西村菜那子の「箱根駅伝2023」展望
シード権争い編

(優勝争い編:箱根で駒沢大が三冠達成か、青学大の連覇か。優勝争いを大胆予想>>)

 大の駅伝ファンである元NGT48の西村菜那子さんが、第99回箱根駅伝の順位を大胆予想。

「優勝争い編」では上位6位を青山学院大、駒澤大、國學院大、順天堂大、創価大、中央大と予想したが、年々熾烈になっている「シード権争い」はどうなるのか。

箱根駅伝のシード権争い有力校を元NGT48西村菜那子がピック...の画像はこちら >>

箱根駅伝を真剣予想した西村菜那子さん

 シード圏内に入るのは残り4校。7位候補には前回5位の東京国際大を挙げた。

「イェゴン・ヴィンセント選手(4年)は、今季ほとんど大会に出ていません。出雲駅伝と全日本大学駅伝も欠場しました。箱根はどうなるかわかりませんが、ヴィンセント選手は好調じゃなかったとしても速いですから、メンバーに入れば好走するんじゃないかと思います。
丹所健選手(4年)も下級生の頃から活躍しているように、決してヴィンセント選手頼りのチームではないですし、主力選手が好調なら優勝争いに加わるチャンスも十分にあると思います」

 出雲は前年Ⅴメンバー4人を欠いて8位。全日本もヴィンセントと山谷昌也(4年)の欠場が響いて、11位に沈んだ。箱根2区と3区で区間記録を持つヴィンセントと前回1区7位の山谷が完全復活できれば、往路V争いに絡んでくるだろう。

 西村さんはもうひとりのケニア人留学生、ルカ・ムセンビ(4年)にも注目している。

「ムセンビ選手は、2021年の2区区間賞のインタビューでヴィンセント選手の通訳をしたイメージが強いかもしれませんが、今年8月の北海道マラソンで優勝しています。大学卒業後は実業団ではなく一般企業に入って、競技を続けるようですね。
ムセンビ選手が箱根を走る姿も見てみたいなっていう思いもありますね」

 続く8位に予想するのは、前回10位の法政大だ。全日本は関東学連推薦校選考会で落選したが、箱根シード校が出場する出雲駅伝で7位に入っている。

「法大は出雲がすごくよかったんです。5区終了時で5位につけていて、『今年の法大は強いな』という印象を持ちました。なかでも、関東インカレの1部5000mで抜け出した松永伶選手(3年)に注目しています。個人的には1区を走ってほしいですね。
関東インカレの時のようにかき乱してくれるんじゃないでしょうか」

法大は復路の安定感が光るチーム。前回は復路7位で、往路13位からシード権を獲得しているだけに、今回も往路を10位前後で折り返せば連続シードが見えてくるだろう。

【残る2校の予想は?】

 9位予想は今年6月に花田勝彦駅伝監督が就任した早稲田大。今季は予選会を4位で通過。全日本でも6位に入っている。主将・鈴木創士(4年)、10000m27分台の井川龍人(4年)が引っ張るチームだが、西村さんはあるエピソードも込みで伊藤大志(2年)に期待しているという。

「伊藤選手は、佐久長聖高の先輩である駒大の鈴木芽吹選手(3年)が1年時に5区を走った時、連絡をしたらしいんですよ。

鈴木選手は『二度と走りたくない。本当にしんどかった』という感想を伝えたみたいですけど、伊藤選手は翌年に5区を走った。その時の区間11位という結果は納得していないと思うので、もう一度、山を走る姿を見てみたいですね」

"最後のイス"は「東洋大じゃないかと思います」と予想。今回は、花の2区を2年連続で快走したエース松山和希(3年)がエントリーから外れたが、18年連続のシード権は確保できると読んでいる。

「昨年も主力が外れた出雲で3位に入っています。エースが不在だからこそ、チームみんなでやらなきゃいけないという意識が出てくるんじゃないかと思っています。
松山選手がいないのは大きな戦力ダウンですけど、団結力が高まるんじゃないでしょうか。往路で苦戦しても、復路でヌルヌルと上位にくることが多いチームなので、トップ10には入ると思っています」

 なかでも主将・前田義弘(4年)と元5000m高校記録保持者・石田洸介(2年)の走りを楽しみにしているようだ。

「前田選手は1年時からずっと箱根に出ていて、安定感があるので今回も心配ないでしょうね。石田選手は全日本2区で14位から9位に順位を押し上げたのに、まったくテレビに映っていなかったのが残念だなと思っていて。箱根はなるべく上位で競って、その雄姿を多くの人が見られるよう頑張ってほしいです」

【他にチャンスがありそうなのは3校】

 すでに10校を挙げたが、西村さんは大東文化文、明治大、城西大にもシード権のチャンスがあると分析している。

 大東大は今季から、仙台育英高の男子監督として全国高校駅伝の優勝を経験している真名子圭監督が就任。

6月の全日本選考会を突破し、10月の箱根予選会をトップで通過している。

「真名子監督が就任して、チームは明らかに進化しました。どんな区間配置にするのか、すごく楽しみです。全日本1区で区間賞を獲得したピーター・ワンジル選手(2年)は、15歳で来日しているので日本語が上手なんです。でも、全日本の区間賞インタビューは緊張していたのか、あまりうまく話せなかったみたいで......仙台育英高時代の同級生がSNSで『もっと日本語喋れるのに』とつぶやかれていたので、箱根では流暢な日本語でインタビューに答えるワンジル選手を見てみたいです」

 明大は予選会を2位で通過し、全日本大学駅伝は9位。城西大は今季からケニア人留学生のヴィクター・キムタイ(1年)が加入して、予選会(3位)を2年ぶりに突破した。

「明大は加藤大誠選手と櫛田佳希選手(ともに4年)が1年時から箱根を走っているので、2人がいるうちにシード権を獲得してほしいです。城西大は11月19日の激坂王決定戦の登りの部(13.5㎞)で、斎藤将也選手(1年)と山本唯翔選手(3年)がワン・ツーを飾るなど頭角を現してきました。キムタイ選手もいるので、往路は上位争いをするかもしれませんね」

 他にも5年連続でシード権を獲得している帝京大、エース藤本珠輝(4年)が復帰した日本体育大、55年ぶりの出場が話題の立教大、復活した石原翔太郎(3年)が2区を走ることが濃厚な東海大。さらに、予選会で木村暁仁(3年)が日本人トップを飾った専修大、ケニア人留学生を擁する山梨学院大と国士舘大がシード権獲得を目指している。

「トップを争う大学がかなり速いと思うので、繰り上げになってしまうチームが多くなる気がします。復路は一斉スタートになるチームが出て、見た目の順位と実際の順位が異なる場合がある。シード権争いはわかりにくくなるかもしれませんが、最終10区のゴール直前まで目が離せないと思います。

 NGT48時代は毎年1月2日に劇場公演があったので、寂しくもありますが、2日間とも箱根駅伝をオンタイムで観られるのはうれしいです。じっくりとレースを見守ろうと思います!」

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【プロフィール】
西村菜那子(にしむら・ななこ)

1997年8月11生まれ。長野県出身。2015年にNGT48第1期生オーディションに合格。両親の影響で箱根駅伝を見るようになり、現在は大学駅伝だけでなく、あらゆる駅伝大会に精通している。今年9月にNGT48を卒業し、舞台など活動の幅を広げている。