3歳重賞のGIII京成杯(中山・芝2000m)が1月15日に行なわれる。

 同レースは牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)と同じコースで行なわれるが、過去の傾向からすると、その大舞台への関連性は高いとは言えない。

この時期での完成度の高さであったり、状態のよさであったりがモノを言う一戦と言えそうだ。

 そのうえで、馬券検討においては、昨年末から使われ続けている馬場コンディションが重要なポイントになる。その点について、日刊スポーツの松田直樹記者はこう語る。

「12月25日の有馬記念のあと、12月28日のホープフルS、1月5日の金杯、1月7日~9日の3日間開催と、中山競馬場では年末年始をまたいで変則的な開催が続いています。そうしたなか、芝コースは年末までAコースを使用し、年明けからは内から6mの仮柵を設けたCコースを使用。ホープフルS当日でも内の先行馬が頑張っていましたが、芝の傷みがカバーされた年明け以降も、ある程度前へ行った馬が引き続き好成績を残しています。

 また、3日間開催の最終日に行なわれたフェアリーSで、キタウイングに騎乗して勝利を飾った杉原誠人騎手は、『今の中山は外に回してはダメ』と回顧。レース自体は結果的に差し決着でしたが、杉原騎手はイン有利を見越して内ラチ沿いを突いて、イチかバチかの勝負にいって結果を出しました」

 こうした状況を受けて、どういった馬が狙い目になるのか。松田記者はこんな見解を示す。

「今週は土曜日に降雨予報が出ているものの、馬場傾向が一変するほどのものではなさそう。そうなると、先行天国とまでは言わないまでも、内の、先行馬有利の状況は今週も継続すると見ています。

 京成杯のレース傾向を見ても、過去5年の連対馬10頭のうち、6頭が3角3番手以内。

前目の位置から継続的に脚を使える馬の好走が目立ちます。今年の出走馬は9頭で、おそらくペースは平均以下。とすれば、やはり前に行けて、なおかつ長く脚を使える馬が面白いと思います」

波乱含みの京成杯。穴党記者は今の中山の馬場で力を発揮しそうな...の画像はこちら >>

京成杯での勝ち負けが期待されるソールオリエンス

 そうして松田記者は、今の舞台設定で激走が期待できる馬を2頭推奨する。「少頭数なので、人気寄りになってしまうかもしれませんが......」と言って名前を挙げた1頭目は、1戦1勝のソールオリエンス(牡3歳)だ。

「新馬戦(11月13日/東京・芝1800m)を勝ったばかりですが、管理する手塚貴久調教師の評価がすこぶる高いんです。師は『やる気があって、走ることに前向き。

まだよくなるだろうけど、現時点での完成度はキングズレインより上』と話しています。

 比較対象として挙がったキングズレインは、京成杯と同じ舞台で行なわれたGIホープフルSの3着馬。同馬をしのぐ力があるという見立てで、非常に楽しみな存在です。

 実際、新馬戦は強かったですね。3番手から2着馬レーベンスティール(次戦の未勝利戦で3馬身半差の完勝)とマッチレースを展開し、3着以下を5馬身も離しました。スタート直後には他馬と接触しながらも、冷静さを失わず、上手な競馬ができたと思います。

 前半1000mの通過タイムが65秒0という超スローペースだったとはいえ、ラスト3ハロンのレースラップが11秒5-11秒0-11秒0という速さのなかでロングスパートを発揮。舞台こそ違いますが、今の中山の馬場にマッチそうな脚質です。

 半兄は海外GIのドバイターフで、2021年に2着、2022年に3着と奮闘したヴァンドギャルド。その血筋からしても、1戦1勝馬でも侮れません」

 松田記者が推すもう1頭は、今回と同じ舞台でのオープン特別勝ちのあるシーウィザード(牡3歳)だ。

「ホープフルSでも推奨しましたが、そこではレース前のイレ込みで消耗してしまった印象。加えて、1コーナー入り口で窮屈になって、2コーナーまで内ラチ沿いで少し折り合いを欠くところがありました。

 それでいて、コンマ6秒差の9着なら、そこまで悲観しなくてもいいはず。管理する鹿戸雄一調教師も『疲れは見られない』と、GI戦後の反動がないことを強調しています。

 オープン特別の芙蓉S(1着。10月1日/中山・芝2000m)、ホープフルSと中山・芝2000mで緩い流れの好位戦を2度経験しているのも強み。中1週のレースとなりますから、レースまでの落ち着きは直前まで見極める必要がありますが、自分との戦いにさえ勝てば、ここでもチャンスがあると見ています」

 大波乱に終わったホープフルS。同じ舞台で行なわれる同世代の一戦は再び"大荒れ"となるのか、必見である。