テレビ朝日アナウンサー三谷紬インタビュー:後編

 2022年からテレビ朝日で放送開始したサッカー番組『ラブ!!Jリーグ』。Jリーグに特化した情報バラエティ番組で、進行役は前身番組「チャント?Jリーグ」から引き続きテレビ朝日アナウンサーの三谷紬さんだ。

かねてから深すぎるサッカー知識と情熱が話題だったが、今回のインタビューでは想像以上の"サッカー愛"が炸裂。番組の見どころとJリーグ&サッカーに対する思いを気さくに、そして真摯に語ってくれた。

(前編:『三谷紬アナウンサーがサッカー沼にハマったきっかけは? 推しは日本代表の名キャプテン』>>)

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【ピッチでの取材で選手へのリスペクトが高まった】

――これまで数多くの取材をされていると思いますが、一番印象に残っている試合はありますか?

 『ラブ!! Jリーグ』の取材ではないのですが、2018年のルヴァンカップの決勝「湘南ベルマーレVS横浜F・マリノス」の試合ですね。場所は埼玉スタジアム2002で超満員。大方の予想ではマリノスが優勝するだろうと言われていたんですけど、なんとベルマーレが優勝。当時、アナウンサーがカメラを回しながらリポートをするという企画で、私はベルマーレ側にいたんですけど、勝った瞬間に感極まってしまって......カメラを回しながら涙をこらえるのに必死でした。

 当時、マリノスはすごく調子がよくて、リーグ優勝も果たしたタイミングだったので、下馬評を覆してベルマーレが勝ったこともグッときてしまって......。

私はピッチにいたんですけど、後ろにいるベルマーレのサポーターは息ができなくなるんじゃないかってくらい泣いて喜んでいました。選手たちもそんなサポーターの姿を見て、すごく喜んでいるのが印象的でした。私はちょうどサポーターと選手の間にいたので、歓喜の渦に巻き込まれましたね。その光景にまさに心を震わされて感激したのを覚えています。

――選手と同じピッチで、同じ目線というのも感慨深いものがありますよね。

 番組で取材していた当時オリンピック世代として活躍が期待されていた杉岡大暉選手や、齊藤未月選手(現・ヴィッセル神戸)たちがベルマーレにいたこともあり、余計に思い入れが強くなってしまった部分もあったとは思います(笑)。

けど、こんな経験していいのかな?ってくらいに本当に貴重な経験をさせてもらいました。

 ピッチに立って気づいたのは、遠くの選手やフィールドの空いている位置が分かりづらいのも印象的でした。スタジアムで観戦中は上から見ているので、右サイドが空いているなとか、あの人フリーだなってわかるんですけど、ピッチに立つとわからないんです。サッカー未経験者からしたら、どうしてそのスペースが空いてるってわかるの?って。より選手に対するリスペクトが高まりました。

「ストレス解消法はサッカー観戦」テレ朝・三谷紬アナウンサーが涙をこらえきれなかった試合とは?
番組セット内の小道具『作戦盤』を持つ三谷紬アナウンサー。「これよく見るとコマが足りてないんです(笑)」 photo by Takahiro Michinaka

【プライベートでもJリーグ布教活動】

――よくスタジアムに観戦に行くからこそその違いに気が付けることですよね。ちなみに、プライベートでもスタジアムへは行かれますか?

 めちゃくちゃ行きます! プライベートで楽しくサッカーを観るっていうのが私にとってのストレス発散法なんです(笑)。

関東近郊が多くなりますが、シーズンを通してできるだけ観に行くようにしてますね。しかも、サッカーにあまり興味がない友達を一緒に連れて行っています。何日に遊ぼ、って言われたらその日の試合日程を調べるんです。Jリーグ布教活動ですね(笑)。実際に連れて行ってからハマってくれた友人もたくさんいるので嬉しいですね。Jリーグにとってもプラスになることをせっかくならプライベートでもしたいなって思っていて。

 そうそう、FC東京の試合を観に行ったときに、プライベートで来ていたりんたろー。さんに偶然お会いしたんですよ。りんたろー。さんは評論家だと言えるほどたくさんの試合を観ていて、本当に詳しいんです。スタジアムへもよく足を運んでいるそうです。だから収録で会うと「あの試合見た?」って、必ずサッカーの話題で盛り上がります。

