この記事をまとめると
■世界初公開された新型プリウスのデザインが話題■なぜ評価が高いのか、プリウスらしさはどこにあるのかをチェック
■各部に歴代モデルのデザインが活かされている
プリウスの特徴「モノフォルムシルエット」が活かされたデザイン
11月16日に世界初公開された新型「プリウス」のデザインが話題です。当初は戸惑いの声も聞かれましたが、少し落ち着いたいまでは「カッコいい」という意見がもっぱらです。では、新型のデザインはなぜ評価が高いのか、プリウスらしさはどこにあるのか、あらためてチェックしてみましょう。
「カッコいい」のど真ん中を行くプロポーション
「カッコよさ」の理由は、まずそのスタンスにあります。現行比で25mm長い全長に対し、ホイールベースは50mmも拡大。さらに20mm広く、40mm下げたボディは「長く、広く、低く」というカッコよさの公式そのもので、長いホイールベースは強い踏ん張り感を生んでいます。そもそも、プリウスの特徴である「モノフォルムシルエット」自体がスタイリッシュさを感じさせるフォルムですから、効果は倍増なワケです。
さらに、真横から見るとルーフのピーク位置が変わったことがわかります。現行型は空力性能の追求からピークが前寄りでしたが、これが後方に移動しました。結果、荷重がリヤタイヤに掛かったように見え、強い安定感を得ているのです。

このシルエットは、いまだ中古車市場で人気の高い3代目に近いと言えます。シャープなキャラクターラインによる前傾姿勢が特徴の3代目は、極めてバランスのいいボディでしたが、新型は3サイズこそ異なるものの、その基本シルエットに戻ったとも言えます。

2代目や3代目のエッセンスを加えてデザインを抑制
意外にもスッキリしたフロントフェイス
フロントビューでは、ハンマーヘッド表現のアッパーグリルが目立ちます。これは「クラウン クロスオーバー」や、先日発表されたばかりの「C-HR プロローグ」に共通していますが、たとえばフェラーリの「プロサングエ」でも見られるとおり、一種の流行であって、決して珍しい表現ではありません。

ただ、トヨタとしては独自の「キーンルック」の発展版に見えなくもなく、比較的その移行が自然に思えます。もちろん、現行型の初期タイプに見られた妙な「縦形」ランプと比べると、この横基調の安心感は絶大です。

また、トヨタでは「アンダープライオリティ」として巨大なロアグリルが近年の特徴ですが、これが新型では一変し、じつにスマートな表現になりました。
キャラクターラインに頼らない面構成
サイドビューでは、「感性に響くエモーション」に加え「普遍的な美しさ」として、目立ったキャラクターラインのないボディ面が特徴です。現行型ではリヤフェンダーに長い「切り込み」がありますが、ここもまた大きな面に変化。プリウスといえば、初代のサイド面にも独自の「切り込み」がありましたが、その点、2代目のスッキリ感へ戻ったようです。

リヤを見ると、横一文字のランプもまた流行の表現ですが、ガーニッシュとともにリヤパネルの上部にまとめることで先進感や躍動感を得ています。ランプの外側から下へ向いたラインが最近のトヨタデザインの「クセ」を感じますが、それでも現行初期の縦長ランプよりはスッキリしています。
さて、この新型についてトヨタは「エモーショナルな造形」と連呼しますが、「エモーショナル」ということでは、ある意味現行型のほうがよっぽど情感的なスタイルです。新型は、そこに「普遍性」による抑制を効かせたことが肝。つまり、チョット攻めすぎてしまった現行型に対し、2代目や3代目のエッセンスを加えて軌道修正を実施、プリウスらしさを担保したのです。

ただ、果たしてプリウスがここまでスポーティである必要は? という問題は残りそうです。このスポーティ路線は最近のトヨタデザインの主流ですが、一方で「シエンタ」のような方向性もあり得たわけですから。
