GI皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)と同じ舞台で行なわれるトライアルレース、GII弥生賞ディープインパクト記念が3月9日に行なわれる。

 同レースについて「ひと筋縄ではいかないんですよね......」と漏らすのは、日刊スポーツの松田直樹記者。

牡馬クラシック第1弾と同じコースとあって、有力馬がこぞって参戦。それゆえ、人気どおりの決着が多いと思われるが、決してそうではないからだ。

 実際、過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は馬券圏内(3着以内)に7回入っているものの、勝ったのはわずか2回。伏兵の台頭が頻繁に見られている。

 そうした状況を受けて、松田記者が悩ましい表情を浮かべてこう続ける。

「過去10年で1番人気の優勝は、2017年のカデナと2018年のダノンプレミアムのみ。例年、上位拮抗の一戦となっています。加えて近年は、勝ち馬から皐月賞馬が出ていないことや路線の多様化によって、勢力図を描きにくいことも混戦ムードを強めています。

 今年は、GI朝日杯フューチュリティS(12月15日/京都・芝1600m)の2着馬ミュージアムマイル(牡3歳)をはじめ、2戦2勝馬のヴィンセンシオ(牡3歳)、ナグルファル(牡3歳)あたりが人気を集めそうですが、それらですんなり決着するのかどうか......」

 また、最近は賞金が足りている有力馬がトライアルを使わずに本番へ備えることが多くなっており、そんな傾向を受けて、この弥生賞も今年は例年よりも1週前倒しでの開催となった。本番との開催を空けることで、有力馬の出走を促すのが狙いだった。

 しかしそんな思惑に反して、今年は29年ぶりに重賞勝ち馬の出走がない弥生賞となった。重賞連対馬も、前出のミュージアムマイルだけ。

各馬の実力比較が一段と難しい状況にあっては、予想に頭を悩ますのも無理はない。

 ともあれ、松田記者は「こういった時こそ、挑戦者の立場でも面白そうな馬を見極めるのが重要」と言って、今回のレースで激走が期待できる馬をピックアップした。

 松田記者が最初に注目したのは、ガンバルマン(牡3歳)だ。前走で同じコースの未勝利戦を勝ち上がって、果敢に重賞へチャレンジしてきた。

「同馬については、鞍上の原優介騎手の手応えが相当いいんです。1週前追い切りを終えた朝、同騎手が『未勝利を勝った時とは別馬みたいです』と声を弾ませていました。折り合い面に課題があるのですが、その点も修正できたようです。

 そして、最終追い切りでも3頭併せの最先着。ゴールまで引っ張り切りで、6ハロン84秒4-11秒8という好時計をマークしました。重馬場での手応えからして、出来のよさは相当なものだと感じさせられました。

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 追い切りを見ての率直な感想を原騎手に投げると、以下のように状態のよさを詳細に説明してくれました。

『折り合いが良化して、キレも増しています。

体高が伸びて、それに伴う肉付きはまだですけど、未勝利を勝った時から大幅に成長しています。

 折り合いに関しては、今日も100点。先週は(中山の)開幕週でしたけど、芝は少し水を含んでいるような感じ。そういう馬場も合うと思います。

 キレ味を出せる出来ですし、坂もこなせるパワーもある。実力を出せる状態ですよ。なんとか(皐月賞出走の)権利を獲りたいです』

 調教のよさと陣営への取材の感触から、大駆けへの期待が膨らんでいます」

 松田記者はもう1頭、気になる馬がいるという。レイデオロ産駒の良血馬ベストシーン(牡3歳)だ。

「同馬を管理する手塚貴久厩舎と言えば、2020年のワーケア、2021年のシュネルマイスターと管理馬が2年連続で2着。弥生賞との相性がいい厩舎と言えます。

 前走の1勝クラス・セントポーリア賞(2月2日/東京・芝1800m)では、直線で最内を突いて動けない位置取りに。結果、脚を余して、運のない6着に終わりました。

手塚調教師も『消化不良のレース』と振り返るように、度外視していい一戦でしょう。

 右回りではモタれる癖もありますが、そのあたりもハミを替えることでクリアができそう。母は桜花賞馬アユサン、半兄は朝日杯FS優勝馬のドルチェモアという良血。人気薄ですが、こちらも楽しみな1頭です」

 今年の3歳牡馬戦線は「1強」クロワデュノールを除くと、かなりの激戦ムード。弥生賞も、各馬のマークが薄くなる1勝馬2頭が一発かましても不思議ではない。

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