栗山英樹監督率いる侍ジャパンの見事な優勝で幕を閉じた第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。決勝ラウンドの行なわれたマイアミ、ローンデポ・パークではどのようなグッズが売られていたのだろうか? また現地ファンに人気だったグッズとは?

大谷翔平はグッズ面でもMVP 決勝ラウンドのマイアミで最も売...の画像はこちら >>

マイアミでの決勝ラウンドで最も売れた大谷翔平Tシャツ

【代表ユニフォームは売れない⁉︎】

 ローンデポ・パークの1階にあるオフィシャルショップでは、各国のユニフォームやTシャツ、キャップなどのグッズが幅広く販売されていた。また対戦カードに合わせ、店内の展示レイアウトが変わるので、日替わりの「イチ押しグッズ」があった点も興味深い。


 
 やはり地元ということもあってか、もっとも広いスペースを使ってグッズが並べられていたのはアメリカ代表だった。

 チームUSAが実際に着用するNew Era社製のキャップコレクション($42)や、ナイキ社のオフィシャルユニフォーム($150)が人気で、なかでもキャプテンを務めたマイク・トラウト(エンゼルス)と、ムーキー・ベッツ(ドジャース)が前面に並べられ、その全国的なスターぶりがうかがえた。

 3月18日の試合(ベネズエラ戦)でトレイ・ターナー(フィリーズ)が劇的な逆転満塁ホームランを放つ大活躍を見せると、翌日以降、「8番」のユニフォームが積極的に売られるようになった。

 そもそもアメリカの野球ファンはMLBのレギュラーシーズンの際にも、自身の応援するチームのキャップかパーカー、ユニフォームのどれかを身につけて球場に足を運ぶ。そのため今回も、すでに持っている自身の贔屓チームのグッズを身につけマイアミに訪れたファンが多かった。

 そのユニフォームを見ると、東はヤンキースやレッドソックスから、西はドジャースにパドレス、南もブレーブスまで、じつに広いエリアのチームのユニフォームを確認することができた。

彼らが全国からマイアミに駆けつけたかは定かではないが、もしそうだとすれば今大会がアメリカ国内でも大きな注目を集めたひとつの証になるのではないか。

 また、マイアミは人口の7割以上がヒスパニック系であるため、ラテン・チームのグッズも積極的にフィーチャーされ、とくにプエルトリコやメキシコのユニフォームが目立った。プエルトリコのスター選手、フランシスコ・リンドーア(メッツ)やハビアー・バエズ(タイガース)、そして今大会は監督を務めた"レジェンド"のヤディア・モリーナのものが最前列に並ぶ。

 しかし国際大会において、ともにその熱狂的な応援で有名な両国のファン。店のスタッフの話によると、すでに代表のユニフォームは前回大会から持っていたファンが多いのか、オフィシャルショップでの購入は多くなかったという。

 準々決勝で相見えた両者。

カウベルを叩きノリノリで応援するプエルトリコ・ファンの多くが、代表のユニフォームに身を包んでいた。一方、メキシコ・ファンは伝統的なつばの広い帽子「ソンブレロ」や、プロレスであるルチャ・リブレのマスクといった自国のアイデンティティを表現するスタイルが多かったことが印象的だ。

 また両国の試合前には、球場近くの通りにグッズを売る露店が立ち並び、簡易ユニフォームやTシャツが販売されていた。店主によると、なかでも売れ筋は国旗($25)だという。たしかに当日もスタジアムで国旗を掲げるファンが多かった。

【日本のグッズは2種類のみ】

 では、侍ジャパンの人気グッズとは? 球場内のオフィシャルショップでは、Tシャツ($39)とキャップ($35)の2種類のみの展開となった。

しかし、その注目度は陳列からも明らかで、日本戦の前からすでにアメリカに次ぐ2番目に広いスペースが設けられていた。

 胸に「JAPAN」の文字が入った黒いTシャツは背番号の入ったタイプと、入っていない2種類が売られ、前者はMLBでも活躍する「Ohtani」「Darvish」「Suzuki」の3種類が売られていた。

 店主に話を聞くと、一番人気はやはり大谷翔平で、日本人のみならず多くの国のファンが購入したという。今回、オフィシャルショップで最も売り上げた商品らしく、まさにグッズ面でもMVPとなった。

 そして店主曰く、今大会中グッズショップに訪れた数がもっとも多いのは日本人で、その数は他国を圧倒していたそうだ。日本から球場に訪れていたファンも多く、家族や知人へのお土産として購入したケースも多いのかもしれない。

 連日、日本のファンがグッズショップに長蛇の列をつくる様子に「こんなの初めてだ」とうれしい悲鳴をあげていた。「グッズの売り上げも日本がチャンピオンだったね」と語っていた。
 
 いずれにせよ、MLBにおいてユニフォーム(Tシャツ)の売り上げというのは、人気が数値化されるという意味においても、選手にとって契約の際の重要な評価基準のひとつとなる。その意味でも、大谷の世界的人気とそのバリューがあらためて証明された今大会。

 そして、侍ジャパンのTシャツに身を包むアメリカ人の数が球場でも数多く見られた。彼らは今大会の日本の野球に魅せられ、グッズを購入したベースボール・ファンなのかもしれない。