――番組を拝見していてもサッカー愛が伝わってきますもんね。

 そうなんです。せいやさんも昔からサッカーを観ていて、サッカー全般が好き。わからないことがあると、すぐ連絡をくれて「この試合を観ているけど、この選手の良さは?」とか質問してくれて。りんたろー。さんのコアな感じよりは、少しライト層に近い立ち位置なんじゃないかな。

 そんなサッカー好きのおふたりと、現場取材に行かれていることが多い元日本代表選手の槙野智章さんもレギュラーとしていらっしゃる。槙野さんが入ってくださることでより奥深さが出るんです。ライトな層に向けて、私たちがにぎやかに進行しつつ、芯を食った解説を槙野さんがしてくれるところが番組の良さなのかなと思っています。そんな槙野さんのキャラクターも我々と同じなので4人揃うとずっとキャッキャしてますけどね(笑)。

「ストレス解消法はサッカー観戦」テレ朝・三谷紬アナウンサーが涙をこらえきれなかった試合とは?
番組セット内に掲げてある可愛らしいデザインの『ラブ‼J Tシャツ』 photo by Takahiro Michinaka

【思いつきが企画になるのが『ラブ!! Jリーグ』の懐の深さ】

――スタッフの方々含め、とてもアットホームな撮影現場に感じました。

 ファミリー感がすごく強くて、そこも番組の良さなのかなって思います。私の失敗もりんたろー。さんとせいやさんのおふたりは笑って突っ込んで、許してくれる(笑)。肩肘張らずにスタジオに座らせてもらっているのは、おふたりのつくる空気があるからだなって実感しますね。

 3人で試合の取材に行くこともあるんですけど、一緒にスタジアムに行くとめちゃくちゃ楽しいんですよ。それこそ、取材先で選手を勧誘して、"せいや軍団"と"りんたろー。軍団"と架空のチームを作りあげようとしていますしね(笑)。

 今年、パリ五輪が開催されることもあって、番組では多くの選手を取材させてもらっているんです。なかでも、藤田譲瑠チマ選手(シント・トロイデン)やFC東京の野澤大志ブランドン選手は何度も出ていただいてますね。野澤選手は活躍が認められてアジアカップの日本代表メンバーにも選ばれました。早くから応援し始めた選手が、どんどんサクセスストーリーを作っていくのもサッカーの楽しみのひとつですね。
 
――取材もされて企画もご一緒するからこそ、余計に親近感が湧きますね。今後、選手たちとこんな企画をやってみたいというのはありますか?

 当番組ってすごく変わっていて、コーナー数がたくさんあるんです。番組内で「これやりたいな」ってなんの気なしに発した言葉をスタッフさんが覚えていて、急にコーナーが始まったり(笑)。やりたい!っていうと何でも叶えてくれるんです。選手を焼肉に連れて行く企画「焼くんだJ」は、スタジオでせいやさんが「選手たちを焼肉に連れて行きたい」って言ったのがきっかけで実現したんです。

 今日の収録でも「サウナ行きたい」や「ゴルフやりたい」って話が出てましたが本当にコーナーになっちゃうかも!? スタッフさんもフレキシブルにより選手と関係性をよくして我々出演者が楽しくできるような環境づくりをしてくれているんですよね。ありがたいです。

 私はなんでも楽しめるので、せいやさんとりんたろー。さんがやりたいことをどんどん叶えていってあげたい。けど、そんな思いつきがリアルになるのが『ラブ!! Jリーグ』の良さであり魅力なので、どんどんやりたいことを発信して、Jリーグの魅力を広めていきたいです!

【Profile】
三谷紬(みたに・つむぎ)
1994年4月4日、千葉県佐倉市生まれ。2017年、テレビ朝日にアナウンサーとして入社。過去には『やべっちFC~日本サッカー応援宣言~』や『チャント!! Jリーグ』などのサッカー番組に出演し、"趣味サッカー観戦"という筋金入りのサッカーファン。2020年にはテレビ朝日の公式YouTubeチャンネル「動画、はじめてみました」では10kgの減量企画に挑戦し、570万回を超える再生回数を叩き出し大きな反響を呼んだ。現在は『ラブ!! Jリーグ』、『新日ちゃんぴおん!』などへのレギュラー出演他、バラエティ番組でも大活躍。