4月14日(日)に中山競馬場で、クラシック三冠の第1ラウンドであるGⅠ皐月賞(芝2000m)が行なわれる。

 今年は、GⅠ朝日杯フューチュリティSのジャンタルマンタル、GⅠホープフルSのレガレイラのほか、GⅡ弥生賞ディープインパクト記念のコスモキュランダ、GⅢ共同通信杯のジャスティンミラノ、GⅢ京成杯のダノンデサイルなど8頭の重賞勝ち馬がスタンバイ。

確固たる中心的な存在はいないが、先日の牝馬三冠の第1ラウンド・桜花賞と同じく実力伯仲で予想しがいがあるレースだ。

皐月賞も桜花賞に続いて混戦模様 血統分析で抜け出しそうな馬を...の画像はこちら >>

 そんなレースを血統的視点から占っていこう。過去10年の「中山・芝2000m」の種牡馬別成績を見ると、今回の出走馬の父で最も勝利数が多いのは16勝のエピファネイアだ。142回の出走で16勝、2着15回で勝率11.3%、連対率21.8%という数字は、ハーツクライ、ステイゴールド、トニービンらを上回る。キングカメハメハ、ブライアンズタイムといった、名種牡馬と比べても遜色ない。

 エピファネイア産駒は2019年にデビューしたばかりで、まだ5世代しか競走年齢に達していない。

しかし、すでに2021年皐月賞のエフフォーリア、2023年GⅡ紫苑Sのモリアーナ、2024年京成杯のダノンデサイルと、中山・芝2000mでは3頭の重賞勝ち馬を輩出。そのほか、2020年GⅠホープフルS2着のオーソクレースなど2着2回、3着2回の成績を残している。これらの点をふまえ、まずはエピファネイア産駒を中心に見たい。

 今年は2頭のエピファネイア産駒が出走予定だが、筆者がダノンデサイルより上に見るのはビザンチンドリーム(牡3歳、栗東・坂口智康厩舎)だ。

 同馬は昨年12月の新馬戦(阪神・芝2000m)を3馬身差で圧勝後、前走のGⅢきさらぎ賞(京都・芝1800m)を差し切り。着差はハナ差だったが、新馬戦に比べて1000m通過が1秒8速い流れに対応し、キッチリ差し切ったことは競馬センスの高さと確かな実力を証明している。

 思えば、2021年の皐月賞を制したエフフォーリアもそれが中山での初レースで、前走で東京・芝1800mのGⅢ共同通信杯を勝ってから本番に臨んだ。ちなみに同馬は、その暮れに中山・芝2500mで行なわれたGⅠ有馬記念も勝っている。きさらぎ賞を勝ったビザンチンドリームも、中山・芝2000mでさらなる強い競馬を見せられると見ている。

 血統も一流で、祖母の兄にGⅠ朝日杯フューチュリティS勝ち馬のフサイチリシャールがおり、同牝系にはノームコアやクロノジェネシスなど最近の活躍馬も多い。フサイチリシャールが勝った2005年の朝日杯フューチュリティSはまだ中山開催で(2014年から阪神競馬場に変更)、ノームコアは中山・芝2000mのGⅢ紫苑Sを3馬身差で圧勝、クロノジェネシスは有馬記念の勝ち馬と、牝系と中山競馬場の相性も上々だ。牝馬1冠目の桜花賞もエピファネイア産駒ステレンボッシュが勝ったが、その流れにも乗りたい。

 もう1頭はウォーターリヒト(牡3歳、栗東・河内洋厩舎)を推す。

 父ドレフォンは2022年の勝ち馬ジオグリフの父、母の父ヴィクトワールピサは2010年の勝ち馬という「皐月賞向き」の配合で、母の妹レッドアネモスはGⅢクイーンS(札幌・芝1800m)の勝ち馬。同牝系には、昨年のGⅡローズS(阪神・芝1800m)を勝ってGⅠ秋華賞(京都・芝2000m)で2着、さらに4月6日のGⅡ阪神牝馬S(阪神・芝1600m)を勝ったマスクトディーヴァがおり、牝系の勢いも十分だ。

 ウォーターリヒトは、前走のGⅡスプリングS(中山・芝1800m)は2番人気・9着と敗れたが、スタートで出遅れて後方追走となり、さらに直線で他馬に接触する不利があった。きさらぎ賞ではビザンチンドリームとハナ差の2着、GⅢシンザン記念(京都・芝1600m)で勝ち馬から0秒2差の3着と重賞実績があり、阪神・芝2000mでも1勝を挙げている。ハイペースで、差しが届く展開になれば面白い。

 以上、今年の皐月賞はエピファネイア産駒ビザンチンドリーム、ドレフォン産駒ウォーターリヒトの2頭に期待する。