3日間開催となる今週の中央競馬。10月9日には古馬の秋の始動戦として注目度の高い重賞、GII京都大賞典(京都・芝2400m)が行なわれる。

実際、昨年のレースを制したヴェラアズールは、続くGIジャパンC(東京・芝2400m)で戴冠。秋の大舞台を占ううえで、見逃せない一戦となる。

 過去のレースを振り返っても、ラブリーデイやキタサンブラックなど、秋のGI戦線で主役となる実績馬たちがここから始動。そのため、1番人気は過去10年で2勝、2着3回、3着2回と比較的安定した成績を残している。

 ただその一方で、人気薄馬の激走もしばしば見られる。2013年には11番人気のヒットザターゲットが、2019年にも11番人気のドレッドノータスが金星を挙げて、3連単はそれぞれ360万円超え、180万円超えといった超高額配当が飛び出した。

 はたして、3年ぶりの京都開催となる今年はどうか。まずは、京都コースの馬場状態について、デイリー馬三郎の吉田順一記者が分析する。

京都競馬場は改修工事を経て、今年の4月22日にグランドオープン。その分、絶好のコンディションでの時計の速い決着が続出すると思われました。しかし、路盤が固まっていないためか、クッション値以上にソフトな馬場状態で、たとえば改装前の京都で猛威を振るったディープインパクト産駒が思ったほどの活躍を見せられず、力の要る舞台が合う血統の馬の台頭が目立っていました。そこは、頭に入れておきたいところです。

 また本来なら、夏に芝の張り替えなど大がかりなメンテナンスが行なわれますが、今年は6週間しか使用していないこともあって、傷んだ箇所の蹄跡補修を行なったくらい。エアレーションやシャタリング作業はやっているものの、それで路盤が固まるとは思えず、今開催もソフトな馬場状態であると判断したいです」

 では、そういった馬場で狙い目となるのは、どんなタイプか。吉田氏が続ける。

「ソフトな馬場状態のうえ、週末は雨予報となっていますから、道悪巧者に目がいくかもしれませんが、予想雨量とコンディション自体はいい馬場を考えると、そういったタイプがそこまで幅を利かせることはないでしょう。個人的には、ある程度のポジションで運べる馬か、前づけできなくても速い脚が使える馬が面白いと思っています」

 さらに吉田記者は、出走メンバーを見渡してこう語る。

「徹底先行型のアフリカンゴールド(せん8歳)、折り合い面からすんなりと前目につけたいアイアンバローズ(牡6歳)やブローザホーン(牡4歳)など、先行したい馬がそろった印象。

これらに加えて、好位につける持久力タイプのディープボンド(牡6歳)がどう動くかによって、ウイニングポジションは変わってくるでしょう。そして、斤量などを踏まえれば、荒れる可能性は大いにあると踏んでいます」

 そこで、吉田記者は穴馬候補を2頭挙げた。

「1頭目は、ボッケリーニ(牡7歳)です。前有利の展開だった2走前のGIII鳴尾記念(6月3日/阪神・芝2000m)で、中団から外をまくっていって、フェーングロッテン、マリアエレーナ、ソーヴァリアントら人気馬をねじ伏せた競馬は、強いのひと言でした。

秋のGI前哨戦 京都大賞典は衰え知らずのベテラン2頭の大駆け...の画像はこちら >>
 7歳になっても衰えはまったく見られず、次戦の前走・GI宝塚記念(6月25日/阪神・芝2200m)でも期待値は高かったです。ただ、同レースでは内にこだわった戦法がアダとなってしまい、中団を追走しながら動けずに4角では殿(しんがり)まで後退。
直線に向いてからは上位争いも見えた脚勢で伸びてきましたが、そこでも前が詰まってしまったことが堪えました。

 結果は、勝ち馬からコンマ5秒差の5着。それでも、この馬の持ち味をまったく発揮できなかったことを思えば、十分に評価していいレースだったと思います」

 昨秋もこのレースから始動し、ヴェラアズールの2着。休み明けの戦績もよく、侮れない存在となる。

「1週前の馬体でも、いつでも使えるぐらいの仕上りでした。(休み明け)初戦から能力を全開にできる状態。

血統からソフトな馬場も問題なく、57kgの斤量からも好戦は必至でしょう」

 吉田記者が推奨するもう1頭は、アフリカンゴールドだ。

「穴馬として面白いのは、やはり逃げ馬。8歳馬ですが、今春のGII阪神大賞典(3月19日/阪神・芝3000m)では4着と健闘し、まだまだ衰えを感じさせることはありませんでした。

 逃げ馬らしい脆さを抱えていて、なかなか人気にならない馬ですが、ハナを奪った時は大きく負けていないのは魅力。時計の出る馬場だとキレる馬に簡単に差し込まれてしまいますが、ソフトな馬場状態で単騎逃げが見こめるここは、展開ひとつでチャンスはありそうです。

 有力な差し馬勢が目標とするのは、好位で運ぶディープボンド。

同馬の動き出しが遅れれば、前の粘り込みは十分に想定できます。こうした馬を狙うのが、穴馬券の鉄則です」

 100万円超えの高額配当も見込める秋のGI前哨戦。今年は、一発を秘めるベテラン馬2頭の大駆けに要注意である。