厳選!2歳馬情報局(2023年版)
第5回:アルセナール

 過去2年の3歳牝馬クラシック戦線において、相次いで有力馬を送り出してきた繁殖牝馬がいる。サンブルエミューズだ。

 彼女がまた、今年も楽しみな2歳牝馬を送り出してきた。美浦トレセンの木村哲也厩舎に所属するアルセナール(牝2歳/父エピファネイア)である。

ナミュール、ラヴェルの妹で「安定した血統」アルセナールに対す...の画像はこちら >>

兄姉に活躍馬が多く、デビュー前から注目されているアルセナール

 過去の牝馬クラシック戦線で話題を集めた彼女の姉たちというのは、2019年生まれのナミュール(牝4歳/父ハービンジャー)と、2020年生まれのラヴェル(牝3歳/父キタサンブラック)。

 ナミュールはデビュー2連勝を飾ると、2歳GIの阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)で1番人気に推された。同レースでは4着に終わったものの、桜花賞トライアルのGIIチューリップ賞(阪神・芝1600m)を制覇。クラシック初戦のGI桜花賞(阪神・芝1600m)で再び1番人気に支持された。

 その大一番では再度人気を裏切ってしまったが(10着)、続くGIオークス(東京・芝2400m)では3着と好走。GI秋華賞(阪神・芝2000m)でも2着に入って、改めて力があることを示した。現在は、古馬のマイル戦線で奮闘。鋭い末脚を秘めており、大舞台での戴冠が期待されている。

 一方のラヴェルもデビュー2連勝を飾って、一躍世代の有力候補に浮上した。というのも、2戦目には"出世レース"のGIIIアルテミスS(東京・芝1600m)を快勝。

それも、早くから注目されていたリバティアイランドに競り勝ったのだから、当然と言える。

 ただ、その後は阪神JF、桜花賞と、ともに11着と惨敗。期待どおりの結果は残せなかった。それでも、オークスでは4着と健闘。秋以降の飛躍が見込まれている。

 これら素質ある姉を持つアルセナール。

すでに入厩してデビューに向けて準備が進められているが、陣営の評価はどれほどのものなのか。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「アルセナールはまだ強い調教をしていない段階ですが、厩舎スタッフからは『足さばきなどから、いいモノを持っていると感じる』といった上々のコメントが聞かれました。実際、『安定した血統なので、期待したい』と、陣営が目指しているところは高さそうです」

 また、同馬の馬体について、陣営はこう語っているという。

「馬体重は480kgほどと、この時期の牝馬にしては十分な体つき。スタッフによれば、『やや寸詰まりの体型で筋肉がモリモリ。

いかにもマイラータイプの見た目』とのことです。

 それ自体は問題ないのですが、『今はなるべく距離適性に幅を持たせたいので、長めの調教を取り入れるなどの工夫をしている』と言っていました。その素材のよさから、マイラーにとどめたくないという気持ちが見え隠れします。期待の表れでしょう」

 デビューは早くとも夏以降になる見込みだが、来春のクラシックへ向けて、楽しみな1頭であることは間違いない。注目の一族の仔が、再び牝馬クラシックを賑わせるのか。アルセナールの動向から目が離せない。