2026年3歳牡馬クラシック
皐月賞日本ダービーを制す馬は?(前編)

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 2025年の3歳牡馬戦線は、GIホープフルS(中山・芝2000m)を制して2歳王者に輝いたクロワデュノールを中心にハイレベルな戦いが繰り広げられた。GI皐月賞(中山・芝2000m)はミュージアムマイルが勝って、クロワデュノールが2着。
GI日本ダービー(東京・芝2400m)ではクロワデュノールが優勝し、マスカレードボールが2着となった。

 ミュージアムマイルにしろ、マスカレードボールにしろ、2歳時から重賞、オープンクラスで活躍。早くから能力の高さを示してきた馬が、クラシックでもしっかり結果を出した年だったと言える。

 翻(ひるがえ)って、2026年の3歳世代はいまだ主役候補が定まらず"大混戦"だ。

 その要因としては、この世代を引っ張っていくであろうと思われた素質馬、期待馬たちが、ここまでの主要レースでことごとく人気を裏切ってきたことが挙げられる。とりわけ昨年11月以降の「出世レース」とも言われる1800m以上の重賞、GⅡ東京スポーツ杯2歳S(11月24日/東京・芝1800m)、GⅢ京都2歳S(11月29日/京都・芝2000m)、ホープフルS(12月27日)においては、いずれも1番人気が馬券圏外に沈む結果となった。

 まったく先が読めない、今年の春のクラシック戦線。はたして、頂点に立つのはどの馬なのか。

 やや無謀な依頼であることは承知のうえで、スポーツ紙、専門紙の記者など5人の識者に、今春の皐月賞(4月19日)、ダービー(5月31日)を勝つ馬を占ってもらった――。

太田尚樹記者(日刊スポーツ)

◆皐月賞=アドマイヤクワッズ(牡3歳/父リアルスティール)
◆ダービー=ロブチェン(牡3歳/父ワールドプレミア)

 アドマイヤクワッズは、1番人気に推されたGI朝日杯フューチュリティS(以下、朝日杯FS。12月21日/阪神・芝1600m)で3着。初黒星を喫しましたが、インを通った馬が1、2着というレースにあって、最後は大外から猛追して"負けて強し"の内容でした。

結果、ここまでのキャリア3戦はすべてマイル戦ですが、陣営はGⅡ弥生賞(3月8日/中山・芝2000m)から皐月賞に向かう方針を早々に表明しました。

 そもそも母系を辿れば、祖母パシフィックリムは芝2400mのフランスのGⅡマルレ賞を勝っていますし、父リアルスティールも皐月賞とGI菊花賞(京都・芝3000m)で2着と好走しています。管理する友道康夫調教師も距離適性については、「1600m~2000mくらいだと思います」と話していました。

 操縦性が高く、欠点の少ない馬ですが、マイル戦では唯一のウイークポイントと言える出脚の鈍さが懸念材料。ですが、2000m戦なら、その点もカバーできると思います。そして、友道調教師が挙げる「エンジンがかかるのが早くて、それが最後まで続く」という長所は、中山の舞台でこそ生きるのではないでしょうか。

 ダービーで注目したいのは、ロブチェン。7番人気の低評価でホープフルSを制したことには驚かされましたが、決してフロックではないと思います。無印にした私だけでなく、鞍上の松山弘平騎手も戦前は「初戦が特殊な馬場(重馬場)だったので、何とも言えないですね」と半信半疑でした。

 それでいて、レースでは直線で内から外へ持ち出すロスがありながら、卓越した瞬発力で突き抜けました。キャリア1戦で、長距離輸送も、控える競馬も未経験というなか、大舞台で見せた圧巻のパフォーマンスは高く評価していいでしょう。

 父は菊花賞馬のワールドプレミア。

松山騎手も「操作しやすい馬で、2400mもいけると思います」と距離延長に関しては、何ら不安はなさそう。キャリアが浅い分、伸びしろもたっぷり残していますし、群雄割拠のクラシック戦線で主役を張っていけると見ます。馬場の善し悪しを問わないのも強みになるはずです。

坂本達洋記者(スポーツ報知)

