今週から関東の開催の舞台は中山競馬場へ。その開幕週に行なわれる重賞は、伝統あるGII中山記念(2月26日/中山・芝1800m)だ。

 ジャスタウェイ、ドゥラメンテ、ネオリアリズム、ウインブライト、ヒシイグアス、パンサラッサなど、このレースを勝った馬たちは、のちに海外GIでも躍動。日本だけでなく、世界レベルで見ても、今後を占う重賞な一戦となっている。

 そうした実力馬が集う一戦とあって、過去10年の勝ち馬は2019年のウインブライト(5番人気)を除いて、すべて1~3番人気の馬。比較的堅い一戦と言える。ただし、1番人気はわずか3勝。馬券圏内(3着以内)には伏兵の台頭が頻繁に見られ、3連単ではしばしば好配当が生まれている。

 今年はどうか。スポーツ報知の坂本達洋記者はこう分析する。

「今年の中山記念は、実績馬と本格化を迎えた馬たちが顔をそろえ、例年以上に豪華メンバーがそろいました。昨年のGI宝塚記念(阪神・芝2200m)でも2着になるなど、国内外のGIで活躍しているヒシイグアス(牡7歳)の他、ダノンザキッド(牡5歳)、シュネルマイスター(牡5歳)、スタニングローズ(牝4歳)といったGI馬が集結。

 加えて、GIII中山金杯(1月5日/中山・芝2000m)を制したラーグルフ(牡4歳)、GIII京都金杯(1月5日/中京・芝1600m)を快勝したイルーシヴパンサー(牡5歳)、GIIIチャレンジC(12月3日/阪神・芝2000m)で連覇を遂げたソーヴァリアント(牡5歳)など、前走で重賞勝ちを決めた素質ある上がり馬も参戦。そうそうたる面々が名を連ね、高いレベルでの激戦が予想されます」

 まさに目移りするような好メンバーが集った今年の中山記念。

人気となる馬を予想するのも大変そうだが、坂本記者はある点について注意して、狙い目を絞るべきだと言う。

「中山記念は、非根幹距離の芝1800mで行なわれる、ということです。マイルや2000m戦での実績があるメンバーが集うなか、いわゆる"(1800m戦の)スペシャリスト"と言える馬がいるかどうか。

 一昨年の覇者でもあるヒシイグアスは、1800m戦で3勝、2着3回と適性があるのは間違いありませんが、シュネルマイスターやソーヴァリアントはこれまでの戦績からして、この条件がベストかどうかは疑問です。

 また、ここから始動する有力馬たちは、あくまでもここはひと叩きと考えて、目標を先に見据えている馬が多いです。そういう意味では、上位人気が予想される実績馬については、例年以上につけ入る隙があるのでは? と見ています」

例年以上に豪華メンバーが集結した中山記念。先を見据える実績馬...の画像はこちら >>

中山記念での一発が期待されるドーブネ

 こうした状況を踏まえて、坂本記者は2頭の伏兵馬に注目する。

「1頭目はドーブネ(牡4歳)です。2021年の千葉サラブレッドセールで5億円近い落札額で話題を呼んだディープインパクト産駒が、ようやく軌道に乗ってきた印象です。

 新馬戦(札幌・芝1500m)、オープン特別のききょうS(中京・芝1400m)とデビュー2連勝を飾りましたが、当時はまだ"緩さ"が目立っていました。新馬戦の前から、陣営も『本当によくなるのは先々』とよく言っていたのを覚えています。

 そこから、3歳夏を越して2勝クラス、3勝クラスを連勝。前走のオープン特別・白富士S(1月28日/東京・芝2000m)では、最内枠から好スタートを決めてすんなりハナを奪って、直線でもしぶとく脚を使って2着と好走しました。

キレ味抜群の素質馬サリエラに1馬身4分の1差と食い下がったことは、評価できると思います。

 気性的に(使われるレースは)マイル以下に寄っていくかと思いきや、2000m戦でもこれだけ走れたのは、充実している何よりの証でしょう。もちろん、今回は相手が強くなりますが、1ハロンの距離短縮は間違いなくプラスだと思いますし、中山の開幕週の馬場も逃げ・先行馬にとっては好材料です。

 1800m戦も3戦2勝。人気的にもそれほどマークがきつくなるとは思えませんから、レジェンド・武豊騎手がマイペースの逃げにうまく持ち込めば、"あれよあれよ"があっても、不思議ではありません」

 坂本記者が推すもう1頭は、まさしく1800m戦の"スペシャリスト"と言えるショウナンマグマ(牡4歳)だ。

「前走のGIII東京新聞杯(2月5日/東京・芝1600m)でも、このコーナーで穴馬として取り上げさせていただきました。

その際は16着に敗れて申し訳なかったのですが、今回もう一度、推奨させてもらいたいと思います。

 その前走はスタートこそ五分に出ましたが、逃げきったウインカーネリアンをはじめ、前に行きたい馬が多く、前半から位置取りにちょっと苦労していました。結果、リズムが悪くなって不完全燃焼で終わってしまったのは、仕方がなかったかなと割りきるしかありません。

 そして今回は、過去2戦2勝と得意としている中山・芝1800mが舞台。同舞台で行なわれた2走前のディセンバーS(12月18日)では、初のオープン勝ちを決めました。

 今回もドーブネやトーラスジェミニ(牡7歳)といった同型がいますが、うまく先行策を取ることができれば、相性のいい条件で、前、前で粘り込むシーンが十分にありそう。

再度、一発を狙ってみたいと思います」

 ハイレベルなメンバーがそろった今年の中山記念。オイシイ配当を狙うなら、1800m戦で強さを発揮する伏兵の激走にも注意を払いたい。