7月10日、小倉競馬場で3歳以上馬によるGⅢプロキオンS(ダート1700m)が行なわれる。

 このレースは通常、中京競馬場のダート1400mで開催されているが、京都競馬場改修の影響で、昨年に続き小倉で行なわれる。

距離も300m長くなり、例年のレースの傾向が当てはまらないため、「小倉・ダート1700m」のデータを基に血統的視点で分析していきたい。

プロキオンSは「小倉・ダート1700m」で好成績のオルフェー...の画像はこちら >>

2020年に「小倉・ダート1700m」の阿蘇Sを勝利したアルドーレ

 過去10年の「小倉・ダート1700m」の種牡馬別成績を見ると、キングカメハメハとクロフネが27勝で並ぶが、勝率・連対率が目立つのがオルフェーヴル。100戦15勝で勝率15.0%、連対率25.0%は、この条件の勝利数ベスト30位の種牡馬の中でもっとも高い数字を残している。

 現役時代はクラシック三冠などを制したオルフェーヴルだが、種牡馬としてはGⅠ皐月賞のエポカドーロや、GⅠ大阪杯などGⅠ4勝のラッキーライラックという2頭の芝GⅠ馬を輩出。さらに、米GⅠBCディスタフのマルシュロレーヌ、地方交流GⅠかしわ記念を含めて重賞4連勝中のショウナンナデシコなど、ダートの大物も多く出している。

 今回は2頭のオルフェーヴル産駒が出走予定だが、筆者が上に見るのはアルドーレ(牡7歳、栗東・西村真幸厩舎)だ。


 同馬は2020年、今回と同じ「小倉・ダート1700m」で行なわれた阿蘇Sを勝利。その後は、GⅢシリウスSでカフェファラオから0秒6差の6着、GⅢアンタレスSでテーオーケインズから1秒差の5着など、重賞でも強敵相手に大崩れなく走り、今年に入ってからも2走前のブリリアントS(東京・ダート2100m)を勝利。今年7歳と高齢の部類に入るが充実期を迎えているようだ。

 前走のスレイプニルS(東京・ダート2100m)は6着と敗れたが、58kgを背負って展開も向かなかったので、見直しは可能だろう。今回は56kgで出走できることもプラス材料だ。

 血統も優秀で、半姉に地方交流GⅠJBCレディスクラシックのアンジュデジール(父ディープインパクト)、半兄にダートのオープン特別を含む7勝のアキトクレッセント(父ウォーエンブレム)、叔父に地方交流GⅠ川崎記念のオールブラッシュ(父ウォーエンブレム)と、近親にダートの活躍馬が多数出ている。

さらに父オルフェーヴル、母の父フレンチデピュティという配合は、前述のマルシュロレーヌと同じ。コース実績、血統ともにアピールポイントを持つアルドーレの重賞初制覇に期待する。

 2番手にも同じオルフェーヴル産駒のラーゴム(牡4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)を推したい。同馬は昨年GⅢきさらぎ賞(中京・芝2000m)を制し、クラシック戦線を進んだ馬。しかし芝重賞での凡走が続き、ダート戦に矛先を向けた。

 初ダートの仁川S(阪神・ダート2000m)は6着と敗れたが、今回と同じ右回りの1700mで行なわれた前走の吾妻小富士S(福島・ダート1700m)では、58kgを背負いながらダート初勝利。
いい勢いのまま、ここに臨んでくる。

 母シュガーショックは約1700m(=8.5F)のダート米GⅢファンタジーS勝ち馬。ディープインパクト産駒の姉アドマイヤメティスもダートで3勝を挙げているように、ダート適性を強く伝える牝馬のようだ。父の産駒で母系にフォーティナイナーを持つパターンは前述のエポカドーロ、ラッキーライラックが持つ成功パターンだけに、この馬もさらなる飛躍が期待できそうだ。

 以上、今年のプロキオンSはアルドーレ、ラーゴムのオルフェーヴル産駒2頭に期待する。