ヤクルトの山田哲人と村上宗隆が実力どおりの結果を出している。7月6日現在、ふたりの成績は以下のとおり。

山田 打率.271/22本塁打(リーグ3位)/54打点(同3位)/OPS.904(同5位)
村上 打率.262/24本塁打(リーグ1位)/56打点(同2位)/OPS.961(同2位)
※OPSとは打者を評価する指標のひとつで、出塁率と長打率を足したもの。数値が高い選手ほどチームの得点に貢献していることになる

 打率こそ高くはないが、12球団唯一の"不動の3・4番コンビ"は圧倒的な打撃力を見せつけ、相手の脅威となっている。ともにオールスターにファン投票で選出され、東京五輪では侍ジャパンのメンバーとして金メダルをかけた戦いに挑むことになる。

山田哲人&村上宗隆、「語り継がれるような」3・4番コンビへ。...の画像はこちら >>

好調ヤクルトを牽引する山田哲人(写真左)と村上宗隆

 高津臣吾監督の生え抜きドラフト1位コンビへの期待は高く、信頼も厚い。

「哲人はもう中堅となり名実ともにチームのリーダーです。若いムネ(村上)がこれからどう成長していくのかはわからないところですが、いつの日か『あの時のスワローズの3・4番はすごかった』と語り継がれるような、そんなコンビになることを期待しています」

 今年2月の春季キャンプからふたりを見ていて気がついたのは、じつに仲がいいということだった。

キャッチボールでコンビを組み、身振り手振りを交えてバッティング談義をすることもしばしば見られた。

 シーズンが始まれば、並んで室内練習場へ向かい、アップ中も頻繁に会話している姿を見かける。ときにはお互いの胸板の厚さを触って確かめあうなど、年齢差(山田が8歳上)をまったく感じない。

 高津監督に山田と村上の関係について聞くと、「あのふたりは仲がいいですね」と笑って、こう続けた。

「ムネは友だちみたいな感じで接しているのですが、哲人がきちんと一線を引きながら面倒を見ているというのかな......そういうところは(監督として)うれしいですよね。仲がいいことがチームに必要かは別として、お互いに刺激しあっている部分はあると感じています」

 話は少し逸れるが、今シーズン、山田は自ら志願してキャプテンに就任した。

若い選手たちに積極的にアドバイスするなど、その姿はこれまでと明らかな変化を感じる。山田は言う。

「若い選手たちには『チームのために頑張りなさい』とはあまり言わないようにしているんです。みんな生活がかかっていますし、まずはしっかり個人で結果を残してほしい。そのための取り組み方だったり、そういうことは言うようにしています。どうすれば試合で活躍できるのか......結果的にそれがチームの勝ちにつながると思いますし」

 4月23日、神宮球場での中日戦は、山田と村上が名実ともにリーダーとしてチームを牽引する象徴的な試合となった。

 この日から、新外国人のホセ・オスナとドミンゴ・サンタナがチームに合流したのだが、山田と村上が一緒になって彼らのもとへ歩み寄り談笑。試合では、山田が2本塁打を含む3安打3打点の活躍を見せると、村上も負けずに3安打1打点と、チームを勝利に導いた。

 試合後、高津監督は満足そうな表情でこう語った。

「(山田が打って)ムネがすごくうれしそうにしていましたけど、3・4番がしっかり出塁し、走者を還すことができたら打線が締まりますよね。哲人とムネは、ひと振りで試合の空気をガラリと変えることができるし、それはチームが望んでいることです」

 山田と村上に、コンビとしてチーム内でどんな存在でありたいのかを聞いてみた。

「やっぱり打線の中心ですし、『僕らが打たないと勝てない』という思いでやっています。

実際、村上とは『オレらが打たなあかんな』と話していますし、そこはしっかり自覚を持ってやっています。これからもそこは変えずやっていきたいと思います」(山田)

「僕は哲人さんのあとを打っていて、本当に頼もしいというか、気楽に打席に立てるのですごく助かっています。どちらかの調子が悪い時はカバーして、1試合でも多くチームを勝ちに導けたらと思っています。これからもずっとヤクルトの3・4番として、常にチームを引っ張っていきたいですね」(村上)

 ある日の神宮球場では、山田が早出ティー打撃でバットを振り込んでいた。この光景はじつに3年ぶりで、山田のコンディションのよさを証明するものだった。そして村上は、今年も高いレベルで成長を続けている。

このふたりがほかの選手たちに与える影響は、1+1が3にも4にも5にもなると思わずにはいられない。

 戦前の下馬評を覆し、阪神、巨人と首位争いを繰り広げているヤクルト。このふたりがいま以上の活躍を見せれば、6年ぶりのリーグ制覇も現実味を帯びてくる。