12月25日、全日本フィギュアのフリーに臨む三原舞依
【繰り返してしまったミス】
12月25日の全日本フィギュアスケート選手権女子フリー。三原舞依(シスメックス)はわずかなところで、北京五輪につながる表彰台を逃してしまった。
中野園子コーチが「やったことがない失敗」と話した部分。後半のダブルアクセル+3回転トーループがシングルアクセルになり、とっさに連続ジャンプをつける姿勢を取ってしまって1回転トーループをつけたと判定された。
さらに、次に予定していた3回転ルッツ+2回転トーループ+2回転ループは、セカンドを3回転トーループにし、サードを2回転トーループにするリカバリーを見せたが、セカンドは4分の1回転不足、サードはアンダーローテーションと判定され、GOE(出来ばえ点)で1.94点の減点されるジャンプになった。
三原はミスの原因について、「アクセルの前のところでフェンスに寄ってしまいました。この会場(さいたまスーパーアリーナ)で演じた10月のジャパンオープンの時もアクセルに入るカーブでミスをしましたが、その反省がうまくできなかった」と説明。ジャパンオープンでは、ダブルアクセルが4分の1回転不足で、3回転トーループは両足着氷でダウングレード。
【「4年に一度」の重圧】
今シーズンのグランプリ(GP)シリーズは2週連戦(スケートカナダ、イタリア杯)というハードスケジュールのなか、表彰台こそ逃したものの、ともに4位で210.01点、214.05点と自己ベストを連発する安定した結果を残していた。紀平梨花(トヨタ自動車)の大会前日の欠場発表で北京五輪代表3枠争いは混沌としていた今大会、出場選手の今季の得点を見てみれば、三原はNHK杯で優勝した坂本花織(シスメックス)に次ぐ2番手。表彰台と代表入りの可能性は十分にあった。
12月23日のショートプログラム(SP)は5位ながらもノーミスで自己最高の73.66点での発進でチャンスはあった。
だが、五輪代表選考会という4年に一度の大舞台の重圧は、予想以上に大きかった。本拠地の神戸で取り組んでいた練習ではフリーはずっとノーミスの滑りができていたが、埼玉入りしてから納得いく滑りができなくなっていたと言う。
「今日(12月25日)も朝の公式練習が終わってから体をほぐしてもらいましたが、ちょっと重さを感じていた。緊張もあり、試合前の6分間練習ではぜんぜん動けなかった。
こうした状態であったにもかかわらず、演技前半は彼女の持ち味である力みのないきれいなジャンプを決める、流れのある滑りだった。スピンやステップもすべてレベル4のしなやかな演技を見せた。ミスは2本のジャンプだけだっただけに、余計に惜しさの残る結果だった。
結果は、SP1位の坂本花織がフリーでも重厚感のある滑りをして合計234.06点で優勝し、2位はミスを最小限に抑えて221.78点とした樋口。3位にはSPに続いてトリプルアクセルを成功させて209.65点を出した河辺が入った。
SP演技の三原
【「あっと言う間」の4年間、そしてその次へ】
2019年夏からは体調不良で1シーズンをまるまる休養し、昨年10月から競技に復帰した三原。最初に五輪を目指した2018年平昌五輪シーズンからの4年間を、「すごくいろんなことがあって大変でしたが、あっと言う間に過ぎた感じ」と振り返る。
しかし五輪を狙った今季、体調は徐々に戻ってきてハードな練習ができるようになったという実感もある。そして、イタリア杯では「もっともっとスピードを出して力強く滑れるように練習をしていきたいです。
全日本の演技後、「帰ったらしっかり反省会をしたいです」と話した三原。北京五輪出場は逃したが、さらなる夢を追い求める気持ちはまだまだ燃え盛っている。彼女の、しなやかさのなかにも強靭さを秘める滑りの進化を楽しみにしたい。