この記事をまとめると
■山本晋也さんの元愛車「ザ・ビートル カブリオレ」の欠点を振り返る■4人乗れるオープンカーとしてパッケージングには優れたクルマであった
■ドアミラーの角度やギヤのフィーリングがあまり良くなかった箇所だった
元愛車「ザ・ビートル カブリオレ」のダメポイントを振り返る
日本には「あばたもえくぼ」ということわざがあります。多少の欠点であっても惚れてしまえばチャームポイントになってくることを意味しているのですが、100%欠点のないクルマというのはないものですから、購入するときには「あばたもえくぼ」とばかりに欠点が気にならないくらいの気持ちになっていることが多いのではないでしょうか。
「あばたもえくぼ」と勘違いしているとわかっていたのに、ほかの魅力にやられて購入に至りつつ、結局は欠点が気になって愛車を手放してしまうこともあるかもしれません。
ザ・ビートルといえば、フォルクスワーゲンがFFプラットフォームを流用して初代ビートルのイメージを再現したモデルの2代目。電動ソフトトップのカブリオレが追加され、日本に導入された2013年4月。すぐさま購入したのが自身としては最初で最後のフォルクスワーゲン車となったのでした。
個人的な状況でいえば、子どもが大きくなりチャイルドシートを卒業した頃。ジュニアシートが似合うファミリーカーとして考えたときに、4座のオープンカーというのは「3人家族であれば意外に用途を満たすのでは?」 と思い、国産4ドアセダンから乗り換えたのでした。

ジュニアシートを後席にセットしたり、はたまた前にセットしたりと子どもの気分に合わせてポジションを変えることができるのは、助手席エアバッグをキャンセルできる欧州車の特権。ソフトトップを開ければ後席まで完全にオープン状態となりますから観光地のドライブなどでも家族の誰もが景色を楽しめるというのもザ・ビートル カブリオレのよいところでした。
パッケージングはいいが細かいところが気になった
そんな風に気に入ってはいたのですが、結局最後まで慣れることができなかったダメ出しポイントは「助手席側ドアミラーの角度調整」だったのです。
身長165cmと日本人の平均としても低い筆者個人の問題かもしれませんが、自分の運転しやすいドライビングポジションに合わせると、どうしても助手席側ドアミラーの角度がしっくりとこないのです。5年近く保有していたのですが、ついぞ最後まで納得できる調整はできず、つねに不満を覚えた状態で乗っていたのでした。

オープンカーオーナーであればおわかりのように、ソフトトップをクローズした状態というのは振り返ったとしても斜め後方はほとんど見えません。
さらにストレスとなったのはフォルクスワーゲン・グループのコアテクノロジーともいえる「DSG」、一般名詞でいうとデュアルクラッチトランスミッションとなりますが、1.2リッターSOHCターボで前輪を駆動するザ・ビートルは7速DSGが備わっていました。

この7速DSG、乾式クラッチを採用しているためなのか、どうにも坂道発進が苦手な特性となっていました。普通にABペダルを踏みかえてみたり、サイドブレーキを引いてみたり、左足ブレーキを駆使してみたり……いろいろな乗り方を試してみましたが、坂道発進で1速にロックしたようになってシフトアップが遅れる(1速で高回転まで引っ張る)という制御は最後まで気になり続けました。
新車時から気になっていた坂道発進でシフトアップが遅れるという症状は、距離を重ねてくるとさらに気になるようになってきました。アクセルを抜くとシフトアップしませんし、アクセルを踏んでいくと前のクルマに迫ってしまいますし、なによりエンジンが高回転までまわっているのは、ザ・ビートルのキャラクターからするとスマートではありません。
スタイリング、パッケージ、なにより4座オープンとは思えないしっかりとしたハンドリングは期待以上で最後まで不満はなかったのですが、ドアミラー調整と坂道発進が苦手なDSGといった部分が、最終的に「あばた」に感じるようになったことが2度目の車検を前に手放した大きな理由です。
