緒方孝市セ・リーグ順位予想

(投手編:緒方孝市が広島の投手陣を分析 中継ぎから転向の栗林良吏など、急務だった先発陣の整備は「戦える目処がついた」>>)

 いよいよ、今年も幕を開けたプロ野球。セ・リーグは、昨シーズンの王者・阪神が巨人との開幕カードで勝ち越し。

また、広島が中日に、ヤクルトがDeNAに3連勝という形でスタートしたが、はたしてどんなシーズンになるのか。長らく広島の中心選手として活躍し、同チームの監督として球団史上初のリーグ3連覇を成し遂げた緒方孝市氏に、セ・リーグの順位を予想してもらった。

【プロ野球】緒方孝市のセ・リーグ順位予想は、岡本和真が抜けた...の画像はこちら >>

【1位予想:広島】

――古巣の広島を1位に予想された理由は?

緒方孝市(以下:緒方) 打つほうでは平川蓮(1位/仙台大)や勝田成(3位/近畿大)、投げるほうでは齊藤汰直(2位/亜細亜大)や赤木晴哉(5位/佛教大)らルーキーたちがアピールし、投打ともに戦力に厚みが出てきました。そのうちプロの壁にぶち当たると思いますが、それを乗り越えて成長していくための体力、技術的なベースは各選手ともに出来上がっている印象です。2年目の佐々木泰や、昨シーズンに飛躍した中村奨成の状態もいいですし、若い選手たちの成長がチームの成績を左右するシーズンになりそうです。

 最大の課題は阪神戦です。昨年は6勝19敗と大きく負け越しましたが、阪神より上にいくためには、対戦成績を最低でも五分には持っていかないといけません。負け越した一番の要因は、苦手なピッチャーに対してとことん負けてしまう傾向があること。その部分の対策をしっかり立てて攻略していくことがカギになると思います。1位予想としましたが、阪神戦で巻き返すことが条件になります。

【2位予想:阪神】

――今シーズンも前評判が高い阪神は、2位に予想されました。

緒方 阪神のピッチャー陣は層が厚いとはいえ、さすがに絶対的なセットアッパーである石井大智の長期離脱は痛いです。ただ、何人かのピッチャーでカバーしていくことはできると思いますし、野手陣にはしっかりとした不動のメンバーが揃っていますから、攻撃面でカバーしていけるんじゃないですか。総合的にバランスが取れたチームの強みですね。

――戦力的には、一番充実しているチームと言えるでしょうか?

緒方 当然、戦力は阪神が抜けていますが、リーグ連覇をするのは難しいですし、毎年安定した戦いをするためには "運"の要素も必要なんです。主力選手が揃っているといっても、その選手たちがケガしてしまうこともある。いざ抜けてしまうと、チームのバランスがグラっと崩れてしまうリスクもあります。そういった事態を予期して準備するのが監督の仕事ですが、どれだけ想定しても想定以上のことが起こることもありますから。それがプロ野球の面白さでもあるんですけどね。

【3位予想:中日】

――ここ5年間はBクラスに低迷している中日ですが、3位に予想された理由は?

緒方 立浪和義元監督の時代から鍛えられてきた若手の野手たちが徐々に成長してきて、今年はもう一段パッと上がりそうな感じがします。投手陣は、髙橋宏斗や2年目の金丸夢斗など先発ローテーションもしっかりと揃っていますし、開幕戦では失点したものの、アルベルト・アブレウが加入したリリーフ陣もいい。松山晋也が出遅れていますが、ピッチャー陣はある程度充実しています。

 打つほうでは、新外国人のミゲル・サノーがかなり打球を飛ばしますね。右にも左にもホームランを打ちそうです。長打力のある細川成也もいますし、ホームランウイングができて狭くなったバンテリンドームナゴヤでホームランが増えそうです。ホームランウイングで得点力アップが見込める一方で、相手の長打を抑えるということも課題にはなりますが、ホームチームとして有利に試合を運べるんじゃないですか。

【4位予想:DeNA】

――昨年2位のDeNAは苦しい戦いになる?

