篠塚和典の巨人の戦力分析&セ・リーグ順位予想 後編

(前編:篠塚和典から見た巨人は「変わっていかなければ」 新人開幕投手・竹丸和幸ら期待のルーキー、開幕スタメンも語った>>)

 今シーズンのセ・リーグは、各球団が「打倒・阪神」を掲げて挑むことになるが、どんな戦いが待っているのか。長らく巨人の主力として活躍し、引退後は巨人の打撃コーチを歴任した篠塚和典氏に、セ・リーグの順位を予想してもらった。

【プロ野球】篠塚和典セ・リーグ順位予想1位は「当然」の阪神 ...の画像はこちら >>

【1位予想:阪神】

――阪神を1位に予想した理由は?

篠塚 石井大智が離脱しているのは痛いですが、野手の顔ぶれはほとんど変わっていません。上位打線には脂が乗ったレギュラーの近本光司、中野拓夢、森下翔太、佐藤輝明、大山悠輔らが並び、総合力で抜けていると思います。ルーキーの立石正広(1位/創価大)も、クリーンナップを打てる逸材だと思いますし、打つほうはプラス要素しかないんじゃないですかね。

 ピッチャー陣も、村上頌樹、才木浩人、大竹耕太郎、伊原陵人、髙橋遥人、伊藤将司、西勇輝らに加え、新外国人のイーストン・ルーカスら層が厚いです。他チームは戦力ダウンしていますよね。巨人は岡本和真(トロント・ブルージェイズ)が抜け、ヤクルトは村上宗隆(シカゴ・ホワイトソックス)が抜け、DeNAはアンドレ・ジャクソンやアンソニー・ケイら先発ローテーションを担っていた外国人投手が抜けました。阪神の1位予想は、戦力の充実度から当然な気がします。

【2位予想:巨人】

――古巣の巨人は2位予想となりましたね。

篠塚 期待も込めて巨人を2位にしましたが、阪神以外の5チームはどこが2位になってもおかしくないです。巨人は野手を補強していますけど、2024年にリーグ優勝した時のような、1点を取る野球を再度徹底してほしいですね。

 浦田俊輔や松本剛、佐々木俊輔らを使うのであれば足を使っていってほしいですし、四球、犠打、犠飛、エンドランなどを絡めてひとつ先の塁を狙う。そういう流れを作らないと苦しくなると思います。石塚裕惺、荒巻悠、宇都宮葵星、平山功太、三塚琉生、浅野翔吾ら、どんな若手が台頭してくるか非常に楽しみなシーズンです。

 今年は阪神と開幕3連戦ですが、チャンピオンチームの阪神に対して「今年は違うぞ」というものを見せなければいけません。

近年は特に阪神にやられていますし、負けてしまえば、ファンの方は「今年もか......」と思ってしまうでしょうから、カード勝ち越しを目指してほしいです。

【3位予想:DeNA】

――相川亮二新監督で新たなスタートを切るDeNAは3位と予想しました。

篠塚 先ほども言いましたが、ジャクソンやケイなどが抜けたのが痛いです。新外国人も新たに補強していますが、どこまでできるのかは未知数です。

 打つほうでは、タイラー・オースティンが抜けたのも痛いですね。それでも、牧秀悟や筒香嘉智、宮﨑敏郎、佐野恵太、ダヤン・ビシエドら実績のあるベテランや、梶原昂希、ルーキーの小田康一郎(1位/青山学院大)ら成長が期待される選手も控えていますし、打力は他のチームよりも上だと思います。

 投げるほうは東克樹ばかりに頼るわけにもいきませんから、新外国人のオースティン・コックスや、阪神から加入したジョン・デュプランティエ、藤浪晋太郎、平良拳太郎あたりが頑張らないといけない。若手では、昨シーズン4勝、防御率1.69の竹田祐、石田裕太郎、篠木健太郎、ルーキーの島田舜也(2位/東洋大)といったピッチャーがどこまで台頭できるかがポイントですね。

【4位予想:広島】

――昨年5位の広島は、今年もAクラスは厳しい?

