2025年の中央競馬もいよいよ最終週。フィナーレを飾るのは、GI有馬記念(12月28日/中山・芝2500m)だ。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は5勝、2着1回。まずまずの成績を残しているが、馬券圏外に沈んだことも4回あるうえ、伏兵の台頭も頻繁に見られ、波乱含みのレースと言える。

 今年はどうか。連覇を狙うレガレイラ(牝4歳)が中心視されているが、かといって「1強」といった状況ではないようだ。スポーツ報知の坂本達洋記者が語る。

「GI天皇賞・秋(11月2日/東京・芝2000m)を制し、続くGIジャパンカップ(11月30日/東京・芝2400m)でも勝ったカランダガンとの叩き合いを演じたマスカレードボールこそ不在ですが、グランプリレースは今年も、レガレイラを筆頭に役者がそろった印象です。

 ゆえにレガレイラ以外にも、昨年の3着馬で、今春の海外GIドバイシーマクラシック(4月5日/メイダン・芝2410m)を快勝したダノンデサイル(牡4歳)や、GI皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)で戴冠を遂げて、天皇賞・秋でも2着と好走したミュージアムマイル(牡3歳)らが有力視されており、いわゆるレガレイラの"一本かぶり"ではなく、人気は割れそう。そういう意味では、馬券的な妙味は増すのではないでしょうか」

 これら名前が挙がった面々以外にも、力のある実績馬がズラリ。例年に違わず、かなり熾烈な争いが予想される。坂本記者が続ける。

「昨年は確たる逃げ馬が不在で、最内枠のダノンデサイルが主導権を握って逃げましたが、それとは打って変わって、今年は前に行きたい馬が何頭かいます。粒ぞろいの3歳世代と4歳世代が人気になると思いますが、ひと筋縄とはいかない暮れの大一番。

小回りの中山コースを1周半も走る長距離戦ですから、ペースや展開ひとつで波乱が起こってもおかしくありません」

 そこで、坂本記者は2頭の穴馬候補をピックアップした。1頭目は、前走のGⅡアルゼンチン共和国杯(11月9日/東京・芝2500m)で初の重賞制覇を決めたミステリーウェイ(せん7)だ。

「7歳にして重賞初制覇と、実績的に見劣るのは否めません。ですが、果敢な大逃げで2連勝を飾った直近2走の走りからは、一発の夢を抱かせてくれます。

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 2008年のダイワスカーレットや2017年のキタサンブラックなど、これまでも強い逃げ馬が押しきったことは何度かありますが、伏兵による"大仕事"があったことも忘れてはいけません。15番人気で逃げきった1992年のメジロパーマーはその代表格。また、13番人気で2着に逃げ粘った2002年のタップダンスシチーも、個人的には強く印象に残っています。

 ヨーイドンのキレ味勝負では分が悪い馬でも、大きなリードを取って番狂わせを狙うのは競馬のセオリー。前々で運んで、展開を味方につけることができれば、ミステリーウェイにもチャンスはあると見ています。

 鞍上の松本大輝騎手が『後ろを気にせず、この馬の機嫌を悪くしないようにペースを維持して、コーナーでは動かず、直線、直線で引き離して、完璧な騎乗だったと思います』と振り返った2走前のオープン特別・丹頂S(9月7日/札幌・芝2600m)は、まさにそんな"してやったり"の勝利でした。

 同型のメイショウタバル(牡4歳)がいても、ここでも迷いなく逃げて、スタミナを生かした作戦に打って出るはず。離れた2番手にメイショウタバルがつける形になれば、落ちついたレース展開となって、後続は動きにくくなるでしょう。

 前走のアルゼンチン共和国杯でも、向正面で大きく後続を引き離して、息を入れた3~4コーナーにかけては後続に差を詰められましたが、最後の直線では二枚腰があるところを見せました。鞍上が完全に手の内に入れていますし、この距離や舞台条件もぴったり。大駆けへの期待が膨らみます」

 坂本記者が注目するもう1頭は、エルトンバローズ(牡5歳)だ。

「前走のGIマイルCS(11月23日/京都・芝1600m)5着からの臨戦過程で、これまでの距離実績からも軽視されるでしょうが、甘く見てはいけない存在だと思っています。

 2023年のGⅡ毎日王冠(東京・芝1800m)を最後に白星からは遠ざかっているものの、昨年のマイルCSでは2着と好走。能力があるのは確かで、骨折明けの近3走も着順ほど大きく負けてはいません。安定した先行力と相手なりに走れるところが、この馬の持ち味。初めての2500m戦で、新味が出る可能性は十分にあり得ます。

 実際、3代母アンティックヴァリューは、1993年の桜花賞、オークスを制した2冠牝馬ベガの母で、一族には1999年のダービー馬アドマイヤベガなど活躍馬が多数。また、父ディープブリランテ、母父ブライアンズタイムという血統背景からは、距離が延びてもよさそうなイメージが沸きます。

 展開的にはメイショウタバルの後ろあたりの位置につけて、持ち前のしぶとさを生かせれば、あれよあれよと上位に食い込むシーンがあっても......」

 みんなの夢――有馬記念。ここに挙げた2頭が、ビッグな夢をあなたに届けてくれるかもしれない。

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