緒方 野手陣に関しては、阪神に引けをとらないメンバーが揃っています。上半身のコンディション不良で出遅れていた筒香嘉智をはじめ、宮﨑敏郎、佐野恵太ら、年齢は高くなってきていますが、打線に破壊力があります。

もちろん、侍ジャパンの牧秀悟もいますし、若い野手たちが力をつけてきています。

 ただ、外国人の先発ピッチャーが3人抜けたのはマイナス要素です。アンドレ・ジャクソン、アンソニー・ケイ、トレバー・バウアーと、3人ともよく投げていましたから。東克樹だけでは勝てませんし、穴を埋めるのは相当大変ですよ。点は取れても、それ以上に取られてしまうんじゃないかという心配があります。ジョン・デュプランティエはある程度計算できますが、新しい外国人投手たちは未知数ですから。

【5位予想:巨人】

――岡本和真選手(トロント・ブルージェイズ)が抜けた巨人は、5位と予想されました。

緒方 岡本は打線の主軸を担っていましたし、抜けたのは痛すぎます。新外国人のボビー・ダルベックを獲るなど補強していますが、やはり岡本の代わりはいません。昨シーズンも、岡本がケガで離脱してからチームが低迷しましたよね。それくらい中心選手だったということですし、穴を埋めるのは難しいと思います。坂本勇人にしろ、丸佳浩にしろ、経験はあるけど全試合に出られるかといえば正直難しい。4年目の浅野翔吾ら近年のドラフトで入団した若手たちが、チームの中心になって牽引していってほしいところですが、伸び悩んでいますよね。

 投げるほうでは戸郷翔征がしっかりしないといけないのですが、オープン戦でのピッチングを見ていた感じだと厳しそうです。予想されている先発ローテーションの顔ぶれを見ると、ルーキーと新外国人、他球団から補強した選手で埋まっていますよね。本来は生え抜きで柱となるピッチャーがいるうえで、プラスアルファを求めるのが理想ですが、それだけ台所事情が苦しいということでしょう。

【6位予想:ヤクルト】

――ヤクルトも大黒柱の村上宗隆選手が抜け、相当苦しくなる?

緒方 巨人の岡本が抜けたことと同じです。チームの核となる選手が抜けてしまうと、なかなか代わりは出てこない。特に村上の場合はリーダーシップもすごくありましたし、若い頃から高い意識を持ってプレーしてきた選手ですからね。

 ホセ・オスナ、ドミンゴ・サンタナ、長岡秀樹ら力のある打者はある程度いますが、それでも村上の穴は大きすぎます。かつて鈴木誠也(シカゴ・カブス)が抜けた時の広島もそうでしたが、代わりがいない選手が抜けてしまったあとのチームは立て直すのに時間がかかります。
 
 先発ピッチャー陣にも不安があります。ある程度計算できるのは、吉村貢司郎くらいじゃないですか。奥川恭伸にも期待したいですが、彼の場合はまずシーズンを通してローテーションをしっかり守り、首脳陣からの信頼を得るところから始めないといけません。1年間投げられていないピッチャーに、いきなり「15勝してくれ」とは言えませんから。

先発が弱い分、リリーフ陣は昨シーズンに新人王を獲った荘司宏太や、経験のある石山泰稚を中心にフル回転せざるをえないでしょうし、今年も厳しい戦いになりそうです。

【プロフィール】

緒方孝市(おがた・こういち)

1968年生まれ、佐賀県鳥栖市出身。1986年に広島東洋カープからドラフト3位で指名され入団。2008年まで主に外野手として活躍し、盗塁王のタイトルを3度、ゴールデングラブ賞を5年連続で受賞した。2009年に現役を引退後、コーチとして後進の指導。2015年に監督に就任すると、2016年から18年にかけてチームを球団史上初の三連覇に導いた。2019年に退任後、野球評論家などで活躍中。

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