ビビる大木×宮本慎也

 今回は、現役選手から宮本慎也さんが選ぶ「侍ジャパン」を作ってもらった。あのメジャーリーガーたちから、日本のプロ野球で活躍する選手まで、悩みながら選出した11人とは?
 

宮本慎也が選ぶ2026年WBCの侍ジャパン「ホームランを打て...の画像はこちら >>
ビビる大木(以下、大木) 今回は、現役選手から侍ジャパンのメンバーを選んでいただきたいと思います。

宮本慎也(以下、宮本)メジャーリーガーは入れていいんですよね?

大木 大丈夫です。DHもありで。じゃあまずはピッチャーからいきますか? 今回は3人まででお願いします。

宮本 とりあえず山本由伸、大谷翔平

大木 大谷翔平選手はピッチャーとしてですか?

宮本 いや、両方(DHも含む)です。あとは今永昇太ですかね。菊池雄星もいいなと思うんですけどね、3人ってなると今永のほうがいいかな。

大木 全員メジャー組ですね。

宮本 人数制限なしにしてくれたら、たとえば宮城大弥(オリックス)とか今井達也(西武)とか才木浩人(阪神)も入るでしょう。今井なんかはすごく魅力的で、結構僕は好きです。

大木 さあ、キャッチャーはどうしましょうか。

宮本 キャッチャーがもう本当にいないんですよね。

大木 それは、宮本さんのお眼鏡にかなう人が、なかなかいないということですか?

宮本 そうですね。でも、みんな悩むと思います。キャッチャーらしさ、安定のブロッキング、キャッチングを考えると、坂本誠志郎(阪神)かな。

大木 例えば、巨人の岸田行倫は?

宮本 そうですね、サブには入ります。でも、坂本のほうがいいかなぁ。

大木 では、ファーストは?

宮本 どうしましょう。岡本和真(巨人)をどうするかなんですよ。(候補は)岡本、村上宗隆(ヤクルト)、佐藤輝明(阪神)がいて、サトテルは外野に回そうと思えば回せるんですよ。

大木 その3人のうちサードで使うなら誰ですか?

宮本 岡本でしょうね、守備を考えたら。その3人でサードに入れるんだったら、絶対岡本なんですよ。そうすると、村上がファーストになりますかね。

大木 じゃあファーストが村上選手、サードが岡本選手ですね。

セカンド、ショートは?

宮本 セカンドは牧秀悟(横浜)か、太田椋(オリックス)か。

大木 どっちにしますか?

宮本 牧で。

大木 牧選手のあの明るさもチームにいいですよね。

宮本 はい、一生懸命やりますしね。

大木 ショートはどうしますか? 

宮本 これはもう......いない!(笑)。ただ、これ幸いだと僕は思っているんですけど、今年は広島の矢野雅哉の調子が悪くて、小園海斗がもう1回ショートをやっているんです。僕は前から小園をスーパーなショートにしてほしいと思っていたんですよ。  打撃もあるし、足も速いので。守備もセンス的にはいいと思うので、期待も込めて小園。 

大木 これはいいですね。宮本さんならではの目線ですね。

宮本 やっぱり打てたほうがいいですよね。

大木 残るはDHと外野です。

宮本 DHは大谷を投手と併用ですね。

大木 じゃあ、外野の3人は?

宮本 鈴木誠也はDHが多くて守備機会が少ないので、どこを守らせようかなというところなんですよね。 ライトにサトテルを入れたいので、センターに鈴木ってなるかな。あとひとり......すみません、めっちゃ忘れていました。 近藤健介(ソフトバンク)です。

大木 スーパープレーヤーがいましたね。

宮本  あとサブ的に言うと、周東佑京(ソフトバンク)はバッティングもよくなっているし、スタメンでも使えるようになってきていますよね。 

大木 ほかにも吉田正尚とか。

宮本 ゲームにあんまり出てないですよね。 でも、必要な選手だと思います。僕が監督だったらこんな感じのメンバーかな。

大木 打てる選手が多い印象ですが...。

宮本 基本的に僕の考え方なんですけど、最初から守備を固めて、ここっていうチャンスで代打を出すとするじゃないですか。それで勝ち越すとしますよね、そうすると、守備が弱くなっちゃうんですよ。だから、 簡単に言うとアメフト方式ですね。 「君たち、まず点を取りなさい。点を取った瞬間にガラッと変えますよ」っていうのでいいかなと僕は思っています。

