ヒロド歩美さんインタビュー
阪神タイガース日本一」後編(全2回)

10年来の阪神タイガースファンであるアナウンサーのヒロド歩美さんにインタビュー。後編では、岡田彰布監督や選手たちへの取材の裏話を交えながら、"A.R.E"(アレ)な1年を語ってもらった。



ヒロド歩美は阪神・村上頌樹のブレイクに「高校時代から見てきた...の画像はこちら >>
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【初の阪神取材はマートン】

ーーヒロドさんが阪神タイガースに心を惹かれるようになったのは、以前所属していたABC(朝日放送)に2014年に入社してからだそうですが、最初はどのようなお仕事だったんですか?

ヒロド歩美(以下同) まずマートン選手の取材をさせてもらって、そこからいろいろな選手に直接関わらせていただくことで、どんどん思い入れが深くなっていきましたね。プロ野球中継のベンチリポーターもさせて頂いていましたし、ちょうどその時、岡田彰布監督がABC専属の解説者だったので、最初は母校(早稲田大学)が同じということで、顔を覚えてもらえました。

ーー岡田監督は、解説者時代と比べ、何か変化を感じたりしましたか?

 いや、変わらないですね。本当に記憶力がすごい方で、たとえば岡田監督が局内にいると聞いて、私があいさつだけをしてまた仕事に戻ったりすると、後日、「あの時、あいさつに来てくれたよな」って細かく記憶されているんです。そう言われるとうれしいですし、私を覚えているぐらいですから、岡田監督の脳のなかには、どれだけ人のフォルダが入っているかと思うと、すごいなって。

ーー抜群の記憶力ですね。

 さすが将棋アマ三段です。



ーー2023年春から『報道STATION』に出演するようになって、最初のインタビューが岡田監督だったと聞いています。印象に残っている言葉はありますか?

 それこそ「普通にやったら勝てる」とおっしゃっていましたね。まだ開幕をして間もない頃だったので、その言葉の意味を正確には理解できなかったのですが、シーズン中の戦い方を見ていくうちに納得しました。本当、ペナントレース中、一度も不安になることがなかったんですよ。「岡田阪神」に疑問がなかったというか。

ーー打線も守備も投手も、適材適所の采配でしたね。


 どういう意図があるのか、ご本人のコメントを聞いたり、読んだりして納得できました。野球って複雑だと思うし、岡田監督がおっしゃることは深いんですけど、それであってもわかりやすいし、見えやすい。きっと野球という競技が好きになったファンも増えたのではないでしょうか。

【高校時代から選手の活躍に感慨】

ーーヒロドさんは『熱闘甲子園』を8年間担当なさっていますが、やはり高校時代から見てきた選手たちが活躍するとうれしいでしょうね。

 もちろんです。それこそ今季大活躍した村上頌樹投手は、智弁学園(奈良)3年の時にセンバツで優勝投手になっていますし、高校時代から見ていた選手なので、すごく思い入れはありますね。先日も村上選手にインタビューさせていただいたんですが、いまや新人王とMVPを獲得した選手ですし、なんか過去を振り返ると感慨深いものがありました。

キラキラとした日々というか。

ヒロド歩美は阪神・村上頌樹のブレイクに「高校時代から見てきた思い入れ」で感慨 アレな1年を語る
ーーそうでしょうね。

 そういえば今年、村上選手が参加した青柳晃洋投手の自主トレを取材したんです。村上選手は前年のイースタン・リーグの投手2冠(最優秀防御率&最高勝率)。青柳選手も「一軍で活躍してほしい」という思いが強く、村上選手を自主トレに誘って考え方のアドバイスをしたそうです。そういう意味では、皆で勝ちとった新人王とMVPなんだって村上選手を取材して思いました。


ーー青柳選手もうれしかったでしょうね。

 すごく喜んでいました。青柳投手本人の話だと、その自主トレの時、つまり開幕前に言っていたのが「このシーズンは、自分で始まって、自分で終わりたい」と。

ーー日本シリーズ第7戦前に、岡田監督が青柳選手にかけた言葉と一緒ですね。

 そうなんです。青柳さんからはエースの覚悟を感じましたし、岡田監督の言葉も含めて、すごいことが起こったシーズンだったんだって、あらためて感じましたね。


ーー村上選手しかり、レギュラー組はもちろん選手層を見ても有望な若い選手が控えていますし、巷では阪神に黄金時代が来るのではないかと言われていますが。

 いちファンの思いとしては、そうなってくれたらうれしいですし、岡田監督は来シーズンに関して「また普通にやればいいだけ」とおっしゃっていたので、その言葉を信じるだけです。私が楽しみにしているのは、ちょっと気の早い話なんですけど、今の主力選手たちが将来、コーチや監督になった時、この経験が新たなチームに引き継がれるんだなって思うと、わくわくするんですよ。

ーーそこまで考えているんですか?

 目先のことじゃなく、未来に向けていい流れができればいいなって。38年前の日本一の時と比べれば、今のチームは主力が若いと言われていますし、まずはしばらく強い阪神が楽しめると思っています。

【日本一は極上なものを食べた感覚】

ーー他球団の巻き返しをどこまで跳ね返せるのか注目ですね。



 もちろんケガや不調など、今年調子のよかった選手が活躍できない場合もあるかもしれませんが、また新たな選手が出てきそうな予感はしますし、それこそ私が高校時代に取材をした選手が台頭してくれれば、余計にうれしいなって。

ーーしかし、本当に"A.R.E"(アレ)な1年だったと思います。

 本当ですね。今年はなんか"A.R.E"って言葉だけで、いろんな人との会話が増えたので、流行語大賞にもなりましたが、2023年を象徴する言葉だったと思います。コロナ禍でコミュニケーションが不足していて、それが明けて、"A.R.E"によって笑顔が増えたなって実感しています。

ーーヒロドさんは阪神ファンになってから初めての美酒、そして往年のファンの方々は待ち焦がれた38年ぶりの歓喜。あらためて、これまで知りもしなかった日本一を味わってみていかがでしたか?

 なんか、初めて極上なおいしいものを食べた感覚なんです。「えっ、こんなおいしいものがこの世にあったんだ。優勝するってこんなに楽しいし、日本一になるってこんなに幸せなんだ」ってしみじみ思いました。

ヒロド歩美は阪神・村上頌樹のブレイクに「高校時代から見てきた思い入れ」で感慨 アレな1年を語る


前編<ヒロド歩美、阪神の日本一に感情をうまく表現できず...岡田彰布監督に出版してほしい書籍のテーマとは>

【プロフィール】
ヒロド歩美 ひろど・あゆみ 
1991年10月25日、兵庫県生まれ。早稲田大学国際教養学部卒業後、2014年に朝日放送テレビ(ABCテレビ)入社。2016年に『熱闘甲子園』のキャスターに就任した。その後は『サンデーLIVE!!』『芸能界常識チェック!~トリニクって何の肉!?~』『芸能人格付けチェック』などに出演。2023年2月に退社し、4月からフリーの立場で『報道ステーション』のスポーツキャスターを務めている。