6-1と大勝した香港戦から中3日。E-1サッカー選手権を戦う森保ジャパンが第2戦で中国と対戦し、2-0で勝利を収めた。

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 これにより、15日に予定される韓国戦が優勝決定戦になるわけだが、指揮官が公言するように、今大会は勝敗とは別のところにある「メンバーの底上げ」というもうひとつの目的もある。実際、ここまでの2試合ではGK大迫敬介以外の選手全員がピッチに立った。

 そこで注目したいのが、今大会に招集されたJリーグでプレーするフレッシュな選手たちが、いかに現代表で求められるプレーを遂行し、そのなかで自らの武器を発揮できるかどうか、という点だ。

 果たして、今回の中国戦で指揮官の信頼を勝ち取ることができた選手は誰なのか。目立った活躍を見せた選手のパフォーマンスにスポットを当てる。

【ボールを収めるプレーも目立った細谷真大】

 まず、この試合で際立っていた選手の筆頭株を挙げるとすれば、3-4-2-1の1トップを任された細谷真大だろう。前半11分に先制ゴールを決め、ストライカーとして目に見える結果をしっかりと残すことに成功。田中聡からの縦パスを、抜群のファーストタッチでシュートできる場所にボールを置き、相手DF(2番)を振りきって右足を振り抜いたそのゴールは、おそらく本人がイメージしたとおりの一撃だったに違いない。

 その他の場面でも、前半28分、後半立ち上がりの48分、あるいは78分にもゴールに迫るなど、フィニッシャーとしての存在感を示していたが、それ以上にこの試合で目を引いたのは、前線でボールを収めるプレーだった。

 先制ゴールもそのひとつになるが、それ以外にも前半に6本、後半にも4本の縦パスを前線でレシーブ。自陣からのパスをミドルゾーンで引き取った3度のプレーも加えると、計13本の縦パスを収め、次の攻撃に展開させた。

 同じように、6月のインドネシア戦では町野修斗が前線で起点となってポストプレーで成長を見せたのは記憶に新しい。もちろん、インドネシア戦も今回の中国戦も相手の守備に緩さがあった点は否めないが、ふたりが正しい場所で素早く正確にプレーできたことは、今後につながるという意味でも期待してよさそうだ。

 初招集が多い今大会のメンバーのなかで、細谷はこの試合が代表8試合目の出場だった。6月に行なわれたW杯アジア最終予選のインドネシア戦でも、途中出場ながらその試合の6点目を決めるなど、少しずつ結果を残せるようになっている。今回のメンバーでは長友佑都(143キャップ)、植田直通(17キャップ)、相馬勇紀(16キャップ)に次ぐ4番目の経験者でもある。そういう意味でも、優勝のかかった次なる韓国戦でも継続性を示したいところだ。

【攻守で評価を高めた選手がいる】

 その細谷の先制点をアシストした田中も、出場時間が前半に限られたなかでアピールできた選手と言っていい。

 川﨑颯太に代わる追加招集となった田中は、この試合が記念すべき代表デビュー戦だったにもかかわらず、試合開始からダブルボランチの一角で攻撃のスイッチ役として機能。11分の細谷のゴールを見事な縦パスでアシストして見せた。

 前半44分には原大智からボールを預かり、DFの背後を狙う佐藤龍之介にパスを供給して決定機を創出。残念ながら、佐藤のシュートは相手GKの好セーブでゴールとはならなかったが、攻撃の部分で自らの持ち味をいかんなく発揮した。

 結局、自陣からミドルゾーンへの縦パスを含めると、前半だけで8本の縦パスを供給。この試合でボランチコンビを組んだ宇野禅斗が3本(前半)だったことを考えると、評価に値するパフォーマンスを披露したと言っていいだろう。

 加えて、前半35分には高い位置でボールを奪取して佐藤のシュートシーンをお膳立てしたように、守備面でもチームに貢献。最終的にハーフタイムに稲垣祥と交代することとなったが、プレータイムを考えると、次の韓国戦で出場機会を得る可能性は十分にある。

その意味でも、上々のデビュー戦になった。

 一方、守備陣で評価を高めたのが、GK早川友基だ。今回が代表デビュー戦となったなか、17分に相手の1トップ(9番)との1対1のシーンを迎えると、絶体絶命のピンチをビッグセーブでストップ。決まっていれば試合の流れが変わっていた可能性が高かったことを考えると、細谷の先制ゴールに匹敵するビッグプレーだったと言える。

 見逃せなかったのは、持ち前の足技をこの試合でも披露したこと。とりわけ後半3分に細谷に届けたグラウンダーのロングパスはその能力の高さを証明するに十分で、10分にも自陣ボックス外から稲垣に縦パスを供給。シュートストップはもちろん、現代表のGKに求められるビルドアップ能力も兼ね備えていることを示して、森保一監督の信頼を勝ち取った可能性は高いと思われる。

 韓国戦ではまだ今大会で出場機会のない大迫敬介がスタメンを飾ると予想されるが、その試合で大迫がどのようなプレーを見せるのか。要注目だ。

【真価が問われるのは韓国戦】

 この3選手以外では、右ウイングバックで先発した望月ヘンリー海輝も上々のプレーを見せた。最大のハイライトは、試合が1-0のまま停滞していた64分に決めた貴重な追加点。相手DF(5番)のクリアミスとも言えるが、カットインから躊躇なく狙った左足シュートがネットを揺らし、代表2キャップ目にして爪痕を残すことに成功した。

 そのゴール以外にも、この試合では右サイドから前半に2本、後半は3本のクロスを供給。いずれも成功とはならなかったが、この試合に出場した選手のなかで最も多くのクロスボールを記録した。逆に、後半に2度(52分、75分)、守備面で不安定さを見せてしまった点は、今後の課題と言えるだろう。

 ちなみに、この試合では前半8本、後半8本のクロスを記録した日本だったが、左右の内訳で見ると、前半は右が5本で左が3本、後半は右が6本で左が2本と、全体的に右サイドに偏るという現象が起きていた。

 これは、3バックの右を務めた綱島悠斗がより攻撃に絡めていたことと関係する。そういう意味では、今回が初招集となった綱島もアピールに成功したと言える。

 いずれにしても、注目は次の韓国戦だ。今大会3戦目となれば、ともに練習する時間も長くなるため、チームとしての連係も高まっていくはず。そうなれば、よりチームのなかで個を生かせたかどうかがわかりやすくなる。

 韓国はこれまでの2試合の相手よりもワンランク上の相手だけに、その試合で各選手の真価が問われることになりそうだ。

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