GI秋華賞(10月16日/阪神・芝2000m)のトライアル戦、GIIローズS(中京・芝2000m)が9月18日に行なわれる。

 春の牝馬クラシックを賑わせた有力馬がここから始動することも多く、例年充実したメンバーがそろう一戦だが、意外にも波乱が多い。

過去10年の結果を振り返ってみても、3連単では2020年の113万9000円を筆頭に、10万円超えの高配当が7回も出ている。

 そうした状況を鑑みれば、今年も穴狙いに徹していいだろう。そこで、好調続く「過去データ」から読み解く形で、今回のレースで台頭しそうな伏兵馬をあぶり出してみたい。

 なお、通常阪神競馬場で行なわれる同レース。京都競馬場の改修工事により、今年も中京競馬場での開催となるが、開催時期は変わらないため、ここでは阪神と中京の差は加味せず、過去10年の結果をそのまま参考材料とする。

 まず「過去データ」から狙ってみたいのが、前走で古馬混合の2勝クラス(旧1000万下)に出走して掲示板(5着以内)に載る奮闘を見せた馬だ。

 ローズSにおいては、このパターンの好走例が非常に多い。

 たとえば、2012年に3番人気で3着となったラスヴェンチュラス(前走3着)、2014年に9番人気で3着と健闘したリラヴァティ(前走4着)、2015年に2番人気で3着に入ったトーセンビクトリー(前走1着)、2017年に6番人気で2着と好走したカワキタエンカ(前走2着)、2018年13番人気で3着と善戦したラテュロス(前走4着)、2021年に12番人気で2着に突っ込んできたエイシンヒテン(前走4着)らがそうだ。

 今年のメンバーを見渡してみると、このパターンに当てはまる馬は3頭いた。ヴァンルーラー(牝3歳)、セントカメリア(牝3歳)、メモリーレゾン(牝3歳)である。

 いずれも前走では、牡馬混合の2勝クラスの特別戦に出走。古馬相手に、ヴァンルーラーとセントカメリアは2着と好走し、メモリーレゾンは勝利を飾っている。

 過去の例を踏まえれば、3頭とも面白い存在。なかでも、"穴"狙いに徹するなら、人気薄と見られるヴァンルーラーメモリーレゾンが絶好の狙い目となる。

 ヴァンルーラーは、前走の2勝クラス・三木特別(6月19日/阪神・芝1800m)で2着。好位3番手を追走し、最後は勝ち馬との叩き合いの末にハナ差で敗れたものの、年長馬相手に互角の戦いを見せた。

意外にもローズSは高額配当が続出。「過去データ」から浮上する...の画像はこちら >>

前走の2勝クラス・北海ハンデキャプを快勝したメモリーレゾン

 メモリーレゾンは、前走で2勝クラスの北海ハンデキャップ(6月11日/函館・芝1800m)を快勝。道中は中団馬群の後方に待機して、直線に入ってから大外を強襲して突き抜けた。

 どちらも地力を秘め、一発の可能性は十分にある。

 次に注目したいのは、前走で古馬混合の1勝クラス(旧500万下)を、メンバー最速の上がりを繰り出して勝ち上がってきた馬だ。このタイプも、過去に何度も好走を果たしている。

 2013年に9番人気で2着と奮闘したシャトーブランシュ、2015年に7番人気で勝利を飾ったタッチングスピーチ、2017年に8番人気で金星を挙げたラビットラン、2018年に2番人気で2着となったサラキア、2020年に11番人気で3着に食い込んできたオーマイダーリンらがいい例となる。

 ということで、今年も同じタイプの馬を出走メンバーから探し出してみたい。条件に合致したのは、サリエラ(牝3歳)とルージュリナージュ(牝3歳)だ。

 サリエラは、前走の1勝クラス(6月4日/東京・芝2000m)を絶望的な位置から32秒9の上がりを繰り出して差しきり勝ち。デビュー2連勝を決めた。

 ただ、同馬は血統的にも魅力的な存在で、ここでは1、2を争う人気となりそう。穴馬として期待するなら、ルージュリナージュだろう。

 同馬は前走、新潟の1勝クラス(8月20日/芝1800m)に出走。道中5、6番手から、メンバー最速の上がりを駆使して快勝した。

 デビュー以降、大きく負けてはおらず、安定したレースぶりが光るルージュリナージュ。それでも、ここでは上位を争うほどの人気は見込まれていない。"荒れる"ローズSの波乱の使者としては、うってつけの存在だ。

「牝馬三冠」最終戦への重要なステップレースとなるローズS。今年も思わぬ馬がアッと驚く激走を見せるのか。それが、ここで名前を挙げた面々であったとしてもおかしくない。