◆皐月賞=リアライズシリウス(牡3歳/父ポエティックフレア)
◆ダービー=チャリングクロス(牡3歳/父キタサンブラック

 デビュー2連勝でGⅢ新潟2歳S(8月24日/新潟・芝1600m)を勝利。前走の朝日杯FSこそ5着に敗れましたが、リアライズシリウスの秘める能力の高さは一級品だと思います。

 昨春の新馬戦(6月15日/東京・芝1600m)で7馬身差の圧勝劇で衝撃デビューを果たし、続く新潟2歳Sの走りも圧巻でした。8枠9番発走から出遅れて、すぐにリカバーして進出していきましたが、そこでバタバタすることなく、ピタッと2番手で折り合えたところに非凡なセンスをうかがい知ることができました。スパートしてからは後続を寄せつけず、4馬身差の完勝。そこから、さらなる伸びしろも感じさせてくれました。

 新潟2歳Sで戦った骨っぽいメンバーはその後、2着タイセイボーグがGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月14日/阪神・芝1600m)で3着と好走。3着フェスティバルヒルはGⅢファンタジーS(11月1日/京都・芝1400m)を快勝し、4着サンアントワーヌ、6着サノノグレーターも1勝クラスをあっさりと勝ち上がっています。

 その新潟2歳Sから約4カ月の休み明けで臨んだ朝日杯FSでは、馬体重がプラス12kg。

もちろん成長分もあったと思いますが、500kgを超える大型馬ゆえ、さすがに仕上げの難しさが出た印象があります。それでも、5着と掲示板を確保して地力の高さを示したことは先につながるはずです。

 朝日杯FSでの敗因については、管理する手塚貴久調教師も「休み明けというのが一番大きいかな。体はできていても、気持ちとか中身が"休み明け"という感じがあったのかも」と分析。次戦はGⅢ共同通信杯(2月15日/東京・芝1800m)の予定ですが、「距離は全然大丈夫。(今度は)もっと頑張ってくれると思います」と、手塚調教師は巻き返しへ意欲を見せていました。

 父ポエティックフレアは現役時に英2000ギニーを制するなど、主に芝のマイルで活躍した実力派でしたが、母父ステイゴールドで、伯父にはGⅡアルゼンチン共和国杯(東京・芝2500m)を勝っているルルーシュがいて、母系の血統から距離が延びてもこなせそうなイメージがあります。センスのいい走りっぷりからも中山・芝2000mは合うと見て、リアライズシリウスを皐月賞候補としました。

 ダービーの候補馬には、あえて昨年末時点で1勝馬のダークホース、チャリングクロスを指名します。同馬は、昨年のダービー馬クロワデュノールの全弟という良血馬。成長力の高さには目を見張るものがあります。

 昨春の新馬戦(6月21日/東京・芝1800m)は9着。

スタートがひと息で見せ場さえ作れませんでしたが、2戦目の未勝利戦(10月12日/東京・芝2000m)では見違えるような走りを見せてくれました。中団で流れに乗って、1馬身半差の完勝。直線では馬群の内から抜け出してくる味のある内容でした。

 レース前から管理する奥村武調教師のトーンが上がっているのは承知していましたが、レース後にその奥村師が「見た目どおりというか、体の成長がすべてです。ここまで、体の成長と競馬にいってのパフォーマンスが直結するとは......」と、驚きを隠せないほどの走りを披露。年明け初戦の1勝クラス(1月5日/中山・芝2000m)では3着でしたが、春に向けて楽しみな1頭です。

 昨年末の時点で、奥村師は「半年後に一番よくなっていれば」とコメント。前走後の取材では「コーナー、コーナーで逆手前だったりとか、まだちゃんと体が使えていないので、(これからの)良化度合いは大きいと思います。内容としては悪くなかった」と、変わらず評価は高かったです。今後もダービーを意識してローテーションを組んでいくはずです。血統面は申し分なく、2世代続けての"兄弟ダービー制覇"といったドラマを期待したくなります。

(つづく)◆識者が選定した皐月賞と日本ダービーの勝ち馬>>

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