【"格下"でも大駆けが期待できるのは?】

 10月19日(日)、京都競馬場で3歳牝馬によるGⅠ秋華賞(芝2000m)が行なわれる。

 今年はGⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)を3番人気のエンブロイダリーが、GⅠオークス(東京・芝2400m)を4番人気のカムニャックが勝利。一方で1番人気馬は、桜花賞ではエリカエクスプレスが5着、オークスではエンブロイダリーが9着と馬券に絡まず、やや波乱の決着に終わっている。

 今回の秋華賞にはエンブロイダリーもカムニャックも駒を進めてきていて、カムニャックは前走のGⅡローズS(阪神・芝1800m)を勝って万全の態勢でここに臨んでくる。近年はオークス上位馬の成績がいいため、カムニャックが圧倒的な中心馬となりそうだが、新星の台頭や波乱が多いのも秋華賞の特徴だ。今回はそんな馬を血統的視点から探ってみたい。

 まずは取り上げたいのは、"新星"のカテゴリーに入るセナスタイル(牝3、栗東・安田翔伍厩舎)だ。

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 同馬は今年1月の新馬戦(中京・芝2000m)で初勝利。その後、骨折のため休養を余儀なくされたが、約6カ月半ぶりの1勝クラス戦(中京・芝2000m)も勝って2連勝を飾った。

 続く前走のローズSは出遅れ気味のスタートも、直線では馬群を縫うように脚を伸ばしてゴール直前で3着に浮上し、秋華賞の出走権を獲得した。新馬戦は半馬身、2戦目はアタマ差、ローズSは4着とクビ差といずれも僅差だが、差し脚の鋭さと勝負強さは非凡なものを感じさせる。

 その勝負強さはおそらく、血統のすばらしさからくるのだろう。母ヌーヴォレコルトはオークス馬で、秋華賞2着、桜花賞3着と牝馬三冠でも常に上位争いを繰り広げた。また、4歳時にはGⅠ香港C(芝2000m)で2着、5歳時に米国で重賞勝ちと、海外でも実力を示した"女傑"だ。

 さらに、2歳上の半姉イングランドアイズはこの夏、3勝クラスながら9番人気で出走したGⅢ小倉記念(小倉・芝2000m)を勝利している。

セナスタイルは現状、2勝クラス。ローズSで3着に入らなければ秋華賞には出走できなかった"格下"の存在だ。しかし良血馬は時に、こういったクラスの壁を簡単に打ち破るもの。姉がすでにそれを証明しているのは心強い。

 父ソットサスはGⅠ仏ダービー(芝2100m)、仏GⅠ凱旋門賞(芝2400m)を勝った名馬。仏ダービーを制したのは3歳時、凱旋門賞を制したのは4歳時と、その血は成長力を秘めている。日本での勝ち馬はセナスタイルだけだが、今年から日本で種牡馬生活を送っており、日本の生産者も期待している種牡馬だ。芝の中距離はピッタリの条件だろう。

【3連敗中だが血統的に期待の1頭も】

 もう1頭はエリカエクスプレス(牝3歳、栗東・杉山晴紀厩舎)を推す。

 今年1月のGⅢフェアリーS(中山・芝1600m)を勝った馬で、同レースは1分32秒8の好時計で3馬身差という圧勝だった。桜花賞では1番人気に推されたが、逃げて他馬の目標になる形になったのがキツかったのか5着と敗れている。

 その後もオークス10着、秋初戦のGⅢ京成杯オータムH(中山・芝1600m)で11着といいところがないが、今回は2着に2馬身半差をつけて完勝した新馬戦(芝1600m)の京都コースに戻る。

敗戦が続き、マークも緩くなるのもプラスに働くだろう。

 1600mまでしか勝利がないことから、2000mの距離が不安視されるかもしれないが、血統的には中距離タイプだ。父エピファネイアは三冠牝馬デアリングタクトや日本ダービー馬ダノンデサイルの父であり、伯父で母の全兄でもあるカプリはGⅠ愛ダービー(芝2400m)、GⅠ英セントレジャー(芝2920m)を勝った長距離巧者なだけに、2000mはこなせるはずだ。

 以上、今年の秋華賞はヌーヴォレコルトの仔セナスタイル、エピファネイア産駒エリカエクスプレスの2頭に期待する。

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