2022年の夏、大阪府岬町の人気の釣り公園「とっとパーク小島」に、カンパチの幼魚シオが大量回遊。釣果を手にして喜ぶ他の釣り人達を尻目に惨敗続きのへっぽこ釣り師が、ようやく37cmのシオを仕留めるまでの3週連続釣行の模様をレポートさせていただきたい。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

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とっとパーク小島の夏は「シオ祭り?」

記録的な猛暑となった2022年の盛夏に、夏バテを吹っ飛ばす激熱な情報が発信された。大阪府岬町の人気の釣り公園「とっとパーク小島」に、カンパチの幼魚シオが大量回遊し、ホームページの釣果情報はスタッフ自らが「シオ祭り」と書くほどの釣れ盛りぶり。回遊魚は気まぐれ。いつ居なくなるか分からないと、今が勝負時と釣行を決めた。

とっとパーク小島での「のませサビキ釣り」で37cmシオ(カンパチ幼魚)
とっとパーク小島(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

なお、とっとパークの概要については、他のライターさんが執筆された以前の掲載記事「関西オススメ海釣り場:とっとパーク小島 マダイや大型青物も【大阪】」で判りやすく解説されているので、まだご覧になっていない方はそちらも参考にご覧いただきたい。

関西オススメ海釣り場:とっとパーク小島 マダイや大型青物も【大阪】

のませサビキ釣りとは

とっとパーク小島でのシオ狙いの主な釣り方は「のませサビキ釣り」、「カラバリ釣り」、「のませ釣り」の3種類。いずれも小アジ、小サバ、イワシなどの小魚を活きエサにして、シオに食いつかせる食物連鎖を利用した釣りだ。

この時期は生きエサのサイズが豆アジ級の小ささで、のませ釣りは難しいと判断し、最も簡単なのませサビキ釣りで挑むことにした。のませサビキ釣りとは、普通にサビキ釣りをして小魚を掛けたら、釣り上げずにサビキを海中につけたまま、本命の魚が回遊するタナに合わせて下す(上げる)と、あとはそのままにして本命の魚が食いつくのを待つという釣り方だ。

シオはいつ、どのタナに回遊して食いつか分からないので、普段は置き竿にして待つ。置き竿にする時は竿を海中に持って行かれないように、尻手ロープで繋いでおきたい。なお、とっとパーク小島の釣り区画には手摺りがあるので、常連は船釣り用の竿受けを持ち込んで使っている。

とっとパークで釣れていた青物(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

のませサビキ釣りのタックル

私のタックルは、5.4mの磯竿5号にミチイト6号を巻いた両軸リールをセット。サビキはイサキバリ8号にハリス6号という船釣り用の太ハリスサビキを選択し、まきエサカゴのテンビンの先はハリス4号にホログラムバリ4号の2本バリ仕掛けをセットした。シオは35cm以上のパワフルな魚で、時にはハマチ、メジロもヒットするから、お手軽なファミリー用のサビキでは一瞬でブチ切られてしまう。

アミエビを詰めるまきエサカゴはサビキの上下それぞれに付けるダブル方式で、上下からまきエサをサビキの周りにまとわせる作戦だ。ただし食いつかせるのが難しい豆アジ級のサイズだという点も考慮して、ハリにはMサイズのオキアミを刺して、1匹でも多くハリに掛けるように工夫した。

この機会に、シオをはじめハマチ・メジロなどの回遊魚をとっとパーク小島で狙う時の竿選びの注意点をあげておきたい。常連の多くは重いオモリにも対応できる船釣り用の竿か号数の高い磯竿を選択して万全を期している。なので、ファミリー用の軽量プラカゴサビキにしか対応できないソルトルアー用のライトタックルでのませサビキ釣りをするのは、私はお勧めしない。

ライトタックルは竿が短く案外軟らかいため、サビキ仕掛けも掛けた魚のコントロールが難しく、のませサビキ釣りにも不向きだ。特に一人当たりの割り当てスペースが狭くて混雑するとっとパーク小島では、周りとのオマツリのトラブルを招きやすく、実際、私が釣行した時も、ライトタックルの釣り人がオマツリトラブルになっていた場面を複数目撃している。

のませサビキのタックルと仕掛け(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

14日と20日は惨敗

とっとパーク小島は過去にも何回か釣行したことがあるが、シオ狙いでののませサビキ釣りでの釣行は初めて。1回目は8月14日。深夜1時に駐車場入りしたが、駐車場区画は57番目・入場整理券番号は54番と、辛うじて第一駐車場内に踏みとどまることはできたものの、シオ祭りの凄さを実感した。6時の開門後、大阪方の先端手前の好ポイントに釣り座を構えることができたが。結果はエサの豆アジを拾っただけの惨敗。

1回目は豆アジのみ(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

リベンジを誓って翌週の8月20日にも釣行したが、この日は天気予報よりも天候が悪化していて、10時過ぎまで雨の中の釣りを強いられ釣果はなし。

前2回はいずれもシオ祭り絶賛開催中の活況で、多くの人がシオを手にしていたほか、雨天の中の奮闘を実らせメジロ、ハマチの釣果を手にした強者の姿も目にした一方で、私は2週連続のへっぽこ釣り師丸出し状態。何がダメだったのかと反省するも、これといった失点も思いつかず、悶々とする日々が続くばかりとなった。

