。コントロールを意識したキャスティングは、オーバースロー、スリーコーター、V字など。だが人よりも遠くに飛ばすことではなく、キスが釣れる場所に的確に仕掛けと運ぶことが大事だ。

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広大な砂浜でのフルキャストは爽快そのものだ(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

そのため慣れていない人はコントロール重視のオーバースロー、経験を積んで慣れてきたらスリーコーターやV字投法がお勧めだ。

昔と比べて釣道具はかなり進化しているので、ちょっとコツをつかめばすぐに投げられるようになる。

基本の釣り方

キス釣りは待っていてもなかなか釣れないが、誘いをかけることで容易に釣れる。初心者によくありがちなのが、キャスト後サオを立てかけて、キスが食うのを待っていることだ。仕掛けを置いておくと、別の魚や他の海の生物にエサを食われてしまう。

ゆっくりとサオで仕掛けを引いたりゆっくりとリールで巻いたり、また時々仕掛けを止めてキスに食わせるタイミングを与えたりと、誘いをかけることが重要だ。

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盛期には20cmを超える良型もよく交じる(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

ではどのような場所で誘うのがいいのか。初心者にありがちなのは、釣れなくても同じ場所にいること。キスは群れで行動する。アマモなど海藻がある所はエサが豊富なので、比較的長く滞在していることが多いが、基本的によく移動する。

このため同じ場所で釣るのではなく、キスの動きを予測し移動しながら釣ることが望ましい。釣れないときはキスが来るのを待つのではなく、釣り座を変更しよう。

誘い方

誘い方について説明しよう。キスは移動を繰り返すので、常に遠くにいるとは限らない。砂浜の形状にもよるが、近い所では波打ち際でも良型が釣れる。遠くへキャストできなくても、自分のエリア内で釣り方を工夫するだけで釣果が変わる。

キャストした後は1投での探る距離を短くし、探る時間間隔を少し長くしよう。そうすることで仕掛けを長くポイントに入れておくことができ、釣果につながる。

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連掛けできれば数は一気に伸びる(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

次は釣れる時間帯について。私の釣行は早朝の午前5時ごろから午前中いっぱいが多い。この時間帯だと、満潮と干潮の両方の時間帯にサオを出せるからだ。

魚は潮の動きに敏感だ。潮止まり直前に急に食いが立ち、潮が動き始めると急に釣れることはよくある話だ。ぜひこの時間帯を逃さず、頑張ってトライしてほしい。

連掛けを狙おう

最後に連掛けについて。仕掛けにせっかくハリが多く付いているのに、1投で1匹しか釣れないとなるとエサとハリと時間がもったいない。

キスはエサを求めて群れで行動する。エサを見つけると、当然群がってくる。連掛けの秘けつはここだ。1匹掛かっても仕掛けを回収せず、ゆっくりと探り続けたり巻くのを一瞬止めたりして、誘いを続けることだ。

キスが掛かるとアタリが強く出る。このアタリを数えることで、おおよその数を推測できる。ハリ数に合わせて数をカウントし、ハリ数分だけキスを掛けることはこの釣りの醍醐味だ。

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キスが連なって上がってくるこの瞬間が醍醐味だ(提供:週刊つりニュース中部版 横山准司)

以上、私の経験をもとに執筆してみた。少しでもお役に立てればと思う。これからますます暑くなってくるので、体調面に気をつけてトラブルがないように、サーフからのキス釣りを満喫していただければと思う。


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<週刊つりニュース中部版 横山准司/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2022年6月24日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 【2022年】投げキス釣り入門 遠くに投げれば釣れるは間違い? first appeared on TSURINEWS.
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