この記事をまとめると
■公道において馬は軽車両という扱いになる■したがってお酒を飲んだ状態で馬に乗ると飲酒運転に該当
■ではお酒を飲ませた馬に乗ったら……?
馬に乗って公道を移動することは道公法で許されている
クルマのルーツは馬車だといわれ、セダンも、クーペも、バンも、ワゴンも、もとは馬車の用語(セダン=運転手と乗客の仕切りがない馬車、クーペ=二人乗りの箱馬車、バン=荷物を運ぶ有蓋貨車、ワゴン=荷物を運ぶ無蓋貨車・二頭以上の馬でひく荷馬車)。カロッツェリアもイタリア語で、馬車製造工房の意味。
このようにクルマと関わりの深い馬車だが、皇居の皇宮警察の騎馬隊(14頭)や警視庁騎馬隊(16頭)のように、馬車を引かない馬に騎乗して公道を移動することも許されている。
道路交通法には「軽車両の定義」として次のように書かれている。
「自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む)」(第2条11項)
軽車両なので免許証はいらないが、一時停止や信号、制限速度など、交通法規は守る必要がある。元気な馬は60km/h以上で疾走できると言われているが、軽車両で高速道路を走るのはNGなので、馬も高速道路は利用できない。
ところで、免許証の更新時の講習などで、「馬は道交法上、軽車両。したがって酒を飲んで馬に乗ると飲酒運転。では、馬に酒を飲ませて乗ると? 整備不良車両運転」といった話を聞いたことがないだろうか?
馬にお酒を飲ませるのは危険!
「乗馬クラブ クレイン」のブログにも
『飲酒運転は禁止。また、馬にお酒を飲ませて乗馬すると「整備不良」になる』
『軽車両(この場合は馬)には、適当な制動装置(ハミと手綱)、安全を確保できるもの(鞍)を備えなければならないというきまりもあります』
とあるが、
整備に関する法律、道路運送車両法を見ると、馬に対する規制は見当たらない……。
道路運送車両法施行令(軽車両の定義)
第一条
「道路運送車両法(以下「法」という。)第二条第四項の軽車両は、馬車、牛車、馬そり、荷車、人力車、三輪自転車(側車付の二輪自転車を含む。)及びリヤカーをいう」
ここには馬や牛だけでなく、自転車も含まれていない!
しかし、自転車の場合、道路交通法第52条、第63条9で、ブレーキ(制御装置)、ライト、反射板もしくはテールライトの装着が必須と定められていて、ベルも道路交通法54条で必要に。
馬なので、いろいろ装置はつけられないが、やはりハミと手綱、そして鞍などは最低限必要で、馬にお酒を飲ませるのも常識的に考えてNGだろう。

ちなみに、熊本最大のお祭りといわれる「熊本藤崎宮馬追い祭り」では、飾り馬にお酒を飲ませて、わざと興奮させて暴れさせるのが見せ所になっている!
馬もオートバイと同じで、人が乗らずに押して歩く(馬の場合は曳き馬)と、歩行者扱いになるので、このお祭りの飾り馬(人は乗らない)も問題ないといえば問題ないが、馬に蹴られて怪我をする人も珍しくないとか。
というわけで、馬に関する整備不良はグレーゾーンになってしまうが、馬も乗り物だと考えれば、安全には最大限留意して、ルールとマナーを守ることは不可欠だ。