ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――古馬中距離路線の春の頂上決戦となるGI大阪杯(阪神・芝2000m)が4月5日に行なわれます。今年は2017年にGIに昇格してから10回目、レースが創設されて70回目という節目の年の一戦となります。

大西直宏(以下、大西)私が現役だった当時の大阪杯は、GI天皇賞・春(京都・芝3200m)の前哨戦という立ち位置のGⅡ戦でした。当然のことですが、GIに昇格してからは随分と充実したメンバー構成となって、華やかなレースへと様変わりしましたね。

――今年は中東情勢の緊迫化により、同時期に行なわれるドバイワールドカップデーの出走をキャンセルして、こちらへ矛先を向けてきた実力馬、実績馬が何頭かいます。

大西 そうですね。先ほどGI昇格でメンバーが充実したという話をしましたが、ドバイワールドカップデーと開催時期が重なることで、近年は超一流馬がそちらに向かうことも少なくありませんでした。

 その点、今年は特別な状況によって、例年以上にメンバーの層が厚くなったのは確かです。昨年の皐月賞馬でGI有馬記念(12月28日/中山・芝2500m)を制したミュージアムマイルと、GI天皇賞・秋(11月2日/東京・芝2000m)の覇者マスカレードボールの2頭が参戦していれば、さらに豪華な顔ぶれとなり、かなりハイレベルな一戦になったでしょうね。

――残念ながらその2頭は不在ですが、今回の出走メンバーをご覧になって、率直にどんな印象を抱かれましたか。

大西 ダノンデサイル(牡5歳)、クロワデュノール(牡4歳)という一昨年と昨年のダービー馬が顔をそろえたことは大きいです。"新旧のダービー馬対決"といった、注目されるには非常にわかりやすい構図となっています。こうした"看板"や"見出し"があるとないとでは、レースの盛り上がりは大違いですから。

 それら2頭を中心として、メイショウタバル(牡5歳)、ショウヘイ(牡4歳)、レーベンスティール(牡6歳)ら個性派の実力馬もエントリー。

馬券的にもとても楽しみな組み合わせになったと思います。

――好メンバーが顔をそろえて見応えのある一戦となりそうですが、現時点で大西さんが中心に考えているのはどの馬でしょうか。

大西 本命視しているのは、昨年のダービー馬クロワデュノールです。

 昨秋にはフランスのGI凱旋門賞(10月5日/パリロンシャン・芝2400m)に挑戦。強力外国馬の大きな壁に阻まれて14着に終わりましたが、帰国初戦のGIジャパンカップ(11月30日/東京・芝2400m)ではレコード決着のなか、4着と意地を見せてくれました。

 国内ではまだ底を見せていませんし、タイトな日程で挑んだジャパンカップのときよりも、今回のほうが間違いなくいい状態でレースに臨めるはずです。

――クロワデュノールにとって、今回は初の阪神コース。内回りの芝2000mという舞台設定を含めて、どのように見ておられますか。

大西 初めての阪神とはいえ、地元関西圏のレースですから心配はいらないでしょう。内回りの芝2000mというコースも、よりトリッキーな中山・芝2000mにおいて、GIホープフルS1着、GI皐月賞2着と結果を出していてハイレベルな走りを披露。高い機動力と自在性を備えているので、今回の舞台設定がプラスに働くことはあっても、マイナスになることはないと考えています。

――ところで、そんなクロワデュノールを脅かすような伏兵候補はいますでしょうか。

大西 過去のデータを踏まえると、前々で運べる人気馬が崩れた際には、中団より後方から差してくる人気薄馬が馬券圏内(3着以内)に食い込んでくるケースが目立っています。今年はメイショウタバルという明確な逃げ馬もいますし、伏兵で狙うのであれば、差しタイプの馬でしょう。

 なかでも面白い存在だと思っているのは、タガノデュード(牡5歳)です。

【競馬予想】「ダービー馬対決」に注目が集まる大阪杯 オイシイ...の画像はこちら >>
――前走のGⅢ小倉大賞典(2月22日/小倉・芝1800m)で重賞初制覇を果たした上がり馬ですね。どういったところに魅力を感じていますか。

大西 下級条件から着実に力をつけてきた、いわゆる"叩き上げ"タイプ。勢いまかせではなく、キャリアに裏打ちされたブレない実力があるところです。陣営の評価も高く、「いつも一生懸命で、毎回しっかりとした脚を使う」といったコメントが出ており、こういうタイプは強豪が集うGⅠでも侮れません。

 同馬を管理する宮徹厩舎には、昨年末のGⅢ中日新聞杯(12月13日/中京・芝2000m)、この春のGⅢ金鯱賞(3月15日/中京・芝2000m)を制したシェイクユアハートがいます。いずれも、主戦を務めるのは古川吉洋騎手。2頭を比較したうえで、大阪杯に向かわせるのはタガノデュードを選択した背景もうかがえます。

 堅実な差し脚が持ち味のタガノデュード。

その末脚がハマるシーンを期待して、同馬を大阪杯の「ヒモ穴」に指名したいと思います。

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