この記事をまとめると
■1963年にデビューしたポルシェ911■「カレラ」、「S」、「RS」などさまざまなモデルが存在する
■この記事では「911タルガ」をオススメしたい
いったいどの911に乗れば満足できるんだ!?
1963年にデビューした初代ポルシェ911。「フラット6エンジン」「RRレイアウト」「2+2クーペ」というスポーツカーは、いつの時代もクルマファンを魅了してきました。が、一方で911ファンの間では、「いったいどの911が一番良いのだぁ~!?」という悩ましい問いが交わされているとか。
そもそもイチバン最初の911が世に出たのは、1963年のフランクフルトモーターショーでした。フォルクスワーゲンのパーツを数多く流用した「356」で、高性能スポーツカーメーカーとしてその地位を確立したポルシェが、7年がかりで開発し、356をさらなる発展・進化させた新型車が初代911(901型)だったのです。それから半世紀以上が経過したいまでも、その魅力が色褪せないのは、ひとえに「空冷エンジン」や「RRレイアウト」、「モータースポーツシーンにおける数々の華々しい実績」といったヒストリーに裏付けされた揺るぎのないパフォーマンスがあるからでしょう。
ところが……、いつの時代も人々を魅了してきた911ですが、その一方、時代を超えて911ファンを悩ませ続けてきたのです。というのも、ポルシェはほぼ3年ごとに911のモデルチェンジおよびモデルの追加を繰り返すどころか、カタログには表記されないパーツやスペックの変更を1年ごとに敢行! そのせいで「最新のポルシェは最良のポルシェ」というのが、911ファンの間で定説になってしまったのです。
そのうえ911のラインアップのなかには「カレラ」や「S」や「RS」といった単語やアルファベットが付き、それらの付き方によって911に付加価値が増えて行きます。付加価値が付くということは、911のなかでヒエラルキーが出来上がってしまいます。たとえば、何にも付いていない911よりもカレラが付いたほうが良いですし、いやいやカレラSならもっと良いし、カレラRSならなおさらよろしい……といった具合。ターボを別にすれば、その頂点に立つのが「911 GT3」と言っていいでしょう。いや、つい最近(2022年夏)GT3 RSというザ・トップ・オブ911が出ましたっけ。

「いやいや、俺ったら“素”の911でいいもんね」と強がってるエンスーも、信号待ちで隣に911カレラSや911カレラRSが停まろうもんなら、やっぱり引け目を感じてしまうんですな。
「911内ヒエラルキー」から逸脱したポジションを確保
そこで、「んじゃあ、いったいどの911に乗れば満足できるの?」とお嘆きの911ファンにオススメなのが、「タルガ」なのです。911タルガは初代911デビューの2年後、1965年のフランクフルとモーターショーでお披露目されました。カブリオレでもハードトップでもクーペでもない斬新なモデルは、アメリカマーケットにおける「カブリオレは転倒時に危険だ~!」という声に、ポルシェがすぐさま対応した成果なのでした。

じつはこの“カブリオレでもハードトップでもクーペでもない”ことこそ、タルガの魅力なのです。逆にいうのなら、カブリオレとハードトップとクーペの良いところをすべて持ち合わせているってことです。そういう特異なキャラクターゆえに、タルガは先述の「911内ヒエラルキー」から逸脱したポジションを確保。また、先述の「最新のポルシェは最良のポルシェ」という定説さえも関知しなかったため、いつの時代も911ファンから(いや、すべてのクルマファンから)熱い支持を得てきたのです。

911には最初の901型ボディから、Aピラーとロールバー兼用のBピラーの間の屋根がボコッと取れる「タルガトップ」をラインアップしてきました。ところが、1993~1997年の993型では屋根が斜めにスライドするタイプに変わってしまい、993→996→997までこの仕様が続きます。この「斜めスライド式タルガ」は911ファンの間で賛否両論あり(おそらく「否」が過半数)、2011年デビューの991型で元の脱着式タルガトップに近い、“頭の上だけ屋根が無い”スタイルに戻ります。

ですから、乗るとしたら993より前のモデルの911タルガ、もしくは991型か現行モデルの911タルガがよろしいかと思います。

でもねぇ……タルガはいつの時代も人気だったゆえに、セカンドマーケットでは古い911タルガも新しい911タルガも、価格が高騰しているんですよねぇ。たとえば1991年式の964タルガは1000万円前後で、グッドコンディションの場合は1500万円を超えるようです。930ボディのタルガも同様です。現行の992のタルガとなると、クルマそのものがないとか。

そう、911タルガは魅力いっぱいのクルマなのですが、唯一ネックになるのがこの価格高騰なんです。残念。