3歳牝馬ランキング(後編)

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 激戦の3歳牝馬戦線。クラシック本番へ向けて、いよいよ大詰め。

今週のGIIチューリップ賞(3月2日/阪神・芝1600m)を皮切りに、GIIフィリーズレビュー(3月8日/阪神・芝1400m)、リステッド競走のアネモネS(3月15日/中山・芝1600m)と、注目のトライアル戦が続いていく。

 そこから、GI桜花賞(4月13日/阪神・芝1600m)、GIオークス(5月25日/東京・芝2400m)に向けて、有力候補として名乗りを挙げる馬は出てくるのか。前編に引き続き、それら前哨戦を前にしての現時点における3歳牝馬の『Sportiva オリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、JRAのホームページでも重賞データ分析を寄稿する競馬評論家の伊吹雅也氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランクづけ。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 2位に入ったのは、GIIIフェアリーS(1月12日/中山・芝1600m)を完勝したエリカエクスプレス(牝3歳/父エピファネイア)。圏外から大幅にランクアップしてきた。ここまで2戦2勝。桜花賞には直行で挑む。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「フェアリーSは施行時期や性質上、"1勝馬同士の重賞"というイメージが強いです。しかしながら、過去のこのレースを振り返ってみると、勝ったスマイルカナやファインルージュ、2着馬でもアエロリットやスターズオンアースなど、ここで強い競馬をした馬は3歳春のクラシックやGIでも好成績を残していています。

 その点、今年のレースを制したエリカエクスプレスも圧巻でした。

時計の速い馬場だったとはいえ、過去のこのレースと比較しても、出色の勝ち時計をマーク(1分32秒8)。後続に3馬身差をつけて、クラシックでも高いパフォーマンスが期待できます」

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「フェアリーSでは長距離輸送を克服し、パドックでは脚取りが軽く、レースでも上々の推進力を発揮。前後半の4ハロン45秒5-47秒3のハイペースを、好位から早めに動く形で押しきる芸当を披露しました。

 前にいたティラトーレを持ったままの手応えで交わして、そのまま疾走。時計の出やすい舞台設定だったとはいえ、1分32秒8という勝ち時計を記録したことはポテンシャルの高い証でしょう。

 まだ頭が高く、少しトモ腰は甘めですが、上質の先行力とスピード&持続力はトップクラス。折り合い面に課題はあるものの、そのあたりに進境がうかがえれば、クラシックの主役級と言っていいでしょう」

3歳牝馬クラシック開幕まで残り1カ月 現時点で最も有力視されている存在は?
 1位は、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月8日/京都・芝1600m)で戴冠を遂げたアルマヴェローチェ(牝3歳/父ハービンジャー)。2歳女王となって、同ランキングでも堂々の頂点に立った。エリカエクスプレス同様、桜花賞へは直行で向かう予定だ。

吉田氏
「新馬戦を勝ったあと、GIII札幌2歳S(8月31日/札幌・芝1800m)に挑戦。攻め気配は抜群でしたが、まだパドックではトモに甘さを残している現状でした。その分、レースではもうひと押しが利かず2着に終わりました。

それでも、馬込みでしっかりと我慢が利いた点は評価できました。

 3戦目の阪神JFでは、札幌2歳S時ほどの攻め気配になく、少し評価を落としました。しかし、パドックではクビをグッと下げて推進力と活気は十分。後肢の流れもマシになっており、確実に成長を遂げていました。

 まだポジションを取れる競馬ができませんが、流れを味方にして中団の外から差しきり勝ち。2歳女王になったことは確かです。まだまだ伸びしろも残しており、クラシックでは2歳時以上のパフォーマンスが期待できる一頭。1位の評価は妥当でしょう」

伊吹雅也氏(競馬評論家)
「2月16日終了時点の本賞金は8420万円。一走あたりの賞金は2806万円で、ともにJRAに所属する現3歳世代の牝馬としては単独トップ。唯一のGIウイナーなので、当然と言えば当然ですが、現時点における実績は頭ひとつ抜けています。

 母ラクアミ、2代母レイズアンドコールは、いずれも現役時代に芝・短距離のレースを主戦場としていた馬。2016年のGI朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m)で2着となったモンドキャンノも近親の一頭です。

(前編の)3位ビップデイジーのところでも触れましたが、2017年以降のJRA3歳春のクラシック競走(桜花賞、皐月賞、オークス、日本ダービー)における、阪神JFで2着以内となった経験がある馬の成績は、計29戦して3着以内17回、3着内率58.6%。今年も桜花賞やオークスでは、阪神JFの上位馬を素直に中心視するべきでしょう。

 ただし、どちらかと言えば短距離向きの血統ですから、オークスでどう評価するかは、桜花賞のパフォーマンスを見てから、あらためて検討したいと思います」

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