 特にある程度ホームランを打てるバッターを揃えないと。みなさん、前回のWBCをよく思い出してください。 決勝戦、3-2で日本が勝ちました。 全5点のうち4点(アメリカ2本、日本2本)がホームランです。しかもソロホームランです。

 結局、いいピッチャーがショートイニングでバンバンくると、連打は難しいんですよ。

でも、ホームランを打てるやつがいれば、ハマった時に1点が取れるじゃないですか。だから、ホームランを打てる選手は絶対にそろえないといけないです。

 僕も国際大会を経験しましたけど、どうしてもスモールベースボールに走るんですよ、パワーで勝てないから。でも、それでずっと負け続けたわけじゃないですか。 東京五輪では勝ちましたけど。だから、一昨年のWBCでは、栗山(英樹)さんはパワーのある選手を集めましたよね。 サブに中野拓夢だったり、周東だったりがいましたけど、基本的にレギュラーはパワーヒッターである程度固めていました。 ショート(源田壮亮)はちょっと別でしたけど。ピッチャーもパワーピッチャーばかりを選んだんですよ。

 僕は栗山さんのメンバー編成はちょっとびっくりしたし、それで勝ったっていうのは、すごく大きな価値があると思ったんです。日本がパワーで勝ったという。

 それもこれも大谷がいないと話にならないですけどね。

僕はパワーがなかったし、違うタイプの選手でしたけど、こういう野球のほうが好きなんです。 野球の基本的な部分はしっかりやらないといけないですよ、 もちろん。でもホームランを打てる選手は多いほうがいいし、点が取れたほうがいいんです。

大木 とはいえ、かつての自分みたいな選手がひとりくらいほしいなとか思わないですか? 

宮本  今の時代に僕が全盛期だったら、ショートに入ってもいいかな(笑)。ただ、僕みたいな役割もひとりぐらいいたほうがいいとは思うんですけど、やっぱり打てる選手を使っていったほうがいいと思います。

大木 最後に宮本ジャパンの打順を決めてください。

宮本 もう9番は決まっています、坂本。 1番鈴木、 2番近藤、3番大谷...ここが迷いますね。 近藤を先にするか、大谷を先にするか。ただ、近藤はすごくいいバッターですけど、めちゃくちゃ打つホームランバッターでもないんで、近藤を先にして、ランナーがたまった状態で、大谷に回る可能性があることを考えて、大谷を3番にして、近藤を2番にしましょう。

 で、"今日の感じ"だと4番は岡本ですね。"今日の感じ"というのは、(巨人ファンの)大木さんとやっているからということですね(笑)。

大木 すみません(笑)。お気遣いありがとうございます。

宮本 5番村上、6番サトテル。

大木 サトテルの4番はないですか?

宮本 それはないですね。まだまだ発展途上なので、確率も欲しいのでね。7番牧。8番小園。9番が坂本。

大木 豪華ですね。牧選手が7番なんて恐ろしいですもんね。

宮本 そうですね。6番のサトテルと入れ替えてもいいかなとは思いますけど、左が続くので、そんな感じですね。 

大木 WBCがもう、来年ですか。早いですね。今年活躍した選手を中心に選ばれると思いますか?

宮本 もちろんそうなると思います。岡本も村上も向こう(メジャー)に行く可能性があるじゃないですか。そうなった時にチームがOKを出してくれるかというと......。前回、吉田が参加できましたけど、そのへんはメジャーの方々も盛り上げる意味でも行かせてほしいなと思いますね。

Profile
宮本慎也(みやもと・しんや)/1970年11月5日、大阪府出身。1992年にドラフト2位でヤクルトスワローズに入団。2004年のアテネオリンピック、2008年の北京オリンピックではキャプテンを務め、2012年に2000本安打を達成。2013年に現役を引退。現在は野球解説者として活動している。

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