サマースプリントシリーズ第3戦のGIIIアイビスサマーダッシュ(新潟・芝1000m)が8月3日に行なわれる。新潟名物の「千直」を舞台とした唯一の重賞で、今年も屈指のスピード自慢が顔をそろえた。
過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は5勝、2着2回。その数字だけ見れば、かなり信頼度が高いように思えるが、直近3年に限って言えば、一度も馬券に絡んでいない。おかげで、3連単では2022年が25万円超え、2023年には80万円超えといった高額配当が飛び出している。
もともと伏兵の台頭も頻繁に見られ、波乱含みの一戦であることは間違いない。そうした傾向にあって、研究ニュースの藤田浩貴記者は今年のレースで人気が予想される面々についても懐疑的な目を向ける。
「今回は、ピューロマジック(牝4歳)とテイエムスパーダ(牝6歳)あたりが人気を集めそうですが、前者は海外帰りの一戦。加えて、ムラっぽい気性で全幅の信頼は置けません。
後者も脚質的にはピンかパーか、といったタイプ。前走のオープン特別・韋駄天S(5月25日/新潟・芝1000m)こそ強い競馬を見せましたが、同型との兼ね合い次第ではあっさり負けても不思議ではありません」
いずれも強力な先行スピードを武器とするが、確かに負ける時は脆い。2頭が熾烈な先行争いを繰り広げるようなら、思わぬ伏兵の台頭があってもおかしくない。
そこで、藤田記者はそれら人気馬を出し抜いて一発が期待できる穴馬候補を2頭ピックアップした。1頭目は、カルロヴェローチェ(せん5歳)だ。
「3歳時のGINHKマイルC(東京・芝1600m)では1番人気に支持され、5着に入った素質馬。その後、長い不振が続いていましたが、前走のオープン特別・安達太良S(7月12日/福島・芝1200m)で復活勝利を飾りました。
テン乗りだった丸山元気騎手は『レース前から落ちついていたことが大きかったですし、最後まで集中していました』とメンタル面を勝因に挙げ、それこそ、去勢の効果が出てきた証拠でしょう。レース後、その鞍上からアイビスサマーダッシュ出走への進言があって、それでここに駒を進めてきたようです。
前進気勢にあふれていて、前走でも抑えるのに苦労するほど唸っていました。それだけに、さらなる距離短縮は歓迎でしょう。
行きたい馬がそろっていて、競馬もしやすいはず。前に馬を置く形で運べれば、今回も終(しま)いで弾けてくれるのではないでしょうか。もともとのポテンシャルを考えれば、重賞制覇もそう難しくないと見ています」
藤田記者がオススメするもう1頭は、ニシノトキメキ(牝5歳)だ。
「初めての新潟・千直だった前走の1勝クラス(5月3日)での勝ちっぷりが圧巻でした。右にモタれる面があるので、外ラチ沿いを走れたのも大きかったと思いますが、バランスを修正しながら逃げて、なおかつ、上がりもメンバー最速。後続に4馬身差をつける完勝で、千直適性の高さを裏づける内容でした。
しかも、陣営からは『本調子ではなかった』という話も出ていて、上積みが見込める今回は時計短縮も十分に可能でしょう」
そうはいっても、ニシノトキメキは1勝クラスを勝ったばかりで2勝クラスの身。クラスがふたつ上のオープンクラス、それも重賞で通用する力はあるのだろうか。そんな疑問に対して、藤田記者は首を振って「問題ありません」と語る。
「千直というのは、格よりも適性が大きくモノを言う条件で、これまでにも格上挑戦で好走した馬は多数います。
また、時計勝負になるため、斤量面で軽い牝馬の活躍が目立っているのも推奨ポイントです。データ的に見ても不安は少なく、格下の身とはいえ、侮れませんよ」
例年、夏の新潟開幕週に行なわれていたアイビスサマーダッシュ。今年は1週遅れの開催となって、「ただでさえ外枠が圧倒的な有利のレースなのに、今年はその傾向にさらに拍車がかかりそう」と藤田記者。特にカルロヴェローチェが8枠16番に入り、藤田記者は「積極的に狙っていきたい」と自信の笑みを見せた。
真夏の電撃戦。推奨馬2頭が"激アツ"の配当をもたらすのか、注目である。