1月2日に開幕する第99回箱根駅伝。今大会の注目は出雲駅伝と全日本大学駅伝を制した駒澤大の「学生駅伝3冠」がかかるトップ争いだが、シード権争いの展望も含めて、スポーツライターたちが独自目線で上位の10校を予想した。

箱根駅伝の順位を識者3人が予想。駒大と青学大の勝負を分けるポ...の画像はこちら >>

学生駅伝3冠を狙う駒大(左)と、エース近藤幸太郎を擁する青学大の2強対決に注目が集まる

【駒澤大は復路メンバーも充実】

■佐藤俊(スポーツライター)

1位:駒澤大

2位:青山学院大

3位:國學院大

4位:順天堂大

5位:中央大

6位:創価大

7位:法政大

8位:東京国際大

9位:東洋大

10位:早稲田大

 駒大が箱根を制して駅伝3冠を達成するのか。どこが駒大の進撃を止めるのか。

 今回の箱根駅伝の最大の興味は、駒大がキーワードになっている。駒大は、出雲、全日本はノーミスでぶっちぎりの優勝。箱根も頭ひとつ抜けてダントツの優勝候補。出雲は当日変更なし、全日本は2人の変更だったが、箱根も篠原倖太朗(2年)ら2、3名のみになりそうで、堂々とした区間エントリ―から大八木弘明監督の自信がうかがえる。

 とりわけ目を見張るのは、復路の充実ぶりだ。

この隙のないメンバーがノーミスで走れば、前回大会で青学大が出した大会記録の更新、3冠達成は決して難しいミッションではない。

 総合優勝のライバルは、青学大だ。ただ、出雲、全日本ともにブレーキが出て勝利を逃した。分厚い選手層に加え、箱根に向けての調整力は大学随一だが、選手の状態を万全に仕上げられるか。戦略的には往路でトップに立ち、先行逃げきりでレースを展開したい。

 國學院大は、往路は主将の"外さない男"中西大翔(4年)、伊地知賢造(3年)、平林清澄(2年)、山本歩夢(2年)の4本柱に加え、ルーキーの青木瑠郁(1年)で往路優勝の可能性はあるが、駒澤大、青学大より選手層がやや薄い分、どこまで優勝争いができるか。


 注目は、1区と5区だ。

 前回の箱根から今シーズンの出雲、全日本と、スタートから飛び出す展開が続いている。誰が飛び出して、レースをリードするのか。また、最近は5区からスター選手が出てきていないため、今年初めて走る5区走者から新たな"山の神"が誕生することを期待する。

 シード権は、東洋大、早大、明大、城西大、帝京大、東海大で100回大会の出場枠を争う展開になりそうだ。

【2強の争いに國學院大が割って入る】

■酒井政人(スポーツライター)

1位:駒澤大

2位:國學院大

3位:青山学院大

4位:中央大

5位:創価大

6位:順天堂大

7位:東洋大

8位:東京国際大

9位:城西大

10位:早稲田大

 2強対決は駒大が勝つと予想する。1区は僅差で、駒大の田澤廉(4年)と青学大の近藤幸太郎(4年)が激突する2区で駒大が30秒ほどリードしそう。

前回は駒大が2区終了時で1分02秒差をつけてリードしていたが、3区で青学大が逆転し、1分59秒差をつけて形勢が一気に逆転した。しかし、今回は駒大が3区でリードを広げると読む。スーパールーキー佐藤圭汰が快走して、そのまま駒大が逃げ切るのではないだろうか。

 田澤は過去2年、前年12月に10000mで好タイムを残してきたが、今冬はトラックレースに出場していない。1年生の佐藤も同様で、ふたりとも箱根に向けたトレーニングがしっかりできたと推測する。今回の駒大は、青学大と同じく箱根に照準を100%合わせてきたのが大きい。


 青学大の優勝が厳しそうとなると、その背中が見えてきた國學院大はメンタル面やモチベーションが変わってくる。その分、國學院大がパワーを発揮して青学大を上回ると予想。特に5区伊地知賢造(3年)の走りに注目したい。

 中大は2区と4区が國學院大より劣る分、トップスリーは難しいと判断。順大も2区が少し計算できない。創価大は8区以降の戦力が中大より落ちるため、この順位を予想した。


 東洋大は2区終了時でシード圏外でも総合力で上がってくるはず。逆に東京国際大は5区以降に順位を落とすだろう。

 予選会校からは城西大と早大がシード権に届くのではと予想する。城西大はケニア人留学生のヴィクター・キムタイ(1年)と5区山本唯翔(3年)で順位アップが可能。往路をシード圏内で折り返すことができるだろう。早大は2区終了時で厳しい戦いになっても、徐々に順位を上げてくるのではないだろうか。

【勝負は"山"。2強に続く3校はサバイバルの様相】

■折山淑美(スポーツライター)

1位:駒澤大

2位:青学大

3~5位:國學院大、順天堂大、創価大

6位:中央大

7~10位:東洋大、法政大、東海大、明治大

 1位予想は、大八木弘明監督が「総合優勝のカギは、往路優勝ができるかどうかだ」と話していた駒大。1区には全日本で好走し、そのあとの上尾ハーフマラソンでも自己新記録の1時間01分51秒を出している円健介(4年)、2区にエースの田澤廉(4年)を起用。3区は、補欠登録されたスーパールーキー佐藤圭汰(1年)が当日変更で起用されることが有力で、地力を求められる4区は準エースの鈴木芽吹(3年)と盤石なオーダーができた。

 田澤は、11月の全日本では青学大の近藤幸太郎(4年)に迫られたが、7月の世界選手権を経ての出場だったため状態は万全ではなかったはず。完調で迎える今回は、2区を爆走してトップに立つ可能性が高いと見ている。

 そんな駒大と比較すると、青学大も駒は揃っているが爆発力という点では一歩及ばない印象。前回の5区では、トップの青学大が駒大と33秒の差を広げ、往路で3分28秒差がついたが、今回は両校ともレベルアップしていて大差がつきそうもない。青学大は、4区まで僅差で駒大に食らいつき、山の登り(5区)と下り(6区)でどう勝負できるかがポイントになる。7区以降は前に出たほうが有利なだけに、両校の競り合いは6区終了時の順位で決まりそうな気配だ。

 それに続く國學院大や順大、創価大は、往路でどこまで戦えるかにかかっている。駒大、青学大にミスがあって先行できれば、3校とも復路に人材を揃えているため粘れるはず。特に、完全な"往路勝負"にしていない創価大は、7区が終了した段階で何位につけているかが大きなカギになりそうだ。ともあれ、力が均衡しているこの3校は、ミスをしたところが脱落する厳しい戦いになるだろう。

 その他、前回は11位で予選会9位と苦しんだ東海大は、2区に起用された石原翔太郎(3年)が流れを作れば復活もありそうだ。

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