直近の2シーズンで最下位に沈んだ中日。今季は投手陣の充実に加え、得点力に苦しんだ野手陣も中田翔の加入でどう変化があるかに注目が集まる。

 1993年に沢村賞を受賞するなど、かつて中日のエースとして活躍。春季キャンプでは一軍投手コーチを務めた2013年以来、11年ぶりに古巣のピッチャー陣を指導した今中慎二氏に、今季の中日のベストオーダーを考えてもらった。

(篠塚和典が考える巨人ベストオーダー 熾烈な外野の人選は? 坂本勇人の打順は?>>)

今中慎二が考える中日のベストオーダー 課題の得点力アップへ「...の画像はこちら >>

【サードは高橋周平か石川昂弥か】

今中慎二(以下、今中) 開幕戦を想定すると、キャッチャーは木下拓哉、ファーストは中田翔を選びます。セカンドは候補が多いんですよね......。それも、似たりよったりという感じなので悩みどころです。

――確かに、田中幹也選手、村松開人選手、高橋周平選手、辻本倫太郎選手、福永裕基選手、山本泰寛選手と多いですね。起用に関して、何を重視するべきでしょうか。

今中 二遊間に関して、立浪和義監督は守備力を重視して選ぶだろうと見ていました。案の定、守りに定評がある田中を「セカンドの開幕スタメンで起用する」と明言していますよね。自分もセカンドは守備力を重視したいので、田中を選びます。

 ただ、中日は得点力が課題のチーム。守備力は田中に比べて落ちるかもしれませんが、打力を優先するなら村松という選択肢もあるとは思います。

――ショートはいかがですか? こちらも立浪監督はクリスチャン・ロドリゲス選手を開幕スタメンで起用する方針を明らかにしています。

今中 ロドリゲスは、守備はまだ大雑把な部分がありますが肩が強いですね。自分も選ぶとすれば、ロドリゲスになるかなと。ただ、開幕時のスタメンはロドリゲスというだけで、その後も固定して使い続けるかは別の問題です。田中もそうですし、確固たるレギュラーと言えるような選手ではないので。立浪監督もオープン戦ではポジションを回していましたし、固定しようという考えはそこまでないと思います。

――続いて、サードはいかがですか?

今中 (オルランド・)カリステのスタメンはないと思うので、高橋か石川昂弥なんですが、難しいですね......。

オープン戦では高橋が頑張っていた(打率.391)ので高橋でもいいかなと思います。その場合に石川がどう思うかですが、競争心を高めさせるという意味でも面白いかもしれません。

 石川は昨季、ずっと我慢して起用し続けましたが、春季キャンプ、オープン戦の状態を見てもイマイチです(打率.175)。ただ、開幕後に石川の状態が上がってくれば石川がサードに入ってもいい。その時に高橋の調子もよければ、高橋はセカンドも守れますから。なので、開幕時のスタメンは高橋でもいいのかなと思います。

――外野陣はいかがでしょうか?

今中 センターは、自分のバッティングを掴みつつある三好大倫。岡林勇希が万全の状態になれば、その段階でまた考えることになりますが、開幕の段階では三好でしょうね。

 ライトは細川成也、レフトは(アレックス・)ディカーソンにします。ディカーソンは、オープン戦では慣れない日本のピッチャーに苦しんでいましたが、シーズンに入ってどこまで変わるのか見てみたい。アジャストするまで30打席かかるのか、50打席かかるのか......アジャストできない場合でも、代わりはいるので大丈夫でしょう。

 開幕戦の相手はヤクルトで、狭い神宮球場での試合なので、当たりそこないの打球でもスタンドに入ります。

そんな1打でもいいから結果を残して、気分を上げてくれればいいなと。なので、開幕戦のスタメンを考えるならディカーソンです。

【中田を中心にチーム状況はいい】

――ポジションが決まったところで、打順はどうなりますか?

今中 相手にとって嫌なオーダーを考えるなら、こうでしょうか。

<今中慎二が考える中日のベストオーダー>※開幕戦を想定

1番 三好大倫(センター)

2番 田中幹也(セカンド)

3番 高橋周平(サード)

4番 中田翔(ファースト)

5番 細川成也(ライト)

6番 アレックス・ディカーソン(レフト)

7番 木下拓哉(キャッチャー)

8番 クリスチャン・ロドリゲス(ショート)

今中 三好はピッチャーが右でも左でもそれほど苦にしませんし、走れるので1番は三好が最適です。2番の田中は、走者を進めるバッティングやバントをしっかり決めてほしいですね。

 高橋に関しては先ほども話しましたが、オープン戦での状態がよかったですし、今までにないような引っ張る打球が増えていたので3番を任せてみたいです。

4番の中田と5番の細川は、点が欲しいところでしっかり打ってほしいですね。

――ディカーソン選手は、クリーンナップではなく6番に入れていますね。

今中 オープン戦ではアジャストしきれていない部分があったので、6番ぐらいで気楽に打たせてみたいです。今季は中田がいて、高橋の状態もいいですし、ディカーソンを6番に置けるくらいチーム状況はいいですね。

――ロドリゲス選手は8番。ここまでのバッティングはどう見ていますか?

今中 まだまだですね。彼は試合に慣れていかないといけませんし、オープン戦でも下位を打たせていましたよね。21歳と若いですし、慣れるまでは8番くらいでいいと思います。今は守備力を期待されて起用されていますが、いずれは打つほうでも戦力になってもらわないといけませんから。

――4番に中田選手がどっしりと座ることで、いい影響がありそうですね。

今中 細川は昨季よりもプレッシャーが軽減するでしょうし、中田の前後を打つバッターがうまく機能する可能性はありますね。繰り返しになりますが、中日の課題は得点力。中田をはじめ、控えの中島宏之なども含めて、得点圏でどれだけ打てるかだと思います。

【プロフィール】

◆今中慎二(いまなか・しんじ)

1971年3月6日大阪府生まれ。左投左打。1989年、大阪桐蔭高校からドラフト1位で中日ドラゴンズに入団。2年目から二桁勝利を挙げ、1993年には沢村賞、最多賞(17勝)、最多奪三振賞(247個)、ゴールデングラブ賞、ベストナインと、投手タイトルを独占した。また、同年からは4年連続で開幕投手を務める。2001年シーズン終了後、現役引退を決意。現在はプロ野球解説者などで活躍中。