3歳牝馬の頂点を決するGIオークス(東京・芝2400m)が5月21日に行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気が5勝、2着2回、3着1回と安定した成績を残している一方で、6番人気以下の伏兵がしばしば馬券圏内(3着以内)に入っている。

とりわけ直近4年は、毎年10番人気以下の穴馬が馬券に絡んでおり、波乱含みの一戦と言える。

 ならば、今年も"荒れる"と踏んで、好配当狙いに徹してみるのも悪くない。ということで、過去10年のデータを参考にして、今回のレースで一発ありそうな伏兵馬を探し出してみたい。

 まず目がいくのは、GIIIフラワーC(中山・芝1800m)をはじめ、オープン特別の忘れな草賞(阪神・芝2000m)、GIIフローラS(東京・芝2000m)、オープン特別のスイートピーS(東京・芝1800m)といった前哨戦を勝っていながら人気薄となった馬である。なにしろ、こうしたタイプが過去に何度も激走を果たしているからだ。

 たとえば、2017年に6番人気で2着と好走したモズカッチャン(フローラS1着)、2019年に12番人気で2着に突っ込んできたカレンブーケドール(スイートピーS1着)、2020年に7番人気で2着と奮闘したウインマリリン(フローラS1着)、同13番人気で3着と善戦したウインマイティー(忘れな草賞1着)、2022年に10番人気で2着に食い込んだスタニングローズ(フラワーC1着)らがそうだ。

 これら低評価にとどまった馬に限らず、主要ステップレースを勝って人気となった馬たちも過去には数多く馬券に絡んでいる。言ってしまえば、前哨戦を制している馬は無条件に"買い"と考えていいのではないか。

 今年は、このタイプにハマる馬が1頭だけいる。ゴールデンハインド(牝3歳)だ。

オークスには高確率の穴馬の法則がある 加えて注意すべきは桜花...の画像はこちら >>

フローラSを快勝し、オークスに挑むゴールデンハインド

 同馬はオークストライアルのフローラS(4月23日)を見事に逃げきり勝ち。勢いに乗って大舞台に挑む。

 ただ、同馬は前走、7番人気と伏兵の域を出なかった。おかげで、「他馬のマークが薄かった」「開幕週の馬場が味方した」など、フロック視する向きが強い。そうなると、今回も上位人気を争うことはなさそう。過去例に挙げた馬たちと同様、人気薄での大駆けがあっても不思議ではない。

 次に注目したいのは、クラシック開幕以前に重賞を制した実績があるものの、GI桜花賞(阪神・芝1600m)で惨敗を喫し、オークスで評価を下げた馬だ。

 実はこういった馬も、過去に何度か波乱を演出している。

いい例となるのは、2013年に9番人気で勝利したメイショウマンボ、2022年に4番人気で3着となったナミュールである。

 前者は、GIIフィリーズレビュー(阪神・芝1400m)を勝って、桜花賞では4番人気の支持を得るも10着と大敗。後者は、GIIチューリップ賞(阪神・芝1600m)で勝利を挙げ、桜花賞でも1番人気に推されたが、10着に敗れていた。しかし、いずれもオークスでは重賞勝ちの地力を発揮し、きっちり巻き返しを図った。

 今回、同様のパターンで浮上するのは、ライトクオンタム(牝3歳)である。

 同馬はデビュー戦を勝ったあと、すぐさまGIIIシンザン記念(1月8日/中京・芝1600m)に挑んで勝利。

後方から豪快な末脚で差しきった。この結果から桜花賞(4月9日)では2番人気の支持を集めたが、8着に敗退。今回は人気が落ちそうな気配である。

 だが、デビュー2走目で重賞を制した末脚はここでも侮れない。数少ないディープインパクトのラストクロップということもあり、その血がクラシックディスタンスで爆発する可能性は大いにある。

 最後にピックアップしたいのは、クリストフ・ルメール騎手の騎乗馬だ。

 というのも、ルメール騎手は過去10年で最多の3勝を挙げているからだ。2017年に1番人気で勝利したソウルスターリング、2018年に1番人気で制したアーモンドアイ、2022年に3番人気で勝ったスターズオンアースである。

 ならば、今年もルメール騎手の騎乗馬を狙ってみてはどうか。ハーパー(牝3歳)である。

 同馬はGIIIクイーンC(2月11日/東京・芝1600m)を制して、続く桜花賞でも4着と健闘した。上位争いを演じる力は十分にある。

 ルメール騎手とは前走で初めてコンビを組んで、今回が2走目。ハーパーのことをより理解し、さらなる上積みが期待できる。名手とともにオークスで輝きを見せる可能性に賭けてみてはどうだろうか。

 3歳牝馬にとって、過酷な舞台となるオークス。だからこそ、リバティアイランドという絶対的な存在にもつけ入る隙が生まれるかもしれない。未知なる消耗戦の先に待っているのは、波乱の結末か。もしそうなら、ここに名前を挙げた馬たちが勝ち負けを演じてもおかしくない。