青物とやり取りする釣り人(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

大混雑で整理券は84番

このままでは終われないと、8月27日に3回目の釣行を決行したが、入場前に早くも出鼻をくじかれた。前日の23時40分ごろに駐車場に着いたにもかかわらず、既に先客の車で第一駐車場は埋まっていて、第二駐車場に回ることになった。

朝5時前に配られた入場整理券番号は84番。釣り区画の数は171とのことなので、シオが回遊する可能性のある区画に入れないかもしれない苦しい状況。開門前には第三駐車場も埋まり、入場制限間近の大混雑が必至となった。

開門を待つ釣り人たち(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

面白い事に、開門を待つ釣り人達の様子で、釣り人の腕前の差も何となく分かるのが、ここの特徴。入場順の早い整理券を手にした常連たちの多くは大型キャリーカー・大型クーラー・船釣りタックルの3点セットを上手く整理してまとめていて、仕掛けも下準備を済ませているのに対し、入場順の遅い釣り人は手回り品の様子からも、何となく通い慣れていない印象を感じさせる。

奇跡的にいい釣り座を確保

6時に開門すると、新型コロナ対策に力を入れているスタッフが、園内でのマスク着用を呼び掛けつつ、手指の消毒と自動体温測定器の使用を促しながら順に誘導していく。私も84番目に案内され、釣り台まで下りると、幸いなことに先客は大阪方と和歌山方に分散していたほか、混雑回避を最優先したグループもいたおかげで、当初狙っていた和歌山方の先端手前の好釣り座を奇跡的に確保することができた。最終的に、見渡せば釣り台は釣り人で埋め尽くされ、大混雑となった。

ちなみに、マスクは釣り台では適宜外してもよいことになっていたはずだが、大半の釣り人は常時マスクを着け続けていたので、夏の暑い最中ではあったが、私も周りに合わせてマスクを外さずに釣ることにした。

3回目の整理券(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

開始早々ヒットも痛恨のバラシ

釣り座を構え準備にかかると、数か所で早くも先客がシオを釣り上げ始めた。魚の活性は高いと心躍らせ、準備完了。

アミエビを詰め、全てのサビキバリにアミエビを刺してから。ゆっくりと仕掛けを海中に沈めていく。豆アジのサイズにも満たない小魚が海面に集まって来るが、のませサビキ釣りに必要な大きさの小魚を針に掛けないとシオには出会えない。

手返しを早くしてアミエビを詰め、全てのサビキバリにアミエビを刺すルーティンを面倒がらずに繰り返すこと3回目、海面から6mぐらいのところで小魚がしっかりハリに掛った感触を手にしたので、置き竿にしようと試みた直後、掛けた小魚が暴れるブルブルとした感触が強まると、一気に強い引きがギューンと伝わってきた。ついに時は来た!

ところが魚もしたたかで、釣り台を支える海中の支柱の方向に突っ込み、結局仕掛けが支柱に絡まってジ・エンド。せっかくのヒットを逃してしまったが、悔やんでいる暇はない。即座に仕掛けを総換えして釣りを再開する。

私の釣り座(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

ついに念願のシオをゲット

すると同じような感じで小魚をハリ掛かりさせることに成功。海面から7mほどのタナを想定して置き竿にすると、7時前に竿先が海中に一気に引き込まれた。竿を手にして魚とのやりとりをスタートする。

魚の引きはパワフルながらも、5.4mの磯竿5号の長さと強さが威力を発揮して、手から伝わる魚の引きの感触は翻弄されるほどでもない。ほどなく魚は海面に姿を見せ、体高の高い魚体は本命のシオと判明。狭い釣り座なのでタモ出しは慎重を期したが、上手くタモ入れに成功。

3度目の釣行で初めて念願のシオを手にすることができた。

苦労した前2回とは一転して早々に釣果を得て、喜びに浸りたいところだったが、シオへは血抜きのためのエラ刺し〆だけに留め、追釣を優先して釣りを再開した。

近くでは青物をヒットさせた釣り人が2人を巻き込んでのオマツリトラブルが発生。巻き込まれた釣り人は、ライトタックルに軽量プラカゴサビキという組み合わせで置き竿にしていたために仕掛けがコントロールされておらず、仕掛けが潮に流されて生じた面もあったトラブルのようにも思われた。

念願のシオをゲット(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

最終釣果

私の他にもシオやハマチ・メジロなどの本命を手にした釣り人たちが、あちこちで歓声をあげていたが、残念ながら8時前に豆アジすら釣れなくなって時合いは早々と終了。その後は大阪方で常連の中でも名手だけが操れるカラバリ釣りで、ポツポツと青物をヒットさせるだけという渋い状況に陥った。

結局、私は追釣ならずに11時30分ごろに納竿。釣果はシオ37cm1匹だけとなった。虎の子の1匹は釣り台の一角にある洗い場で下処理して汚れを落とし、大切に持ち帰った。3週連続で釣果は1匹だけというコストパフォーマンスの面では胸を張れない釣行とはなったが、帰宅後の夕食では、身の厚い食べ応えのあるシオの塩焼きを賞味して、食味と釣りの喜びを共に噛み締めた。

シオの塩焼き(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)

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<伴野慶幸/TSURINEWSライター>

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とっとパーク小島
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