6月4日(日)、東京競馬場で3歳以上馬によるGⅠ安田記念(芝1600m)が行なわれる。

 今年は、昨年の勝ち馬ソングライン、今年のGⅠ大阪杯を勝ったジャックドール、GⅠNHKマイルCを勝ったシャンパンカラーなど、芝・ダート1200~2000mまでのGⅠ馬10頭が揃う豪華メンバーとなった。

そんなレースを血統的視点から分析していこう。

安田記念に強い「ストームキャットの血」を持つ中でベスト条件の...の画像はこちら >>

今年1月の京都金杯を勝ったイルーシヴパンサー

 安田記念の血統的ポイントのひとつとして挙げておきたいのが、「ストームキャットを持つ馬の強さ」だ。直系の馬こそ勝っていないが、2013年ロードカナロア(父キングカメハメハ)、2017年サトノアラジン(父ディープインパクト)、2021年ダノンキングリー(父ディープインパクト)が、母の父にこの血を持つ。また、2018年に勝利したモズアスコットの母の父、ヘネシーの父もストームキャットだ。

 昨年の勝ち馬ソングラインは、父キズナがサトノアラジンらと同じ「ディープインパクト×ストームキャット」の配合。さらに、母の父シンボリクリスエスは2012年の勝ち馬ストロングリターンの父で、3代母の父マキャヴェリアンが2005年の勝ち馬アサクサデンエンの母の父と、過去の勝ち馬の血統を取り入れるような血統構成だった。


 今年もストームキャットを持つ馬が多く出走する予定だが、その中で筆者が本命に推したいのがイルーシヴパンサー(牡5歳、美浦・久保田貴士厩舎)だ。

 同馬は祖母の父にストームキャットを持つ形で、父ハーツクライは2014年の勝ち馬ジャスタウェイを出している。「母の父キングカメハメハ」は2019年の勝ち馬インディチャンプと同じ。母イルーシヴキャットの「キングカメハメハ×ストームキャット」という配合は前述のロードカナロアと同じだ。牝系は、GⅠ仏ダービー馬ロペデヴェガなどが出た名門でもある。

 イルーシヴパンサーは昨年の安田記念にも出走しており、1番人気で8着と敗れている。

同レースは1000m通過58秒7と、安田記念としては遅めの流れになり、後方16~17番手で競馬をしたイルーシヴパンサーには展開が向かなかった。そんな中でも上がり3Fは32秒6と最速タイを記録しており、実力の片鱗は見せている。

今年に入ってからは京都金杯(中京・芝1600m)を豪快に差し切り。前走のGⅡ中山記念(中山・芝1800m)は8着と敗れたが、最後の直線では前が壁になり、最内の進路を奪われて最後は追うのを止めていたように、完全に脚を余してしまっていた。スムーズなら勝ち負けだっただろう。

 今回は、昨年の安田記念以来の東京コースとなるが、東京・芝1600mは4戦3勝と得意条件。
昨年のGⅢ東京新聞杯では2着に1馬身3/4差の完勝を見せており、ベスト条件と言ってもよく、昨年の雪辱を果たしたい。

 もう1頭はジャックドール(牡5歳、栗東・藤岡健一厩舎)を推す。父モーリスは2015年の安田記念を含め、日本と香港のマイルGⅠを4勝した名マイラー。産駒は本馬のほか、GⅠスプリンターズSのピクシーナイト、GⅠエリザベス女王杯のジェラルディーナ、芝1600~2500mの豪GⅠを3勝したヒトツ、芝1200mの豪GⅠ勝ち馬マズと、幅広い距離のGⅠ馬を出している。

 ジャックドールは初のマイル戦で、モーリス産駒も日本でマイルGⅠの勝利はないが、自身の走りなどからも問題はなさそう。また、遠縁だが、2013年の2着馬ショウナンマイティとは同族になる。
ショウナンマイティも大阪杯(当時はGⅡ)の勝利があるなど共通点があるため、同馬に続く好走を期待したい。

 以上、今年の安田記念はイルーシヴパンサー、ジャックドールの2頭に注目する。