篠塚 4位にはしましたが、阪神以外はどのチームも力が拮抗していますから、広島がAクラスに入る可能性もあると思いますし、逆に巨人がBクラスということも十分にあり得ます。

 広島は昨シーズンの首位打者・小園海斗を中心に、中村奨成、坂倉将吾、さらに若手の佐々木泰、林晃汰、二俣翔一ら伸びしろのある選手が多いですね。秋山翔吾菊池涼介らベテランにも支えられながら、誰が出てくるか。そこはジャイアンツと状況が似ています。ルーキーの平川蓮(1位/仙台大)をはじめ、ドラフトで指名した選手も抜擢される可能性があり、面白いシーズンだと思います。

 2年目のサンドロ・ファビアンとエレフリス・モンテロは日本の野球に慣れているでしょうし、ある程度計算できるのが大きいです。

やってみなければわからない、という外国人選手ではないですから。

 近年はチームがシーズン後半に失速してしまうことが見られるので、そのあたりで踏ん張れるかどうかですね。ピッチャー陣は森下暢仁、大瀬良大地、床田寛樹ら以外に、常廣羽也斗や佐藤柳之介、菊地ハルンらがどこまで上積みできるかも課題です。

【5位予想:中日】

――昨年は3年連続最下位を脱出した中日。現状をどう見ていますか?

篠塚 ホームランウイングができて球場が狭くなり、メジャー通算164本塁打の実績がある新外国人ミゲル・サノーを獲りましたし、細川成也らで構成する中軸に期待ですね。岡林勇希と田中幹也の1、2番コンビなど、ある程度固まってきました。復活を期す高橋周平や、上林誠知、石川昂弥、ブライト健太、鵜飼航丞など、立浪和義元監督の時にいろいろな選手を使って経験させてきたことが、少しずつ実ってきている感じがします。

 大野雄大、涌井秀章、松葉貴大、FA残留の柳裕也ら、先発ピッチャー陣にベテランが多いのが気がかりです。2年目の金丸夢斗への期待は高いようですが、ポテンシャルはあるものの、勝ち星が計算できるかはシーズンが始まらないと不透明で、計算できるのは髙橋宏斗くらいじゃないですか。

 高校、大学で日本一の投手になったルーキーの中西聖輝(1位/青山学院大)、日本選手権優勝投手の櫻井頼之介(2位/東北福祉大)らが金丸とともに戦力になれれば、チームがいい位置を目指せるはずです。故障で離脱中のクローザーの松山晋也は開幕に間に合わないようですし、開幕直後のリリーフ陣のやりくりもポイントになりそうです。

【6位予想:ヤクルト】

――今年もヤクルトは最下位の予想となりましたね。

篠塚 やはり村上が抜けた穴は大きいです。

山田哲人はセカンドからコンバートも考えているようですが、近年の状態は厳しいですし、打線は苦しいです。例年どおり、ホセ・オスナとドミンゴ・サンタナに頼らざるをえませんし、若手の突き上げがないとチームが勢いづかないと思います。あと、ヤクルトはケガ人が多すぎるので、その部分の対策も必要なんじゃないですか。池山隆寛新監督がどんなチームづくりを進めていくか注目しています。

 ピッチャー陣も苦しいです。奥川恭伸がどこまで投げられるのかがポイントだと思いますが、シーズンを通して投げられるかが重要です。計算できるのは、開幕投手を務める吉村貢司郎くらいじゃないですかね。そのなかで、通算188勝、24年連続勝利の石川雅規には、25年連続勝利を達成してほしいです。若手は、彼が健在なうちに投球術をお手本にするべきです。

 巨人をはじめ、今年はかなり育成をしなければ戦力が整わない状況のチームが多いです。各チームからどんな若手選手が出てきて、ベテラン選手とどう融合していくか。こういった状況だからこそ、非常に楽しみです。

【プロフィール】

■篠塚和典(しのづか・かずのり)

1957年7月16日生まれ、東京都出身、千葉県銚子市育ち。1975年のドラフト1位で巨人に入団し、3番などさまざまな打順で活躍。1984年、87年に首位打者を獲得するなど、主力選手としてチームの6度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献した。1994年を最後に現役を引退して以降は、巨人で1995年~2003年、2006年~2010年と1軍打撃コーチ、1軍守備・走塁コーチ、総合コーチを歴任。2009年WBCでは打撃コーチとして、日本代表の2連覇に貢献した。

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