篠塚和典×岡田圭右 後編

(中編:篠塚和典が語る、2009年のWBCをともに戦った原辰徳イチロー 現役時代の秘話も>>)

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の第6回大会が間もなく開幕する。大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)をはじめ、多くのメジャーリーガーが参加する今大会のメンバーのなかで、篠塚氏が注目するバッターについて語ってもらった。

(聞き手・お笑いコンビ「ますだおかだ」の岡田圭右さん)

【プロ野球】篠塚和典が侍ジャパンの注目バッターを解説 アベレ...の画像はこちら >>

岡本和真への期待】

岡田圭右(以下、岡田) いよいよWBCが始まります。2009年の第2回大会で打撃コーチを務めた篠塚さんにいろいろお聞きしていきますが、今回のメンバーを打撃コーチ視点で見た場合、いかがですか?

篠塚和典(以下、篠塚) 最高ですよ。2009年の時のチームもそうでしたが、やっぱり最高の選手を揃えていくことが鉄則なので。今回は特にメジャーの選手が多いですね。ピッチャー側からも(メジャーの)話がたくさん聞けるでしょうし、けっこう大事なことだと思います。

岡田 シーズン中は巨人を中心に見ていると思いますが、巨人からメジャーに羽ばたいていった岡本和真選手(トロント・ブルージェイズ)はいかがですか?

篠塚 ある程度やるんじゃないかなと思います。巨人の4番としてやっていくなかでも、徐々に打ち方を覚えて広角に打てるようにもなってきて、長打だけでなく、ある程度の打率も残せるようになりました。昨年はケガをしてしまい離脱した期間が長かったですが、復帰してからの打撃もよかったですし、期待できます(日本最終年は打率.327)。

岡田 前回のWBCも経験していますからね(決勝のアメリカ戦で本塁打を記録)。あと、広角に打ち分けてハイアベレージを残した篠塚さんから見て、現在日本で最高峰と言われているバットマンで、同じ千葉県出身の近藤健介選手(ソフトバンク)はどう見ていますか?

篠塚 いいバッターですよ。前回のWBCでも活躍していますし。

岡田 篠塚さんから見て、どのあたりが優れていますか?

篠塚 やっぱり対応力でしょうね。いろいろな変化球についていけますし、打席内で修正してアジャストしていく。

なのでハイアベレージを残せるんでしょうね(14年間の通算打率は.307)。

【アベレージを高めるために必要なことは?】

岡田 そこなんですよ。それはどうやったら鍛えられるのか、もしくは天性のものなのか。篠塚さんはどうお考えですか?

篠塚 天性のものもあると思いますけど、練習のなかでいろいろなボールを打っていくことでしょうね。

岡田 それは、どの選手もやっていますよ(笑)。

篠塚 近藤くんは、早い時期からやってきたんだと思います。

岡田 どの選手も早い時期からやってますって(笑)。最近の選手は、おそらく幼い頃からやっていると思うんです。

篠塚 そのやり方だと思いますよ。

岡田  やり方!? 最近は動画とかでいろいろなやり方が見られますし、情報はたっぷりありますが、みんながみんな篠塚さんや近藤選手みたいにハイアベレージを打てんのよ。言うたらあれですが、篠塚さんをパッと見たら野球選手とは思えないくらいスリムな感じじゃないですか。通算で何本ヒットを打たれたんですか?

篠塚 晩年は持病の腰痛の悪化もあって、1696本です。2000本には届きませんでした。

岡田 いやいや、それでも首位打者は2度獲得されていますし、3割なんて常連でしたから。

篠塚 いろいろなボールに対応するためには、それらを打つためのバッティングを体に覚えさせるということが前提だと思うんです。なので、体に覚えさせるくらいまで練習をしているかどうかなんじゃないかなと。

岡田  難しいなぁ。

篠塚 最近の練習方法を見ていると、ちょっと調子が悪いとすぐにバッティングを変えたりしていますよね。

岡田 今はいろいろと数値化されていますしね。ただ、練習で体に覚えさせるためには相当な練習量が必要なんでしょうね。

篠塚 幼い頃からそういう考え方を持って練習に取り組んでいたのかどうかで、そのあとの上達速度がだいぶ変わってくると思いますね。

【最後のピース、吉田正尚の評価は?】

岡田 ちなみに、我がオリックスから巣立っていった吉田正尚選手(ボストン・レッドソックス)が最後に滑り込みで侍ジャパンに選出されました。前回大会では、3点ビハインドの準決勝メキシコ戦で7回裏に起死回生の同点スリーランを打ちましたが、吉田選手はどう見ていますか?

篠塚 吉田くんは青学大を出ているので、息子(現Honda硬式野球部コーチ)とは先輩・後輩で、娘が青学大野球部のマネージャーをしていた時の4年生でもあるんです。そういうこともあって大学時代から注目していましたし、意識を高く持って頑張っている印象でした。

岡田 えっ!? そうなんですか! ちなみに、篠塚さんから見て吉田選手はどのあたりが優れていますか?

篠塚 スイングが常に一定で、再現性が高いことです。

なので、打席のなかでいろいろなスピードや変化に対応していけるんでしょうね。今回のWBCでもやってくれるはずですが、一昨年に右肩の手術をしているので、どこまで復調しているかですね。

岡田 守備面での不安は少し出てきてしまいますよね。でもバッティングに関しては対応力も、長打力もあります。あらためて今大会のキーマンを挙げるとすれば、どの選手になりますか?

篠塚 みんなが大谷くんと言いますからね(笑)。

岡田 そうですよね。大谷選手以外で挙げるとすれば?

篠塚 誰がキーマンというよりも、 どういったオーダーを組んでいくかによりますね。 つまり、「大谷くんの前」を任せるバッターと「後ろ」を任せるバッター。それによってキーマンは変わると思います。

岡田 なるほど。それでは、もし篠塚さんが侍ジャパンの監督だったら、どんなオーダーを組むのかを聞いていきたいと思います。2026年のWBCの打順、楽しみです!

■篠塚氏が組んだオーダーの動画はこちら>>

【プロフィール】

篠塚和典(しのづか・かずのり)

1957年7月16日生まれ、東京都出身、千葉県銚子市育ち。

1975年のドラフト1位で巨人に入団し、3番などさまざまな打順で活躍。1984年、87年に首位打者を獲得するなど、主力選手としてチームの6度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献した。1994年を最後に現役を引退して以降は、巨人で1995年~2003年、2006年~2010年と1軍打撃コーチ、1軍守備・走塁コーチ、総合コーチを歴任。2009年WBCでは打撃コーチとして、日本代表の2連覇に貢献した。

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