4月7日(日)、相模湾の船宿から超深海のベニアコウ釣りに出かけた。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・針生芳昭)
超深海でベニアコウ釣り
ベニアコウの標準和名は「オオサガ」と「サンコウメヌケ」の2種類。水深1000m以上(東京スカイツリー634mと東京タワー333mを足してもまだ深い)。
道具は最強&最大で、ロッドはオモリ負荷300~800号、リールはPEライン12号を1400m。オモリは500号で、重量約1.9kgと重い。
6時30分に集合、ポイントまで1時間以内と意外と近い。オマツリ回避のため片舷に並び、一日の投入回数は4回。投入から着底まで約15分、30分ほど流してから、巻き上げに約40分。1回の投入から巻き上げ終了まで90分ほどを要す。
投入はミヨシ側から「1番の人」と呼ばれる。1人目がスムーズに投入したら、船長が船をバック。次に「2番の人」と続く。投入準備ができていなかったり、手前マツリなどトラブルがあった場合は一回休み。ゆえに、準備は万全にしておきたい。
サミングに全集中
掛け枠から仕掛けがパラパラと海中に消えていく。全部の仕掛けが完全に投入できたら、リールのクラッチをフリーに。手前マツリや投入ショックでのバックラッシュなどのトラブルを防ぐためだ。
リールのスプールに指の腹を当てて落下スピードを調節。オモリの重さを感じながら海底まで仕掛けを下す。船長から「水深1050m」とアナウンス。もっとも重要なのは、オモリの着底を見逃さないことだ。水深の手前50mほどでサミングに全集中、竿先が一瞬オモリの重さから解放されるのを見極める。これを逃すと、潮流でPEラインが永遠と出ていくことになる。水深1000mもあるので、再度の底取りは難しい。潮の流れが速いとリールカウンターは100m以上出ることも普通だ。
30分ほど流したら船長から「上げてください」と合図。魚が付いていなければ高速で、魚がいれば中速で巻き上げる。
忘れがちなのはドラグ調整で、ミチイトが急に引き込んだとき滑るように調整。また、巻き上げ時の注意として、隣に座った人と約100mごとに伝え合う共同作業だ。
2投目で手応えアリ
2投目、オモリが着底して底をとった瞬間、竿先に小さなアタリ。「うわ~、アタった」。すかさず船長に「アタったよ」と報告。
全員一斉巻き上げのため、それまで追い食いを狙う。細心の注意を払って、オモリのテンションを感じながらミチイトを送り込む。魚の口に掛かったハリ穴が大きくなり、外れないか心配だ。ほんのたまに小さい引きがあるとホッとする。
やがて、船長の「巻き上げてください」のひとことに安堵する。オモリ以上の重さがあり、500m付近で時どき引きが伝わると「これはもしかして」とワクワク。
4kgベニアコウが浮上
ハリ掛かりしていれば魚の体内にガスが溜まって、海面に近づくにつれミチイトの侵入角度が真下から90度の平行に。巻き上げが終わった時点で、仕掛けと魚が一緒に海面に浮き上がる。
ハリスを順番に取り込んでいくと、海面に赤い魚が浮いた。「やった~」、見事ベニアコウを釣り上げ成功。サイズは63cm、4kgジャスト。
型を見れない日が多いなか、2投で釣り上げたのは上出来。もう頭の中はどうやって食べるのかでいっぱいだ。
最終の4投目、胴の間に座った風穴さんに3.8kg。ミヨシに座った塚原さんは当日最大の4.4kgをそれぞれ釣り上げた。
ベニアコウの料理
ひとことで言うと脂が凄い。身全体が大トロだ。上品で良質なさらさらな脂が旨さの素。まったくしつこさがない。釣ってからすぐに食すのではなく、2~3日熟成させたほうが旨い。
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<週刊つりニュース関東版APC・針生芳昭/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース関東版』2024年5月10日号に掲載された記事を再編集したものになります。