【「チャンピオンズリーグで優勝を経験できたことで成長できた」】

"Squadra molto forte."

 オンラインで出席した3人のペルージャの選手たちは、イタリア語で「とても強いチーム」と口をそろえて言った。世界最高のセッターのひとりであるシモーネ・ジャネッリ、圧巻の高さを誇るミドルブロッカー、ロベルト・ルッソ、世界有数のアウトサイドヒッターのオレフ・プロトニツキは、対戦が決まったサントリーサンバーズ大阪に、そう敬意を表していた。

 8月8日、品川。

「Qoo10 presents ワールドチャレンジシリーズ2025」の開催記者会見が行われた。今年10月7、8日に、石川祐希が在籍する欧州王者、イタリア・セリエAのペルージャが来日し、大同生命SVリーグの男子初代覇者、髙橋藍を擁するサンバーズと対戦することになった。

【男子バレーボール】石川祐希が欧州王者の一員として凱旋 SV...の画像はこちら >>

「(石川)祐希がペルージャにいるから、たくさんの日本人ファンが試合を観に来てくれる。日本でも楽しみに!」

 プロトニツキは笑顔でそう語った。世界最強とも言えるチームに、日本人選手がいることがどれほどの快挙か。

「昨シーズン、チャンピオンズリーグで優勝を経験できたことで、成長できたと思っています」

 会見に出席した石川が言う。2014年12月から約10年間、イタリアの6チームを渡り歩いてきた日本バレー界の英雄が凱旋する。

「自分は日本(のクラブ)でプレーしたことないので。こういう試合で、大勢の日本の方を前にして、イタリアのクラブに所属しながらプレーできるのは、とても楽しみです」

 石川はそう言って言葉に力をこめた。

 彼こそ、昨今の日本男子バレー人気をけん引してきた存在だ。自らイタリアの地に飛び込み、次第に高い評価を受け、そして昨シーズンは欧州チャンピオンズリーグ優勝という栄光をつかみ取った。その間、日本国内でもSVリーグが新たに開幕し、髙橋藍や西田有志らを中心にバレー人気は急上昇。

その初代王者であるサンバーズと戦うことが決まったのだ。

石川本人にとっても、感慨深い試合になるだろう。

【「注目ポイントは、攻撃のイタリア、守備の日本」】

「注目ポイントは、攻撃のイタリア、守備の日本ということになるでしょうか」

 石川はそう見どころを語った。矛と盾の対決となるか。

「今回の一戦は(フジテレビ系で)テレビ放送もしてもらえるということで。こういう機会はあまりないので、選手としてうれしく思っています。ペルージャの選手たちも、日本に来られることを楽しみにしていて。イタリアと日本のクラブチームがこうして対戦するのは初めてのことですし、イタリアのバレーの迫力とか、日本のディフェンス力はぜひ観てもらいたいですね」

 メディアやファンは、石川対髙橋の対決構図にも注目している。

「彼(髙橋藍)はディフェンス力がある選手で。彼がいることによって、チームのディフェンス力が上がる。攻守の要と言える選手で、そこは代表でやっているときと変わらないと思います。サンバーズの武器は、まさに"ボールが落ちない"ところにあると思いますが、自分たちイタリアのチームは、そういう対戦相手をあまり経験していない。どれだけ粘られるか(崩せるか)、そこが勝負になるかもしれません」

 そう展望を語る石川は、世界最高峰リーグでさまざまなブロックやレシーブを打ち抜いてきた。

チャンピオンズリーグ優勝はひとつの集大成だ。

 石川とともに会見に出席した髙橋は、「石川選手が(チャンピオンズリーグで)優勝されたのは、自分自身では"本当にすごいこと"で」と、石川に敬意を示す。

「それが、バレー界ではまだまだ伝わっていないと思っています。だから今回こうした試合ができることで、イタリアのレベルの高さ、面白さをもっと伝えられたらいいですね。お互いのバレー界に影響を与えられたら、と思っています」

 代表では盟友のふたりは、敵同士としてはほぼ初めての対戦となる。髙橋がイタリアでプレーした時代に対戦があったが、それぞれがケガを負っていた。ふたりの対決が、どんな化学反応を起こすか。それは男子バレー人気をさらに高めるに違いない。

「SVリーグが開幕し、日本国内で"バレーを盛り上げていこう"となっているなか、僕たちペルージャが王者サントリーと戦えるのはうれしいことで。とても新鮮な試合になると思います」

 石川の口調は熱を帯びていく。

【「今後、バレー界がさらに盛り上がるように」】

「こうした一戦は、日本のバレー、世界のバレーが両方よくなっていくことにつながると思います。ひとりのバレー選手として、こうした機会をもらえるのはとてもありがたい。

日本代表も、ここ数年で結果を出せるようになってきて、たくさんの方に注目してもらえるようになり、それが人気につながっています。今回も、まずは選手として活躍できるように」

 今回のフレンドリーマッチは、盛況なバレー界を祝福する祭典になるだろう。

「日本代表とは、また違った試合を見せられると思います。今後、バレー界がさらに盛り上がるように」

 会見の最後、石川は毅然とそう言い放った。まもなく、英雄の凱旋だ。

>>>【男子バレーボール】髙橋藍が語る欧州王者ペルージャ戦への抱負「どこまで戦えるのか、楽しみ」

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